「我々を助ける」ぼくの家族と祖国の戦争 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
我々を助ける
終戦間際、ナチス管理下のデンマークにてドイツ難民を受け入れざるをえなくなった大学学長とその家族の物語。
難民受け入れることを強制される学長のヤコブ。学長として学生達の学びの場を守ろうとするものの、難民を拒めばナチス兵に何をされるかわかったもんじゃない…しかしそうすれば今度は同胞たちから…。
辛すぎる立場ですね。
更には、難民達をどうするかで家族内に亀裂も。
セアンも辛いよなぁ、純粋さと背中合わせにある子どもたちの残酷さもまざまざと見せつけられる。
しかし、そんな彼を助けてくれたのは…。
敵も味方も人種も関係ない、困っている人がいるなら助けるのが正義だ!
…なんて口で言うのは簡単なことで、学長であり父親でもあるヤコブの立場からすれば、悲しいですがどこにも最適解なんてないんですよね。
同胞たちも、そんな彼の立場をどうかわかってあげてほしい…と思っても、彼らは彼らで家族や家をナチスに奪われていたりするわけで。
とにかく、戦争は本当に何も産み出しませんね。戦火自体が収まっても、そこに残された問題は世代を超えて残ることも。
そんな中でも残る、セアンの気持ちには涙が溢れそうになった。
最後何であんな所にビルクがいたのか、そして何故通してあげる気になったのかの変化がよくわからなかったことと、セアンとギアラにもう一つ物語が欲しかったなぁ〜と思いつつも、決して答えの出ることがない難題に深く考えさせられる作品だった。
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