「スクーターに旧友と二人乗り」テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
スクーターに旧友と二人乗り
93歳で一人暮らしの主人公テルマの孫、ダニエルの元カノこそが、この映画の中心にいたのではないかと思った。彼女は、テルマとも親しく、テルマの娘(ダニエルの母)ゲイルにも娘の夫(ダニエルの父)アランにも、信頼されていた。ダニエルとテルマの心を結びつけていたのは、本当は彼女だったのでは。その証拠に、ダニエルも元カノと話した後は、普通にテルマと接することができた。普段の彼は、何をやってもうまくゆかず、いつも自信なげだった。あまつさえ、この物語の一番大事な言葉は、元カノから出た「おばあちゃんは、自分の思った通りにしたいのよ」。そうなのだ、テルマは、暴走老人。ゲイルは、ちょっと、おっちょこちょい、アランは慎重だが、実生活ではあまり役に立たない。こんな家族のせいか、ストーリーの上でも、おかしなところがいっぱい。
93歳のおばあちゃんに、24歳の一見、頼りない孫とは、歳が離れすぎているのでは。娘のゲイルも夫のアランも暇そうだけど、何かお仕事しているの?あのだだっ広いLAを舞台に、道に迷ったりしても、案外簡単にオリエンテーションがついたようだけど、近場の物語だったのでは。何よりも、テルマが一番頼りにしていた仲間、旧友のベンと二人乗りしたスクーターは、けっこう高排気量で、室内ではともかく、公道を走るには、免許が要るのでは。そんなことを背景にしたテルマの爆走だったのだと思う。
それにしても、アメリカでは、シニアを中心に家族で楽しむことができるこのような痛快作が作られているなんて。それは、一つの楽しい方向性だ。
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