本心のレビュー・感想・評価
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今、まさに迎えようとしている近未来へのアンチテーゼかもしれない。
何の下調べも、予告編すら見ずに、本日公開の本作品をレイトショーにてチョイス。23時過ぎに終わるだけあって、客は高年齢層、男性が多い感じでした。
始まってびっくり‼️
池松壮亮くん主演やし、タイトルからももっと、じっくり淡々とと進む人情系ストーリーだと、勝手に思い込んでいたら…超革新的?!最新AIを搭載した VR系のお話だった〜😳
いやはや、疲れもぶっ飛ぶ予想外の展開とストーリーに、もう最初から最後まで釘付けですわ🤔
まず、池松壮亮くん扮する、主人公石川の「リアル・アバター」という職業。遠く離れた依頼主の指示通りに動き、代わりに見たかった景色や体験を仮想提供するというもの。これすぐにでも誕生しそうな(いや、もうすでにあるのか?)お仕事やね。良い悪いは別にして、需要ありそうだもんね。細かなルールは必要やね。
最新AIを搭載したVF(ヴァーチャル・フィギュア)技術で蘇った〈母〉を、田中裕子さんが素晴らしく好演!!VF 〈母〉の時と生身の母の時の田中裕子さんの目の演技の違いにご注目です🧐
そして、テーマは重いです。
まずひとつに「自由死」の問題。
これに関しては、倍賞千恵子さん主演で話題になった「プラン75」という映画を思い出しました。「自由死」を選択できる社会が今後やってくるのだとしたら?超高齢化社会を迎える日本に暮らし、人生折り返し地点に立った私には、全くあり得なくはないだけに、難しい宿題を貰った気がしました。
もうひとつは、
テクノロジーは、人間の心を再現できるのかという問題。
チャットGPT、とっても便利ですよね〜。私はほぼ毎日起動して、何らかのことを聞いています。考えることをやめてしまいたくなるほど、AIは即座に的確に(聞き方によっては、ウソも多いけど…)答えをくれます。今後もっともっと進むであろうAI技術によって、私たちの社会はどう変わるのか?進化するAIや溢れかえる情報といかに付き合い、生きていくのかを問われている気がしました。
余談ですが、
今月2024年11月20日は、いよいよ冥王星が水瓶座に入り、「冥王星水瓶座時代」が始まります。破壊と創造を意味する冥王星が、革新と未来志向の象徴である水瓶座にとどまることで、今後一層のテクノロジーの進化が予想されます。
そしてこの冥王星が、破壊に働いた時、果たして社会はどうなるか?
今、まさに、この瞬間
観ておきたい近未来への
アンチテーゼとなる映画です。
他人の本心がわかる時なんてくるんだろうか
好きな役者陣総出演すぎるのと、題材が興味深かったこともあり、期待値が上がってしまったためか、見終わった後にもやっと感が残ってしまった。
ひとつひとつのシーンは印象的だし、役者陣の演技も申し分ない。田中裕子さんの人間の時の演技と、AIの時の演技差なんてゾワっとするぐらい。
でもなんだか内容が盛りだくさんすぎて、繋げるとツギハギしているように感じてしまった。
原作が未読なのでなんとも言えないけれど、映画としてまとめるのはすごく難しい作品だったんだろうなと思う。原作を読んで補填したいと思ってしまった。
母親が自由死を選択した理由(本心)を知りたいというテーマ以外にも、リアルアバターだったり、貧富の差だったり、三好との関係だったり…大きな要素が何個もあるので、見ている側はどこに主軸を置いたらいいのか混乱してしまった。
ただ一貫して「本心」というテーマは根底にあって、様々な人間を描くことで、結局その人の本心なんて他人が理解できるものでもないし、それが本心だと確信を持てる証拠なんてどこにも無いんだと思い知らされた。
そもそも他人の本心を知りたいと思うこと自体が烏滸がましいのかもしれない。
将来あんな未来になってしまうんだろうか。
どんなにテクノロジーが進歩しても、それを扱う人間によって良くも悪くもなる。私たち自身も変わっていかないといけないと思った。
「AIで人の心を再現できるか」という平野啓一郎の問いを、石井裕也監督&主演・池松壮亮が的確かつタイムリーに映像化
平野啓一郎の熱心な読者ではないのだが、映画化された近著「ある男」「本心」、そして今年10月に刊行された短編集「富士山」に収録された「息吹」に共通して感じるのは、古くから行われてきた人間の実存をめぐる探究に、21世紀の知見と現実を交えて自身の小説で取り組んでいるのではないかということ。これの前に書いた「動物界」のレビューで実存というワードを使ったことから思いついた程度だが、もう少し具体的に書くなら、比較的最近の科学・技術の成果や、個人のアイデンティティーと生存に関わる社会通念・倫理観・法律(と違法・脱法行為)をストーリーに取り入れたのが、先に挙げた平野の小説群ではないかと。
「ある男」は闇ブローカーを通じて戸籍を他人と交換し、別の人間として後半生を生きた男をめぐる話。「息吹」では主人公の中年男性が、偶然の出来事がきっかけで受けた検査で悪性ポリープを早期発見できた人生と、がん発見が遅すぎて死に向かう人生の両方をリアルな実感とともに行き来する話(「シュレーディンガーの猫」の状態や「量子もつれ」の現象を想起させる)。
そしてこの「本心」では、バーチャル・フィギュア(VF)と「リアル・アバター」という2つの架空のハイテクサービスが登場する。ベースになっているのは、ユーザーが仮想空間でアバターを操る仮想現実(VR)、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル)を装着したユーザーに現実世界とバーチャルな3Dオブジェクトを重ねて見せる複合現実(MR)、そしてChatGPTなど生成AIの登場によりここ数年で世間でも一気に認知されるようになった人工知能(AI)。“自由死”と呼ばれる尊厳死が合法化された近未来、自由死を望んだ亡き母・秋子(田中裕子)の本心を知ろうとして、朔也(池松壮亮)は母のVFを作ってもらい、ゴーグルを装着して居住空間でVFの母と会話する。朔也が新たに得た仕事のリアル・アバターとは、カメラを搭載したゴーグルを装着して遠隔の依頼主の指示通りに買物や旅行などを行うもの。
池松は本作の主人公のように、まじめで誠実で、繊細でどちらかといえば内向的、理不尽な仕打ちやいわれなき中傷を受けても耐えようとするキャラクターがよく似合う(「宮本から君へ」や「ぼくのお日さま」など)。リアル・アバターの仕事中、悪意ある依頼主に振り回されて心身が疲弊していくさまは、ケン・ローチ監督が宅配ドライバーの過酷な労働現場を描いた「家族を想うとき」を思い出した。
田中裕子も実に素晴らしく、彼女以外のキャスティングは考えられないと確信したほど。北の離島で失踪した夫を30年待ち続ける妻を演じた「千夜、一夜」のレビューで、「田中裕子が近年体現してきたキャラクターたちは、彼女の存在感も相まって、女性は、母親はこうあってほしいというような、理想の女性像、母親像を観客が投影しやすくなっているのかもしれない」と書いたが、本作もまさにそう。
初出が新聞連載だった「本心」の掲載時期は2019年9月から2020年7月で、平野は連載中の心境に新型コロナのパンデミックが影響を及ぼしたと語っている。フィジカル(身体的、物理的)な距離と“心の距離”、映像越しのリモートなコミュニケーションなどは、コロナの時期を経験した後で、よりリアルに迫ってくる要素。石井裕也監督の映画としては、「茜色に焼かれる」「愛にイナズマ」と合わせて“コロナ三部作”と総称したい重要な作品群だ。
AIは電気羊の夢を見るか
時代に翻弄される人間と、目には見えない本心
「正体」の公開日に予告で見て気になっていましたが、内容に不穏な空気を感じて映画館で観ることを諦めた作品です。
池松壮亮さんのお芝居が大好きなので、この作品を観終えた時、映画館で鑑賞しなかったことを後悔しました。
いざ本編を中盤ぐらいまで観て、あまり良いラストではないと想像したんです。
時代の流れに振り回され、人権を踏みにじられるような罵詈雑言を浴びせられ、人を人と思わない社会の渦の中で必死に耐える。
一番知りたいことは大切な人から明かされないまま。だって本心を聞きたい相手が既にいないのだから。
けれど最初に母親をAI化した時の目的なんて忘れてしまうほどに、実際には存在しない母親が生活の中に溶け込み、彩花との距離もわずかながら縮んでいく。
当たり前になりつつある不思議な生活の中で、知らずにいたほうが幸せだったかもしれない真実に触れ、葛藤し、自分や周りの環境を見失っていく姿は心苦しかったです。
でも、終盤が朔也にとって不幸じゃなくて良かったと思えました。
聞きそびれてしまった【大切な話】の内容について、あくまでも「あなたを産んで良かった」と微笑みかけたのはAIの母親なわけで、母親が伝えたかった「本心」だったのかは誰にも分からないことですが、朔也にとっては救いだったと思います。
本編ラスト、朔也の腕に震えながらゆっくりと伸ばされた手。
最後の最後、アパートを出ていった彩花の手首には黒いゴムが身につけられていました。
人に触れることが呼吸ができなくなるほど怖くてたまらない彩花が自ら手を伸ばすということが、どれだけ朔也を信頼しているかを物語っていました。
二人の表情をあえて映さなかったことで、鑑賞側の想像力を大いに膨らませられたことが素晴らしかったです。
AIを演じた田中裕子さんの演技が不気味で良かった
中々に面白い良い映画だと思いました。
私、三好彩花さんが大好きなので、楽しめました。
三好さんは、ヌードシーンもありました。
でも、話しの流れと関係なく出てきたサービスシーンみたいな感じで、物語の必要性から考えるとちょっと疑問です。
AIを演じた田中裕子さんの演技が不気味で良かったです。
仲野太賀さんが、とっても気持ち悪くて(そういう演技で)それも良かったと思いました。
男性目線の映画。
石井裕也監督。
この監督とは相性がいい感じ。今回もそこそこ楽しめた。
男映画というか、男性目線の映画だった。
一風変わった設定の映画で、近未来のお話。
母親との関わりや、異性への関わり方など男なら分かる、という感じ。
映画化の難しい題材を結構上手く映画化したと思う。
やっぱり石井裕也は上手い。
役者もみんな良かったけど、久々の三吉彩花がなんとも良かった。彼女の存在がこの映画の成功では?と思えるぐらい。
ラストも素直に喜べる。彼女のおかげで。
田中裕子さん すごい
時代設定や、いろいろな込み入った話の筋よりも、母親役の田中裕子さんが、楽しく踊っている姿が印象に残る。主人公も、救われたと思うし、母性っていい。
自分は自分の本心が分かっているだろうか?
ここに登場する「自由死」とは、自分の死期を申請して役所に承認されれば税制上優遇されるという、年寄りや重症患者を減らすための制度として描かれていて、『PLAN 75』(2022年)を彷彿とさせると同時に、評論家や政治家による高齢者を社会負担として捉える発言なども思い起こさせる。
また、「持つ者」と「持たざる者」に社会が二分されて、持たざる者がリアル・アバターとして持つ者に右往左往させられる様や、持たざる若者たちが次々と闇バイトのようなものに手を出していく様、そして更に、VFの言動に惑わされている様は、日々の生活がスマホに振り回され、自分の頭で考えることを放棄し生成AIに頼りっきりになる市井の人びとを描いているようでもある。
現在と地続きの近未来の社会を風刺的に描きつつ、「AIは心を持つことができるのか?」という『2001年宇宙の旅』(1968年)以来繰り返し投げかけられている問いに対して、「本来の」人間って一体何なんだ?という問いで答えている作品だと言える。
ネットの投稿などの虚構に満ちた現実と過去のデータに忠実な仮想空間では果たしてどちらが「本物」なのか?リアルな人間だって、そもそもそんなに単純なものではなく、その人の一面だけを見てこうだと決めつけることなど出来はしないのではないか?
本作のタイトルについている英語のタイトルは “The Real You” だ。よく知っていると思っている人のことをあなたは本当に知っていますか?本当にその人の本心が分かりますか?それよりも、自分自身の本心がどうなのか分かっていますか?
どうでもいいことなのだが、エンドロールに小さく「窪田正孝」という名前が書かれていたのだが、それがあの窪田正孝だとしたら、一体どこに出ていたのかがまったく見当がつかないんだよな…… と思っていたらAIの声だそうだ。
本当の思いなんて…
人間の本質
「本当に言いたかった事」
愛は偽造できる?
池松壮亮が波に乗ってる2024年。「ぼくのお日さま」「ベイビーわるきゅーれ」を個人的年間ベストに入れてるのなら、本作も逃す手はないでしょうと思っていたのに、よく行く映画館との兼ね合いが上手くいかず、気づけばどこの映画館も公開終了のお知らせが。もうなんで?!たまぁにあるんだよね、こうもギリギリになってしまうことが。ということで、毎度御用達の駆け込み寺(ちょっと遠くの映画館)に滑り込みで鑑賞。あっぶねぇ、逃すところだったよ。
評判はそれほど良くないのでさほど期待せずに見に行ったんだけど、これが意外に良くて。平野啓一郎原作の「ある男」は過大評価され過ぎでは?と少し思ったもののまあ好きだったし、何より石井裕也が当たり外れはあれど自分は結構好きだから、わりと上手いことハマれたなと。
設定が2025年の8月と近未来という言葉の威力からすると近すぎる未来ではあるんだけど、このなんともフワッとした捉えようのない、みんなが探り探りで生きている感じがとてもリアルですべてにすごく納得してしまった。
これは現実なの?それともVRゴーグル(この言い回しが正しいのか分からないけど)から見える世界なの?と惑わせる演出が秀逸でとても面白い。おかげで最初から最後まで考察が広がる。VR世界、そしてAIの技術は目まぐるしいほど進化を遂げており、最近では生成AIと言う新たな刺客が猛威を振るっている。
それじゃあ、人間はどうなのか?人は日々進化し、退化している。みたいな言葉があるように、例え文明が発展したとしても、人間も次なるステージに行くとは言えない。むしろ、衰退してしまうのが想像にかたい。進化は人をダメにしてしまう。むかしはいまよりも不便でも、むかしのほうがいまより豊かだとも思う。
人というのはまあ鈍感なもので、少しの変化を感じることが出来ず、気づいた頃にはもう遅かったなんてことが山ほどある。それは技術的な側面だけじゃなくて、上記のような心情の変化という内面的な側面においても。一緒に暮らしていても分からない。人は全てをわかった気になってしまう。この映画ではこれをすごく丁寧に描いていて。親子間における小さな蟠りだったり、片思いの恋心だったりと、人間の煩わしさが皮肉のようにしっかり表面化されている。AIと人間。この対比がすっごくわかりやすくなっていて、直にこの映画の意図するメッセージを受け取ることが出来た。
我らが池松壮亮は、今年公開の2作品とは違い、かなり平凡で至ってどこにでもいそうな主人公。見ている自分たちと等身大でいてくれる時の池松壮亮は、奇天烈な人物を演じる時以上に大好きだし、そうそうコレコレと首を縦に振ってしまうお馴染みの顔。
こんな平凡な役でも、やっぱり上手いなぁと唸ってしまう。細かな涙の震えと小さな感情の動き。普通がいちばん難しいんだよ。石井組の常連だから、もうお互いことをバッチリ理解し合ってる。そんなことが見て取れる安定感と抜群の存在感だった。
まぁただ、この手の映画の在り方としては悪くないんだけど、それを加味しても観客に投げかけすぎたなぁと感じてしまうし、「ある男」に引き続き平野啓一郎がちょっと自分に酔ってるような、世界を斜め上から見すぎるようなところはどうしても気に食わなかった。
監督なりに、原作者なりにこの物語に対する解答は持っているのかもしれないけど、それでもふわふわし過ぎていて掴みどころのない、大物俳優の演技があってもちょっとインパクトに欠けた映画になっている。全体的には好きだからそこまで不満は無いけど、このテーマを扱うなら地盤はもっとしっかりしたものであって欲しかったな。
実写邦画となると途端にレビューが長くなってしまいますね自分。とやかく書いたけど、やっぱり池松壮亮と石井裕也には今後ともたくさん映画を作って頂きたい。日本映画界を支える、大事な2人だと思うんで。過去作見て楽しみに待っときます😊
ラブストーリー
近未来の日本を舞台二したSF。
この作品は、格差社会やAIによる恐怖、そして心とは何かと問いかけてくる。だが、この映画の本筋は朔也と彩花のラブストーリーである。
秋子の自由死の理由を知るために、VF(バーチャルフィギア)を作る。その過程で、秋子の友達であった彩花と出会う。家を探している彩花を朔也は自宅へ招き入れる。
その後は二人とVFの3人での生活が展開される。
過去の心の傷から朔也にも、触れることが出来ない彩花。その彩花を気遣い、手を触れずにダンスをするシーンは朔也の彩花に対する気持ちが表れていた。
だが、イフィーのリアルアバターとなり、彩花が好きだという願いを受け入れた朔也と、朔也の期待に応えようとする彩花。二人の歯車が少しずつ崩れていく。
役者陣は、三好彩花役を三吉彩花が演じたことで、SF感、バーチャルさが作品に増したと感じている。演技も心揺れ動く様を見事に演じている。そして、田中裕子。笑顔なのに淡々と話す、本心の見えにくい役を演じさせたらこの人に適う人はいない。
ラストでは、母親の本心を知りたいと願った、朔也が彩花に対して本心を隠す。空に伸ばした手に触れた彩花の手は2人の本心を表していたのではないか。
観てから、しばらくしてじゅわんとくる映画
普通に特に不満もなく生きてきているが、心の中で恐れているのは大切な人を失うことである。思いがけないタイミングで不幸が訪れたなら、私もヴァーチャル・フィギュア(VF)を300万円払って購入するかもしれない。
原作は未読だが、主演の池松壮亮がこの小説を読み面白さに圧倒され石井裕也監督に映画にすべきと進言したとのことである。
予告を見る限りは母である田中裕子のがVFとして登場することが中心のファンタジーなSFドラマと認識していたが、池松壮亮がリアルアバターとして働くなかでみた不条理な世の中の現実(今も実は同じ不条理の世界である)や過去のトラウマとの葛藤、セックスワーカーだった三吉彩花のコンプレックスを抱えながらも懸命に生きている姿などヒューマンドラマとしての要素の方に強く惹かれる映画でした。
田中泯はワンカットだけで凄い存在感だし、妻夫木聡や綾野剛、仲野太賀らを脇役で使う贅沢さで映画を骨太にしていってる感じでした。
とにかく、ラストシーンに掲げた手に寄り添う手が彼女であることを祈ってます。
ここ数年だけでも「茜色に焼かれる」「月」「愛にイナズマ」等傑作映画を量産する石井裕也監督の実験的作品。後年に評価が高まるのではと思ってます。又池松壮亮はこの「本心」に加え「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」「ぼくのお日さま」の3本で今年の最優秀主演&助演男優賞は決定です!
ひとつひとつの要素が面白そうなだけに残念
予告を見て、母がなぜ自死を選んだのか、母をAIで再現し、その本心を探す映画なのだと思っていた。しかし、最後まで観てみると「母の本心を探す」という目的はどこへやら、どうにもとっ散らかった映画のように感じた。「自由死」、「VF」、「リアルアバター」、色々と面白いSF要素が沢山出てきたし、恋愛要素・アングラ要素?などもあったがどれもどうも中途半端で、勿体ない。
『PLAN75』や『Arc』のように、ありえそうなSFを描く話は比較的好きなんだが、この作品は久々にはっきりとつまらないなと思った映画だった。
母(VF)の話す「大事な話」も、野崎が冒頭に話した2面性を感じさせるようなものでも無かったし、散りばめられたテーマが面白そうなだけに本当に残念だった。
あと、「ミヨシアヤカ」を三吉彩花が演じてるので、これは原作のときからこの名前なのか、何か意味があるのか変に勘ぐってしまって、それも少し嫌だった。
最後、VFの母と突如別れを告げようとするのはミヨシが去り、日常がすべて嫌になってしまったからのようにも見えるが、「VF」が大きな事件の首謀者になり存在が社会問題になってしまったということもその原因なのだろう。もっと「VF」を主軸に描いたら面白い作品になりそうだったのになぁ。本当に本当に残念だ。
母親の本心に迫るハズが…
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