本心のレビュー・感想・評価
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今、まさに迎えようとしている近未来へのアンチテーゼかもしれない。
何の下調べも、予告編すら見ずに、本日公開の本作品をレイトショーにてチョイス。23時過ぎに終わるだけあって、客は高年齢層、男性が多い感じでした。
始まってびっくり‼️
池松壮亮くん主演やし、タイトルからももっと、じっくり淡々とと進む人情系ストーリーだと、勝手に思い込んでいたら…超革新的?!最新AIを搭載した VR系のお話だった〜😳
いやはや、疲れもぶっ飛ぶ予想外の展開とストーリーに、もう最初から最後まで釘付けですわ🤔
まず、池松壮亮くん扮する、主人公石川の「リアル・アバター」という職業。遠く離れた依頼主の指示通りに動き、代わりに見たかった景色や体験を仮想提供するというもの。これすぐにでも誕生しそうな(いや、もうすでにあるのか?)お仕事やね。良い悪いは別にして、需要ありそうだもんね。細かなルールは必要やね。
最新AIを搭載したVF(ヴァーチャル・フィギュア)技術で蘇った〈母〉を、田中裕子さんが素晴らしく好演!!VF 〈母〉の時と生身の母の時の田中裕子さんの目の演技の違いにご注目です🧐
そして、テーマは重いです。
まずひとつに「自由死」の問題。
これに関しては、倍賞千恵子さん主演で話題になった「プラン75」という映画を思い出しました。「自由死」を選択できる社会が今後やってくるのだとしたら?超高齢化社会を迎える日本に暮らし、人生折り返し地点に立った私には、全くあり得なくはないだけに、難しい宿題を貰った気がしました。
もうひとつは、
テクノロジーは、人間の心を再現できるのかという問題。
チャットGPT、とっても便利ですよね〜。私はほぼ毎日起動して、何らかのことを聞いています。考えることをやめてしまいたくなるほど、AIは即座に的確に(聞き方によっては、ウソも多いけど…)答えをくれます。今後もっともっと進むであろうAI技術によって、私たちの社会はどう変わるのか?進化するAIや溢れかえる情報といかに付き合い、生きていくのかを問われている気がしました。
余談ですが、
今月2024年11月20日は、いよいよ冥王星が水瓶座に入り、「冥王星水瓶座時代」が始まります。破壊と創造を意味する冥王星が、革新と未来志向の象徴である水瓶座にとどまることで、今後一層のテクノロジーの進化が予想されます。
そしてこの冥王星が、破壊に働いた時、果たして社会はどうなるか?
今、まさに、この瞬間
観ておきたい近未来への
アンチテーゼとなる映画です。
他人の本心がわかる時なんてくるんだろうか
好きな役者陣総出演すぎるのと、題材が興味深かったこともあり、期待値が上がってしまったためか、見終わった後にもやっと感が残ってしまった。
ひとつひとつのシーンは印象的だし、役者陣の演技も申し分ない。田中裕子さんの人間の時の演技と、AIの時の演技差なんてゾワっとするぐらい。
でもなんだか内容が盛りだくさんすぎて、繋げるとツギハギしているように感じてしまった。
原作が未読なのでなんとも言えないけれど、映画としてまとめるのはすごく難しい作品だったんだろうなと思う。原作を読んで補填したいと思ってしまった。
母親が自由死を選択した理由(本心)を知りたいというテーマ以外にも、リアルアバターだったり、貧富の差だったり、三好との関係だったり…大きな要素が何個もあるので、見ている側はどこに主軸を置いたらいいのか混乱してしまった。
ただ一貫して「本心」というテーマは根底にあって、様々な人間を描くことで、結局その人の本心なんて他人が理解できるものでもないし、それが本心だと確信を持てる証拠なんてどこにも無いんだと思い知らされた。
そもそも他人の本心を知りたいと思うこと自体が烏滸がましいのかもしれない。
将来あんな未来になってしまうんだろうか。
どんなにテクノロジーが進歩しても、それを扱う人間によって良くも悪くもなる。私たち自身も変わっていかないといけないと思った。
「AIで人の心を再現できるか」という平野啓一郎の問いを、石井裕也監督&主演・池松壮亮が的確かつタイムリーに映像化
平野啓一郎の熱心な読者ではないのだが、映画化された近著「ある男」「本心」、そして今年10月に刊行された短編集「富士山」に収録された「息吹」に共通して感じるのは、古くから行われてきた人間の実存をめぐる探究に、21世紀の知見と現実を交えて自身の小説で取り組んでいるのではないかということ。これの前に書いた「動物界」のレビューで実存というワードを使ったことから思いついた程度だが、もう少し具体的に書くなら、比較的最近の科学・技術の成果や、個人のアイデンティティーと生存に関わる社会通念・倫理観・法律(と違法・脱法行為)をストーリーに取り入れたのが、先に挙げた平野の小説群ではないかと。
「ある男」は闇ブローカーを通じて戸籍を他人と交換し、別の人間として後半生を生きた男をめぐる話。「息吹」では主人公の中年男性が、偶然の出来事がきっかけで受けた検査で悪性ポリープを早期発見できた人生と、がん発見が遅すぎて死に向かう人生の両方をリアルな実感とともに行き来する話(「シュレーディンガーの猫」の状態や「量子もつれ」の現象を想起させる)。
そしてこの「本心」では、バーチャル・フィギュア(VF)と「リアル・アバター」という2つの架空のハイテクサービスが登場する。ベースになっているのは、ユーザーが仮想空間でアバターを操る仮想現実(VR)、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル)を装着したユーザーに現実世界とバーチャルな3Dオブジェクトを重ねて見せる複合現実(MR)、そしてChatGPTなど生成AIの登場によりここ数年で世間でも一気に認知されるようになった人工知能(AI)。“自由死”と呼ばれる尊厳死が合法化された近未来、自由死を望んだ亡き母・秋子(田中裕子)の本心を知ろうとして、朔也(池松壮亮)は母のVFを作ってもらい、ゴーグルを装着して居住空間でVFの母と会話する。朔也が新たに得た仕事のリアル・アバターとは、カメラを搭載したゴーグルを装着して遠隔の依頼主の指示通りに買物や旅行などを行うもの。
池松は本作の主人公のように、まじめで誠実で、繊細でどちらかといえば内向的、理不尽な仕打ちやいわれなき中傷を受けても耐えようとするキャラクターがよく似合う(「宮本から君へ」や「ぼくのお日さま」など)。リアル・アバターの仕事中、悪意ある依頼主に振り回されて心身が疲弊していくさまは、ケン・ローチ監督が宅配ドライバーの過酷な労働現場を描いた「家族を想うとき」を思い出した。
田中裕子も実に素晴らしく、彼女以外のキャスティングは考えられないと確信したほど。北の離島で失踪した夫を30年待ち続ける妻を演じた「千夜、一夜」のレビューで、「田中裕子が近年体現してきたキャラクターたちは、彼女の存在感も相まって、女性は、母親はこうあってほしいというような、理想の女性像、母親像を観客が投影しやすくなっているのかもしれない」と書いたが、本作もまさにそう。
初出が新聞連載だった「本心」の掲載時期は2019年9月から2020年7月で、平野は連載中の心境に新型コロナのパンデミックが影響を及ぼしたと語っている。フィジカル(身体的、物理的)な距離と“心の距離”、映像越しのリモートなコミュニケーションなどは、コロナの時期を経験した後で、よりリアルに迫ってくる要素。石井裕也監督の映画としては、「茜色に焼かれる」「愛にイナズマ」と合わせて“コロナ三部作”と総称したい重要な作品群だ。
最初に「自由死」という言葉が出た時、「獣医師」と聞こえてなんのこっ...
300万払えたらええな🩷
ブッチギれた
話かな〜と思って、
300万払って情報を渡したら、
ゴーグルかけてイヤホン付けたら、
死んだ人が目の前に現れて喋ってくれるって⁉️
実現していたなら、大儲けできること間違いないな。
私も。
仕事もカメラ📸付きゴーグルかけて
依頼主のバーチャル体験、
それは様々で、
依頼主の意向に合わなかったり機嫌を損ねると、
マイナスポイントで契約解除になる恐れも。
依頼主との取り決めは無く、言われるまま⁉️
そこに自由死というのも絡みややこしい。
自由死とは、
身体が不自由だったり難病や高齢なら申請して
認められれば、自殺をすると税金が安くなる、法律?
いつの何の税金か⁉️
それよりええんか⁉️
母子二人暮らし、
ある日、母が「大事な話がある。」と言っていたが、
朔也(池松)飲みで遅くなり、
帰ると大雨の中川に佇む母を見つけ、
助けようと🏞️に入るが‥。
あの濁流で母の姿も見えず探しようがない。
飛び込めば自分も危うくなるだけに感じたが。
一年の昏睡から目覚めたら、母は亡くなり、
仕事もなくなり、就けるのはVFのみ。
家を流された三好が間借りしに来るが、するかな❓
男一人暮らしだよ。
母を失った喪失感を抱きつつ、母と対話しながら
仕事して、そして三好と仲良くなっていくが。
途中、何だったかな?この話。
三好と同棲?
あっ、お母さん、死んじゃったけど居てくれる😊
意味深な朔也の高校時代の話。
岸谷(水上恒司だった)、
事あるごとに朔也を前科者呼ばわり、
友達なんだかどうだか?
卑劣教師を殴っただけやんか⁈
ありゃ、酷い。教師が。
話が広がり過ぎてまとまりなく、
イフィー(仲野太賀)の話、もうええわ。
お母さんの本心かな?愛情溢れる母の思い‼️
田中裕子さんや池松壮亮さんの演技が良くて目がいくのだけど、八方に広がり私の力では全部わかろうとするのムリかな、と思いました。
無駄話:
妻夫木聡さん、水上恒司さん、初め誰だかわからず、
イケメンぶりに驚き、三吉さんも美しく。
豪華俳優陣短いながら、ここは見直したい。
人生は不可思議なもの
母の生前の「本心」を、母の「バーチャルフイギア」で知るという設定にどうも違和感を覚えた。
それは原作を読んでた時から感じていていたことだ。
この世には、知らなくてもいいことがたくさんある。
知らなかったことで、思い出に意味が出ることも多々ある。
私も亡き母が、そのときどう思っていたかを知りたい出来事はいくらでもある。
だが、それを知りえなかったことで、かえって母への愛情は尽きることはない。
真実を知りえなかったこそ、母はいつまでも美しい思い出だ。
AIはなんでも望みをかなえてくれる。とうてい不可能なことも可能にしてくれる。
しかし、そこには、「人生は不可思議なもの」というフレーズが完全に抜け落ちている。
ベールに包まれたものが実は美しい。その感情はいつまでも忘れたくない。
よくまとまっている
原作を読んでから視聴しました
「本心」の解釈を読者に委ねる形の原作なので
読者それぞれに違った解釈があると思います
映像化された場合、監督の解釈が反映されるので
解釈の選択肢が多少減った印象がありました
約2時間と言う映画の枠に収めると内容がダイジェスト的になったりしがちですが、
必要な部分はきっちり描かれており上手くまとまっている印象です
さらにVFXを活用した事で原作以上の表現力を見せています
将来的に視聴者が主人公になりHMDで視聴すると凄い事になりそうです
永遠に変わらぬ本心
石井裕也×池松壮亮。現在日本映画を代表する才。
タッグも多く、初タッグ作は『ぼくたちの家族』。母親を軸にした家族物語に、シビアつつ胸打たれた。
そんな二人で再び、母親と息子を軸にした家族物語を。
またまた感動を…と期待したら、変化球。
原作は『ある男』の平野啓一郎。そして意外や、SFであった。
町工場で働く朔也は同居する母親・秋子から「大切な話がしたい」と電話を受け、急いで帰宅。豪雨の夜、氾濫した川辺に立つ母を見つけ、助けようとするが、川に流され重体と昏睡状態になってしまう…。
一年後、奇跡的に回復。僅か一年で、世の中はバーチャル技術が浸透する世界に激変していた…。
ここで主流になってくるのが、バーチャル・フィギュア。略してVF。
仮想空間上に人間を造り出す技術。
原作連載は2019年。それから僅か数年で現実世界でも脅威のAI技術が発展。
バーチャルとAIで創造した仮想世界。及び、人も。
映画の世界でもAIで演技や脚本を…と論争になった事は記憶に新しい。
一昔前、映画や漫画で見た世界が現実のものに。
人類の科学技術の進歩には驚かされるが、ここで常に立ち塞がる問題。
そこに“心”はあるのか…?
AIは人間のように学び、成長していく。
しかし、そこに生身の実態は無く、バーチャルとプログラムだけ。
このVF開発者も言う。心は無い、と。
それでも人はすがる。再会を願う。
朔也はVF企業に依頼。母親のVFを造って欲しい、と…。
朔也が目覚めた時、母親も死んだ事を聞かされる。
病死や事故ではなく、自由死。つまり、自ら死を選んだ。
自殺のようだが、自殺とはちょっと違う。
個人に選択の権利があり、国からも認められ、補償金も出る。何だか『PLAN75』を思い出し…。
状況から見て、自由死を選んだ母。警察はそう断定。
朔也は信じられない。母と二人でそれなりに楽しく幸せにやっていた。そんな母親が自然死を選ぶとは思えない。
それから、もう一つ。大切な話とは何だったのか…?
母親の“本心”。それを知る為に、VFで母親を…。
VFで母親を造る際、過去の記憶や写真を基に。
朔也の記憶では母はいつも穏やかに笑っていたが、写真を補正すると…。
母の本当の顔。
自分の記憶は思い違いだったのか…?
誕生したVFの母。
再会を喜びつつも、戸惑いも。
そこにいるのは、母か、否か…?
葛藤しながらも、母の本心を探ろうとする…。
朔也とVFの母の暮らしに加わるもう一人。
母の友人だという若い女性、三好彩花。
彼女からも母の本心を聞く。
台風被害に遭い、住む場所の無い彼女を母と暮らした(暮らす)アパートに。思わぬ同居人。
何処か謎めいた感のある彩花。
朔也は彼女に過去のある人物を重ねる。
学生時代、想いを寄せていた同級生女子。
その彼女にはある噂が。売春。
それを貶した教師に対し、朔也は事件を…。
彩花にもセックスワーカーをしていた過去が。
そして彩花は想いを寄せていた女子にそっくりなのだ。
朔也、VF母、彩花…。3人の奇妙な共同生活…。
生身の朔也とVFの母だけだったら見てる我々もバーチャルと対してる気になる所を、同じく生身で第三者的な彩花が加わった存在は大きい。
母の友人というが、どういう…?
朔也が想いを寄せていた同級生とそっくり。同一人物…?
彩花自身も影あり。セックスワーカーという過去から、人と肌が触れ合う事を嫌う。
当初距離のあった朔也と彩花。会話も敬語でぎこちない。
定番ながら、そんな二人が徐々に打ち解け合う。明らかにそこに何かしらの感情も…。
キャストは豪華。苦悩を抱えた平凡な青年を繊細に演じた池松壮亮。VFという異例の役柄で、無機質と温もりの狭間を見せる田中裕子。水上恒司、妻夫木聡、綾野剛、仲野太賀、窪田正孝(AIの声!)ら錚々たる面子。
そんな中でもとりわけ、三好彩花を演じた三吉彩花が光る。
本人役? それとも何かのギャグ?…ではなくて、偶然一文字違いの役柄とキャスティング。
彼女もまた複雑な内面難演を見せ、こんなに巧かったっけ…? ふとした表情、佇まい、存在感…いずれも絶品。
シャワーシーンのサービスカットが話題になっているが、ドレスアップした美しさに惚れ惚れ。
着実にキャリアアップしている三吉彩花を目の当たりに出来る。
人間(家族)ドラマベースでありつつ、科学技術社会への風刺もそつなく。
朔也が就いた新しい仕事。“リアル・アバター”。
病人など動けない人やその他依頼人に代わり、指定された場所へ行ったり、望みの事をする。
その模様はゴーグルを通して、依頼人のゴーグルへリアルタイムに擬似体験。
それで依頼人が満足すればいいが…、中には質の悪い客も。
悪戯的にあそこに行け、あれを買え。対面してないのをいい事に、嫌な事をやらせ、汗臭いなどと悪口。それを誰かと見てゲラゲラ笑う。
依頼を拒めば低評価採点を付けられる。評価が下がれば解雇。
グルメサイトや映画サイトの悪質レビューと何ら変わりない。にしてもアイツら、マジムカついたなぁ…。
そいつらに振り回されてる時に、ランドリーでクレーマーが店員にいちゃもんや差別発言をしている場に遭遇。
やれ!やれ!…と囃し立てられ、朔也はある状況を思い出し、つい相手に暴力を…。
無論仕事は解雇。が、この時の件がSNS上にアップされ、店員からは感謝。動画も編集され(店員を助けた場面が強調され暴力場面はカット)、朔也は世間で一躍英雄的存在に。
この動画を見た身体の不自由なVFデザイナーに気に入られ、専属リアル・アバターになる。
たった一つの醜聞で人生は狂い、たった一つの反響で人生は好転する。SNSの良き点でもあり、落とし穴…。
石井監督ならではの人間ドラマと、『ある男』同様平野啓一郎原作の特異題材。
巧みに溶け併せたのは見事だが、ちょっと色々詰め込み過ぎた感もある。
朔也と母、朔也と彩花、個々のドラマ。
自由死、AIやバーチャル社会。
朔也の友人が社会にアンチする件やVF会社CEOの生意気な娘、VFデザイナーが彩花に想いを…など、時々主軸や展開がブレ、何を描きたかったのか漠然と分からなかった点も…。
紆余曲折あって、母の本心を聞くまで結構長かった。
母は同性愛者。好きな女性がいたり、精子提供で朔也を産んだりと、あまり聞きたくなかった事も。
心が無いVFだからぶちまけ…。
しかし…。あの日、母が川辺に立っていた理由。やはり自由死を選んだ訳ではなかった。
母と自分は幸せだったのか…? 聞き出した母の“本心”に、例えバーチャルであっても、そこには…。
ラストシーン。朔也に触れた美しい手。
一時関係が拗れたものの、互いの想いが成就した瞬間。
彼女にとっても、再び人との触れ合いが始まった瞬間。
世界は変わる。技術は進歩する。
そうなったとしても、永遠に変わらぬものが“本心”にある。
将来こんな風にはなって欲しくはないです
心はどこに存在するのか…
池松壮亮さんらしい演技で向き合った作品。
鑑賞後考察論評等を読み漁ると原作とは少し乖離がある模様。そうなるとどこに主軸を置くのかで見方が変わる映画になるがなにせ柱となる軸が同時に走っているので感想は十人十色かと思う。
家族愛、加速する利便性、使い捨てられる労働者に貧困。そして税制優遇による自死の合法化。
全て現実的である。
道徳面に目を潰れば自死の合法化は社会保障費を抑える為にひどく理に適ったシステムだと素直に思ってしまうし現実にあれば迷わず申請してみると思う。
そんな事に関心してる内に物語は進んでいってしまう。
だが驚くほどにこの映画でそれを利用する人が少ない。それくらい皆打ちのめされて生きていると思うのだが私の目から見れば。。
あまりまとまらない感想になってしまったが。
こういった世界になったとき、愛というものが見えなすぎるのは悲しい世界に思う。
以下ラストに関する考察
いやあなんで気付かなかったんだろうこんな単純な事に…
最後の彩花の手は朔也の妄想だったんだな。。その手を掴んで欲しかった、それが唯一彼の「本心」だったっていう、事かぁ…最初見た時彩花は結局朔也以外無理か…と彩花がただ帰ってきて母との対話を終えた彼に寄り添った形でエンドロールかと思ったんだけど、よくよく考えたら彩花はもう帰ってこないのに。どう考えても、朔也が行動してくれなきゃ彩花はもう彼のもとには帰ってこれないもの…朔也が自由死を選んだ余地もあるのかと思ったけど、多分彼にそれは出来ない。希望と言えばそれくらいしかないかな…
あと三好彩花役三吉彩花さんはもう、ここのところモデルさんのイメージで芝居の方はどうなのかと思ったけどなんでこんなにいい役者がこんなに露出が少ないのか…
近未来
AIは電気羊の夢を見るか
時代に翻弄される人間と、目には見えない本心
「正体」の公開日に予告で見て気になっていましたが、内容に不穏な空気を感じて映画館で観ることを諦めた作品です。
池松壮亮さんのお芝居が大好きなので、この作品を観終えた時、映画館で鑑賞しなかったことを後悔しました。
いざ本編を中盤ぐらいまで観て、あまり良いラストではないと想像したんです。
時代の流れに振り回され、人権を踏みにじられるような罵詈雑言を浴びせられ、人を人と思わない社会の渦の中で必死に耐える。
一番知りたいことは大切な人から明かされないまま。だって本心を聞きたい相手が既にいないのだから。
けれど最初に母親をAI化した時の目的なんて忘れてしまうほどに、実際には存在しない母親が生活の中に溶け込み、彩花との距離もわずかながら縮んでいく。
当たり前になりつつある不思議な生活の中で、知らずにいたほうが幸せだったかもしれない真実に触れ、葛藤し、自分や周りの環境を見失っていく姿は心苦しかったです。
でも、終盤が朔也にとって不幸じゃなくて良かったと思えました。
聞きそびれてしまった【大切な話】の内容について、あくまでも「あなたを産んで良かった」と微笑みかけたのはAIの母親なわけで、母親が伝えたかった「本心」だったのかは誰にも分からないことですが、朔也にとっては救いだったと思います。
本編ラスト、朔也の腕に震えながらゆっくりと伸ばされた手。
最後の最後、アパートを出ていった彩花の手首には黒いゴムが身につけられていました。
人に触れることが呼吸ができなくなるほど怖くてたまらない彩花が自ら手を伸ばすということが、どれだけ朔也を信頼しているかを物語っていました。
二人の表情をあえて映さなかったことで、鑑賞側の想像力を大いに膨らませられたことが素晴らしかったです。
AIを演じた田中裕子さんの演技が不気味で良かった
中々に面白い良い映画だと思いました。
私、三好彩花さんが大好きなので、楽しめました。
三好さんは、ヌードシーンもありました。
でも、話しの流れと関係なく出てきたサービスシーンみたいな感じで、物語の必要性から考えるとちょっと疑問です。
AIを演じた田中裕子さんの演技が不気味で良かったです。
仲野太賀さんが、とっても気持ち悪くて(そういう演技で)それも良かったと思いました。
男性目線の映画。
石井裕也監督。
この監督とは相性がいい感じ。今回もそこそこ楽しめた。
男映画というか、男性目線の映画だった。
一風変わった設定の映画で、近未来のお話。
母親との関わりや、異性への関わり方など男なら分かる、という感じ。
映画化の難しい題材を結構上手く映画化したと思う。
やっぱり石井裕也は上手い。
役者もみんな良かったけど、久々の三吉彩花がなんとも良かった。彼女の存在がこの映画の成功では?と思えるぐらい。
ラストも素直に喜べる。彼女のおかげで。
田中裕子さん すごい
時代設定や、いろいろな込み入った話の筋よりも、母親役の田中裕子さんが、楽しく踊っている姿が印象に残る。主人公も、救われたと思うし、母性っていい。
自分は自分の本心が分かっているだろうか?
ここに登場する「自由死」とは、自分の死期を申請して役所に承認されれば税制上優遇されるという、年寄りや重症患者を減らすための制度として描かれていて、『PLAN 75』(2022年)を彷彿とさせると同時に、評論家や政治家による高齢者を社会負担として捉える発言なども思い起こさせる。
また、「持つ者」と「持たざる者」に社会が二分されて、持たざる者がリアル・アバターとして持つ者に右往左往させられる様や、持たざる若者たちが次々と闇バイトのようなものに手を出していく様、そして更に、VFの言動に惑わされている様は、日々の生活がスマホに振り回され、自分の頭で考えることを放棄し生成AIに頼りっきりになる市井の人びとを描いているようでもある。
現在と地続きの近未来の社会を風刺的に描きつつ、「AIは心を持つことができるのか?」という『2001年宇宙の旅』(1968年)以来繰り返し投げかけられている問いに対して、「本来の」人間って一体何なんだ?という問いで答えている作品だと言える。
ネットの投稿などの虚構に満ちた現実と過去のデータに忠実な仮想空間では果たしてどちらが「本物」なのか?リアルな人間だって、そもそもそんなに単純なものではなく、その人の一面だけを見てこうだと決めつけることなど出来はしないのではないか?
本作のタイトルについている英語のタイトルは “The Real You” だ。よく知っていると思っている人のことをあなたは本当に知っていますか?本当にその人の本心が分かりますか?それよりも、自分自身の本心がどうなのか分かっていますか?
どうでもいいことなのだが、エンドロールに小さく「窪田正孝」という名前が書かれていたのだが、それがあの窪田正孝だとしたら、一体どこに出ていたのかがまったく見当がつかないんだよな…… と思っていたらAIの声だそうだ。
全208件中、1~20件目を表示