「ドラマファンだがイマイチ」劇場版ドクターX 今坂さんの映画レビュー(感想・評価)
ドラマファンだがイマイチ
・突っ込みどころが沢山あるのはドラマ版でもそうであるし、そこが面白い所であるとは思うのだが、今回は「いささかやり過ぎでは?」と感じてしまった。大門未知子が冒頭のオペ終了後に拉致され手漕ぎボートと共にヘリから海へ落とされる、何の段階も踏まずに条件を満たしているのかも分からない患者から心臓を取り出し移植する等の描写に自分は引いてしまい、素直に面白いと思えなかった。
・東村練は先日放送のドクターYの東村練と同一人物なのか?ドクターYの時点ではスチューデントドクターだったのが、今回の劇場版では研修医として出演していて、時系列がイマイチ飲み込めなかった。ドクターY内で2年後の国家試験に望むと言っていたような気がしたのだが…あれは数年前の話だったのだろうか。
・ドクターYでの東村練のキャラクターが良いなと感じていたので、今回劇中の飲み会シーンやオペシーンでそこに居る流れが分からない上にあまり台詞も無いので居る必要性も感じられず残念だなと思った。
・元々気弱な大門未知子が凄まじい努力と多くの壮絶な経験を積み現在に至る…というのはドラマ版で既に分かっていた事なので、学生時代の大門未知子の描写より、大門未知子の父親等の描写が欲しかったなと個人的に感じた。
・神津比呂人が病に倒れた神原晶を放置したまま立ち去るシーンがとても辛かった。水に浸りながら倒れている神原晶の姿は本当にショッキングなものに映った。これは自分自身、神原晶がとても好きだからだと思うが、正直もう二度と観たくないシーン。
・昏睡している神原晶の足裏に大門未知子がへのへのもへじを描くシーンは「何故急にへのへのもへじ?」と感じてしまい、その後の大門未知子と城之内博美の感動的なやり取りに集中出来なかった。「いくら神原晶相手とはいえ、大門未知子は患者にそういう事をするのだろうか?」と気になってしまった。しかしラストシーンへの繋がり方は好きだった。
・神津比呂人が爆破事件に巻き込まれた理由が正直自業自得な部分もあり、それにより神原晶が人工心臓を着用する事になってしまうのは、何だかやり切れないなと感じてしまった。もちろん如何なる理由があっても加害者が100%悪いというのを理解した上での感想。
・そもそも人工心臓を神津比呂人の方に使用する事は出来なかったのかという思いが拭えなかった。また「70代後半患者の心臓を、おそらく30代くらいの患者に移植する事は問題ないのだろうか?」と考えてしまい、正直かなり醒めてしまった。
・神津比呂人の緊急処置してる際に、「やめろ」と止めにくる加地秀樹と海老名敬にも正直「えっ?」となってしまった。それが無いとその後が続かないのかもしれないが、流石にこれだけの付き合いのある2人がこの緊急事態にそんな事を今さら言うだろうか?
・神津比呂人のオペシーンで大門未知子以外の人達が涙しながら立ち尽くしているシーンも好きではなかった。ドラマでも同じようなシーンは複数あったが、あの大人数でしっかり時間を取ってやられるとかなり違和感があった。おそらく感動的なシーンだったのかもしれないが、「大門未知子以外作業していないが大丈夫なのだろうか…」と考えてしまい全く感動出来なかった。名も無きスタッフの方達は動いていたかもしれないが、記憶が曖昧である。
・加地秀樹が最後の最後に急に告白するのがよく分からなかった。案の定無視されてただのギャグシーンになっていたが、唐突過ぎて頭の中が疑問符だらけになった。先日放送のドクターY内でも横領したり借金したりで、加地秀樹のキャラクター性の崩壊が激しすぎるのではと感じた。好きな登場人物の1人なのでとても残念。
もはや言い掛かりとしかいえない感想を述べたが、好きな部分も当然あるし、お馴染みの方達が集まって賑やかにしている様をスクリーンで観る事が出来たのは本当に嬉しかった。
ただ、ドクターXシリーズがとても好きな自分としては「これがファイナルなのか…」と思うと落胆の気持ちの方が大きい。