花束のレビュー・感想・評価
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ドキュメンタリーとノンフィクションとドラマを融合
児童擁護施設出身の若者を主役にしたドキュメンタリーとノンフィクションとドラマを融合させた映画、という製作者の位置付け。
率直に、あんまり面白くなかった。
第一に、サヘル・ローズさんの感覚と言うか感性が前面に出過ぎていて鼻に付く。演出意図が有るんだろうと匂わせるシーンが多い。
第二に、素人の演技が下手過ぎて、ドラマになっていない。
結局、ドキュメンタリーの良さも、ドラマの良さも、お互いに打ち消している気がしました。
『大きな家』その他の既存施設取材作品との違い
監督のサヘル・ローズ氏による上映前挨拶では、児童養護施設入所者の人生が描かれている作品で、ドキュメンタリーだけでなく、個別の遣り取りの楽しい思い出のなかから考案されたフィクションも組み合わせており、自分自身も産みの親とは違った人から育てられていて、様々な批判があっても向き合っていく、という話があった。
初めの二人の男性は、親との関係を明るく振り返っているように感じられた。ギターを抱えた男性が進路を相談する大人の男性は、父親であるようにもみえたが、施設職員なのかよくわからなかった。次に出てきた男性は、自分を離れた視点からみることができる、というようなことを少しだけ話して途切れ、マレーシア出身の女性やそのきょうだいが、短い語りで続き、聖書劇が挟まれ、3番目の男性が再登場して、フィリピンにルーツがあったり、戸籍がなく、母子手帳を高額で入手し、名前がついて複雑な身の上だったことが明らかにされていった。最後は、9人の青年たちが海辺で戯れて終わった。
終了後に個別に、齋藤工氏プロデュース作品である『大きな家』に出てくる子どもたちの年齢層と施設在籍中であることとの違いについて質問すると、本作では、こちらが選んだのではなく、自分で立候補してきた人たちだ、と言われ、自分から語りたい人たちだから、あれだけ語っていたのか、そして過去の入所施設への取材がないのも納得した。でも、個人差が大きかった。ギターを抱えた男性と語り合う大人の男性の設定について質問すると、父親を想定した施設職員だ、ということであった。そこは施設職員に望まれるあり方を描いた部分とも解釈できよう。
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