蔵のある街のレビュー・感想・評価
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善意に導かれた善人達の為す善行を描いた善映画
自分達が良き行いだと信じる事の為に、役所団交や病室変更などの迷惑行為は正当化され、資金は何処からともなく調達される描写は、全世界の善男善女達に勇気を与えることであろう。
一方、善意の正体、つまり価値観の押し付け・誤解・思考停止・優越感等がいくつかのシーンで仄めかされていた事に制作者の「善意」を感じられなくもなかった、と言っておこう。
それにしても、演出が全体として古臭過ぎるし、特に祈一の、陣内孝則並に暑苦しい芝居には辟易した。本当にあれしかできないのかしら。
希望の花
最近ちょこちょこ見かける中島瑠菜を目当てに鑑賞。
正直、展開や演出の粗さは気になった。
スケッチを拾ってからきょんくんの不在に気付く。
中盤のビラはいきなりクオリティ上がりすぎ(PC使えるなら最初からやれ)。
それが目に見える“本気度”になるのは分かるが、大人の掌返しもアッサリ。
町内会(?)や役場の説得も、現実的な問題をすっとばして気持ちで押しきってしまう。
しかし若者の純粋な熱意が社会を、世界を動かす様というのは不思議と応援したくなる。
個人的には祈一がとてもよかった。
「はじめは2人のためだったけど、署名を集めるうちに期待を感じた、それは希望だ」という彼の言葉。
これでテーマがぐっと広がった。
グーとパーが噛み合わないハイタッチや、「泣くか!」「泣くわ!」のテンポ感もとても好き。
後半は物語の雰囲気と連動して、蒼の母の本性や「ション太」など笑える要素も出てきて楽しい。
デニム工場やマスカット農園を映したのは唐突すぎ。
しかしそれを除けば、ご当地映画としての役割と物語性のバランスは非常に整っていたと思う。
(タイトルはご当地に寄りすぎて合ってないけど)
蒼や祈一の父親が息子を見直すところを直接描かないのも好感を持った。
ラストカットが顕著だが、画で語ってくれます。
紅子の父も、具体策はなくとも「周りに頭を下げてでも」という言葉で変化と覚悟は伝わる。
やはり最後まで、“気持ち”の映画だった。
蒼のサックスが(結果的に)やっぱり三日坊主だったり、バイトしてる様子がゼロなのは少し残念。笑
花火の前準備が少し見られたのも嬉しかった。
人と人を繋ぐ暖かみがあり静かな感動を呼ぶ
市民映画!倉敷愛!
なぜキーパーソンを役者じゃない人が演じてるんだろうと思ったら
倉敷出身なのね。
まあ彼はそれなりに頑張ってたとは思うけど、
隣町出身のフルート奏者とか市長とかは、
ど素人であることを隠しもせず、失笑。
最初から、作品としての完成度は目指してないな、これは。
オリンピック精神か。
とはいえ、
中島瑠奈さん、山時聡真さん、堀家一希さんの演技は素晴らしく、
脇をかためる役者さんたちもとってもよかったんだが、
いかんせん、手慣れた感じの脚本が
どこかで見たような(ギルバート・グレイプとか)設定と展開のパッチワークで説得力と迫力に欠け、
感情移入の妨げとなり。
そして、宣伝文句とは違って
コロナ禍は、ストーリーとは無関係で肩透かしを食らったり。
(Inspired by コロナ禍サプライズ花火、てところ?)
総じて、生温かい目で見ないといけない映画
と言わざるを得ませぬ。
街愛
倉敷を丁寧に撮影して魅力が充分伝わる
内容はヤングケアラーが中心かな
母親が出て行った理由がはっきりわからなかったり、幼なじみってだけで行政の許可がおりたり曖昧な部分はあるけ“絵の神様”の存在で全部OK
優しい気持ちで見ると楽しめます
手練の技を見よ
オープニングの美術室のシーンで「しつこいようだけど、美大に行かなくて本当にいいの」とか、「だめだめ紅子は頑固だから」とか、「電車の時間」とか、事情説明をセリフでやるんだよね。
この辺をセリフでやられると説明的な感じがするんだけど、自然に観ていられるの。手練による脚本だよ。
それで恭くんの事情をみせて、蒼の三日坊主っぷりをみせて、打ち上げ花火の約束までもってくんだよね。
この辺はいかにもな展開なんだけど、セリフがうまかったりするので違和感なし。すごいよ。
それで高橋大輔でてくるけど、存在感がいいね。演技も違和感がない……と思ったけど、セリフが全部アフレコになってるよね。本番時は今ひとつだったのかな。
花火の署名を集めようと頑張るけど、うまくいかないと、紅子が絵を描いてくれるんだよね。ビラに書かれた絵にある「紅」の署名を見て先生が喜ぶ細かなところもいい。
そして100人の署名を集めたところで、大人をあつめて「花火やろうぜ」っていうんだけど、大反対。なに一つ簡単にはうまくいかないのがいい。
ここで蒼が「この街に元気がないっていうのは、みんながこうやって、面倒なことから逃げてるからじゃないか」って言い出すの。それが大人に刺さるし、観てても『なるほど』と思うんだけど、物語的には唐突なんだよね。ここまで誰も町興し的なことは言ってないの。
でも『なるほど』と思う。『まあ美観地区で花火あげようって言ったら町興しだろうし、いまはどの地域も振興にやっきになってるしなあ』っていう観てる方の共通認識を使ってるんだろうな。手練。
その他も、感情の変わり方が、冷静にみてると唐突なのではってところはいっぱいあんのね。
でも納得する変わり方だから、違和感が出ないの。
そしていよいよ花火大会だってところになって、恭くん意識失っちゃうんだよね。話のつくりがうまい。紅子は「意識が戻らなくても、恭くんは花火があがったって分かると思う」って、そんなことねえだろ的なことを言って、『どうなるんだ』感は強まるね。
そこでお父さんの事情が入り「お前が絵を描いてるから家族がつながっていられる」あたりは泣いた。うまい。
そうこうして、もちろん恭くんの意識は戻り「本当は好きだった『紅白』ってあだな」「俺も好きだよ」と青春らしくしてラスト。
もうボロボロ泣いた。
青春映画としてもいいし、ご当地映画としてもいい
平松恵美子監督は何者なんだと思ったら、山田洋次と組んでたんだね。
飛ばした感情の動きを自然にみせるのが、だからうまいんだ。
公開館がそんなに多くないかもだけど、観たほうがいいよ。
大いにやるべし!
本作では、諦めないことや、人に頼ること、家族の絆、町おこし、人の営みの美しさ、いろんなものが描かれていて、正直、最後の最後までは「いい話だけど、映画としてはテーマを絞るべき」と思って観てた。
だけどホントのラストで橋爪功さん演じる絵の神様(?)の「やるべし、大いにやるべしじゃあ!」というセリフですべてがストン、と腑に落ちた。
本作はコロナ禍で世の中全体が抑うつ的なムードの中、それを払拭するために全国各地であげられた「サプライズ花火」がもとになっているという。
エンドロールで実際に”大いにやった”人たちがあげた花火の映像が流れる。この映画の観た後に見ると、なんと勇気づけられる映像だろうか。この映画はフィクションだけど、近いことをやってのけた人がいるのだ。
また紅子役の中島瑠菜さん、本作で初めて知ったが、これはいい俳優になりますな。美人だし演技が本当にうまかった。あと走るのメッチャ速い。
自閉スペクトラムをもっと認知してもらうという点でも社会的意義はあったと思う。個人的にも勉強になった。こういうのって「認知広めるぞ!」っていうのが前面に出すぎて不自然になることもあるけど、本作はストーリーへの組み込み方が自然で良かった。
一個だけ引っかかるのは、「蔵のある街」というタイトル。言葉自体は趣がありそうで個人的には好きだけど、別に蔵そのものがクローズアップされるわけでもないし、内容とはあまり合っていないような。それになんか加齢臭のするタイトルなんだよなぁ。こんなに若くてハツラツとした内容なのに。このタイトルってだけで結構見る人減ってると思う。そこだけ、もったいない。
その場限りの嘘は、いけん(倉敷弁)
エンドクレジットの途中で帰っちゃダメよ
他の地域密着型の映画と同じく、成功が前提としてあって、そこに至るまでの悲喜交々を描くものなので、花火が上がるのか否かというドキドキはない。
地元の人のズッコケ演技もご愛嬌。
蒼と祈一の短絡的な出まかせに端を発し、分かりやすい起承転結が安心して観ていられる。
自閉症兄、家出母、自暴自棄父と、紅子は少し気の毒な気もするけれど故に後半、美大を諦めた紅子に友達の言葉がクリティカルヒット。
良い友達じゃないか。
蒼の母ちゃんがなかなかドスの効いた演技で良いなと思ったら、宝塚出身とのことなのだけどむむむ、娘役だと⁈いったい何があったんでしょう。
ションタも、お局みたいな意地の悪い登場からのイジられ役が良かった。
母ちゃんが乗り込む時点でオチは分かったけど、こういうベタな展開は、和むから好き。
倉敷の綺麗な街並みも見れて良かった。
橋爪さんはベルリン・天使の詩的な存在でよいのかな?
近くの誰かのために頑張る
美観地区を舞台に青春ドラマ
本気になった時に何かが変わっていく
倉敷を舞台に花火を上げようと高校生が奮闘するお話。自閉症のきょんくんが木に登ってなかなか降りてこないので高校生の蒼と祈一が「打ち上げ花火を上げる」と言ってなだめたことがきっかけで大人たちを巻き込んでいきます。
三日坊主で遅刻も多かった蒼や、自分の進みたい道を諦めていた紅子が自分と向き合っていく姿がとても良かったです。倉敷を元気にしたいという思いも、素晴らしい街の景色も見所です。それぞれのキャラも個性があってとても面白いです。
倉敷はかなり前に一度だけ行ったことがあるのですが、ヤ◯キー多いという印象が強かったので本作でだいぶ変わりました。
エンドロールに流れる映像や歌も含め、なんだかとても良い作品でした。
期待以上
中島瑠菜が良かった
岡山県倉敷市の美観地区に住む高校生の蒼、祈一、紅子の3人は、小学校からの幼なじみで同じ高校に通う同級生だった。ある日、蒼と祈一は、紅子の兄で自閉スペクトラム症のきょんくんが神社の大木に登って奇声を発している場面に遭遇した。きょんくんを木から降ろすため、打ち上げ花火をしてあげる、という約束をとっさに口走った蒼だったが、紅子から詐欺師、と言われてしまった。紅子の怒りの涙にその約束の重みを痛感した蒼たちは、約束通り花火を打ち上げようと奔走し・・・さてどうなる、という話。
倉敷の美観地区の風景の美しさを堪能できる作品。
ストーリーとしてはドタバタ感あるけど、街中の神社から花火を上げよう、という一点に絞ってみんなが奮闘する姿が良かった。
蒼役の山時聡真の演技が良かった。
自閉症の兄を持つ紅子の苦悩、大好きな絵を諦めかける心情、中島瑠菜が素晴らしかった。
元レデースで蒼の母親役の陽月華が面白かった。
学芸員・古城役の俳優が伊藤淳史に似てるけど違うし、誰だろうと思ってたら、何とフィギュアスケーターの高橋大輔だった。俳優だと思い込んで観てて、全然違和感なかった。
駅員の伊東さんが出て来た時、観客が湧いていた。倉敷の有名人なんだろうとは思ったが、誰かと調べたら、倉敷市長の伊東香織さんだった。
手嶌葵の主題歌も良かった。
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