SUPER HAPPY FOREVERのレビュー・感想・評価
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映画は夢であって、夢を見る人そのものではない
この映画は正に夢を見る人のポートレートであって、夢を見せるものではなかった。
さらに加えると、夢の中の人が現世の人を困惑させるのは見ていて楽しいものではない。こういう人間のことは好きだが、面白いとは全く思わない。
さりげなく、そしてわかりづらくはない演出
再上映で鑑賞。
妻を亡くした男とその友人が思い出のホテルで過ごす冒頭。妻を亡くした喪失感や悲しみはわからないでもないが、友人や周りの人たちへのあの態度はない。なんて嫌なやつだと思っていたが、妻と出会った5年前を描くパートでは普通にいい人で驚いた。それくらいに喪失感がすごいんだなと思わせる演出だ。
現在→5年前→現在と場面が転換するのもさりげなくて、でもわかりづらくない。そして、それぞれ前のパートの伏線が活きてくるのもうまい脚本だ。そういう意味では興味深く鑑賞することができた。一組の男女の出会いと喪失、その落差を描いているように見えたが、赤い帽子を通じて人と人のつながりみたいなものが描かれているようにも思える。
いろんなことを説明してもらえないのはこの手の映画ではよくあること。勝手に、凪の忘れっぽいところや、時間を忘れて物を探してしまうところに、若年性認知症の可能性を感じてしまう。だとすると、「幸せだったでしょうね」と言われた彼がそんなわけないでしょうと強く否定するあたりは別の意味が付与される。思い返せばかなり切ない気持ちになる。
涙を流すような感動があったわけではないし、そうだったのか!と衝撃の事実が判明するわけでもない。映画の感想ってのは不思議だ。それでも、なんかいい映画だったなと思う。
演技していませんの演技
旅先でのナンパからの夫婦の思い出
山本奈衣瑠さんの中には観ている人間の心を掴む何かがある
変な題名の映画だと思っていたけれど、中々良かった。
「ココでのはなし」と「夜のまにまに」で主演の山本奈衣瑠さんがこれにもW主演している。
驚くような美人さんじゃないけれど、普通の演技が上手い。
この俳優さんは、これからもっと売れるようになるかもしれないね。
観ている人間の心を掴む何かが、この人にはある。
伊東のホテルを舞台にした夫婦の始まらない物語。
良い映画でした。
凪のかけらを探して・・・
心地のよい時間を過ごせました。
たまたま古着屋の店の前に落ちていた赤い帽子をお金払って手に入れちゃって凪にプレゼント。帽子は凪の癖ってのもあるけどまた失くなる運命。
凪を亡くした喪失感を埋めたい帽子探し。凪は失くなった帽子をベトナム人女性に託していた。佐野と女性は思い出の歌でシンクロするが想いにふけるだけ。最後の出勤日、ずっと凪を待っていた彼女は気付いたのかもしれませんね。
海にお別れを伝えるが、前を向いて歩いていかなきゃならない。
佐野が少しでも凪の思い出に触れる事ができたのはスパハピの指輪をはめたせいか?って勝手に思ってたんですが、違うかな〜。でもとても良い時間が流れる映画でした。観れて良かった。横川シネマさんありがとう!
ある男性。伊豆に旅行中、出会った女性に惹かれ、結ばれるも その女性...
嫌いじゃないですが、もう一味ほしかった!
傑作まではいかなくとも
凪の想いが心に沁みる
妻である凪を亡くして、想像を超える喪失感に苛まれる佐野の気持ちはいかばかりであろうか?と
最初のパートは観ていられないくらい苦しくなる。
2018年8月に妻と出会った地のリゾートホテルを、2023年8月に友人 宮田と再び訪れる佐野。
そこで妻にプレゼントした赤いキャップを探すも見つからず、妻の手がかりもなく、
喪失感ばかりが彼を襲う。
そして、凪との思い出の曲をベトナム人ホテル客室清掃員のアンがうたっているのに耳を傾ける佐野。
話は2018年の凪との出会いパートになり、
いかに凪が佐野への想いを大切にしていたかが、凪の行動・言動・表情などで紡がれていく。
忘れ物が多いキャラ設定の凪、佐野からプレゼントされた赤いキャップをなくしていまい、
ずっと探し続ける。ずっとずっと。佐野と会う約束を忘れてしまうほど探すことに没頭する。
そのくらい大切な帽子。
佐野と会えないままかと思いきや、会うことができ、これが結婚までつながったのだろう。
このときが2人にとってのSUPER HAPPYの始まりだったのかなと思った。
最後は凪と出会い、忘れた帽子が出てきたら、かぶってていいよと言われたアン。
アンは凪の帽子をかぶって、今の凪と佐野の思い出のうたをうたっている、
で、それを最初のパートで佐野が聴いているのにリンクする、という、そんな終わり方である。
このあとの佐野がどうなるのか、凪との結婚生活はどうったのか、宮田とは仲直りできたのか、など
その後のストーリーは観客に委ねられた。
「喪失がもたらす幸せな想い出」
五年前と同じ旅先。同行者も同じ友人。視界には空と海の眩いばかりの青さが広がる。違うことは五年前にここで出会い恋に落ちて結婚した妻、凪が最近亡くなったことだけだ。妻が亡くなった現実は、心と精神を重く痛めつける。現実を受けいれたくない気持ちがある一方で、凪はもういない。友人の空虚な励ましや「現実を受けいれろ」といった言葉は、凪の死と向き合っている佐野にとって虚しく響き、友人に悪態をつく。そんな佐野の姿は痛々しい。
ホテルから出ようとしたとき、廊下から聞こえる歌。凪がよく口ずさんでいた歌を佐野が耳にするシーンから、回想が始まる。
佐野と凪の視線の交わり、船上での出会い、食事の好みの一致、赤い帽子のプレゼント、クラブでの二人の一体感、どの場面も佐野と凪のロマンスの始まりを告げる幸福なシーンだ。この回想は、佐野にとって永遠に特別な幸せな想い出として描かれている。
凪の旅行が友人の都合で一人旅になったことや、スマホを忘れたりライターをなくしたりするなど彼女の、忘れっぽい性格を簡潔に描写するシーンもある。凪はホテルのベトナム人の従業員と気さくに話し、写真を撮ったり、彼女の歌を聴いて「うまいよ」と一言交わしたりする。
凪の回想シーンの大部分は、佐野からもらったバースデープレゼントの赤い帽子をなくし、それを必死に探し回る姿だ。赤い帽子は凪にとって、佐野への愛を象徴する、特別な幸せを感じさせるものだった。結局帽子は見つからなかったが、ホテルを後にした佐野と偶然再会する。その時の凪の「また会えた」という心の底からの笑顔と、それに対する佐野の安堵した表情が印象に残る。
この映画の最大の魅力は、佐野だけでなく、亡くなった凪の永遠に特別な幸福感をも描写している点だ。凪の想いを映像化することで、二人の永遠に特別な幸せが多層的に伝わってくる。
愛する凪との死別。そして愛する佐野の姿。その二人が、失われたことで蘇る永遠に特別な幸福な思い出を通じて、見る者はただ身をゆだねるだけで幸福感に包まれるのだ。
思い返せばいい映画だった
見終わってすぐの感想は、「これで終わり?」だったんだけど、、、
見終わって数時間後の今思い出すと爽やかな気持ちだけが胸に残っている。
風呂でおじさんが倒れる場面はじめ、常に死が匂わされ、こちらを不安にさせる音の演出などもあり、途中恐ろしいことが起きるのでは?とも思った。
一方で二人が出会う場面は会話のディテール、二人の演技含め多幸感に溢れていた。
それこそ、こういうことがあれば人生やっていけるよなあ、と思えるくらい。
ここにテーマの一つがあるのかな?
話題というかテーマがとっ散らかってる印象がなかったわけではなくて、、
というか主題もしっかり理解できてる自信はないんだけど
その分からなさ含め、これからしっかり考えていきたいと思える映画だった。
とにかく映画館でまたみたいと思える。
素晴らしい映画体験だった。
意外と
透き通るような景色の中に感じる儚さ
タイトル通りの話
永遠に超幸せ、なんてありえないと思うので、おそらくあまり幸せではない話なんだろうと思って見始めたら、やっぱりそうだった。
主人公の男女はいずれも過去に囚われていると思う。
コンビニの駐車場でカップラーメンを食べた一瞬が永遠になり、幸せを約束するように思えるけど、見る方はすでにそれが悲しい結末に至ることを知っているので、全く幸せではない。
すでに死んだ女の映像。それは岬に出るという幽霊そのものだ。
なので、ベトナム人のホテル従業員が、キャップを掠め取ることは、悪事というよりささやかな開放だと思う。過去が成仏する感じ。
浜辺をトボトボと歩き回る男と女に比べて、彼女の自転車移動は軽やかだ。
色々とディテールがうまくかみ合っていない感じもあったが、映像に引き付けられるものがあったので、満足しました。
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