2度目のはなればなれのレビュー・感想・評価
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クリストファー・ノーラン監督に問いたい
「ダンケルク」の後日譚を思わせるノルマンデー上陸作戦以降70年後も消えることのない各種の後遺症・トラウマをベースにした戦争災禍と戦火を離れた安穏な日常の美しさを老優が見事に回想して行く。
人生の最期まで断捨離しても捨てられない物、それに纏わる記憶が70年も連れ添った夫婦でもそれぞれに違い捨て切れない。
形は取るに足らないつまらない物でも、詩歌、音楽、日の出、イヌバラの押花、プードル…は、
心の奥から、鮮やかに時にその記憶は甦り、消し去ることが出来ない。
そんな記憶を捨て去る勇気出して戦友の墓参のためドーバー海峡を越え、90歳1人旅として、世間では老人ホーム大脱走と騒ぎ出す。
戦争の傷は、
死期直前となり70年前の戦時を超えても戦禍の恐怖をひた隠しする戦争経験者には、被曝敗戦国の日本だけのことではなく、
戦勝国でも英国にもあることが知れ、なおの事、戦争の罪の深さを思い知らされる。
実際、原爆投下国合衆国ではどうなのか?
「オッペンハイマー」では、そんな謙虚さを感じ取れないのはやはり私たちが東洋人だったからか?
この辺をノーラン監督に聞いてみたい。
先日、ノーベル平和賞に日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の受賞したから余計にそう思うのか?
この映画は、本国イギリスでは2023年10月に公開され、
妻役のグレンダ・ジャクソンは同年6月に他界し、これが長編映画の遺作となった。
この映画にて、彼女とは、永遠のはなれ離れになったのだ。合掌
久々に笑いのある紳士な大人の良い映画だった。
( ◠‿◠ )
2度目のはなればなれ
劇場公開日:2024年10月11日 96分
それぞれ2度のオスカー受賞経験を持つイギリスの名優マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンが、「愛と哀しみのエリザベス」以来50年ぶりに共演し、
89歳の退役軍人がノルマンディー上陸作戦70年記念式典に参加するため老人ホームを抜け出した実話を基に描いたヒューマンドラマ。
2014年、夏。
イギリス、ブライトンの老人ホームで暮らす老夫婦バーナード(バーニー)とレネは、互いに寄り添いながら人生最期の日々を過ごしていた。
ある日、バーナードはフランスのノルマンディーへ向かってひとり旅立つが、彼が行方不明だという警察のSNS投稿をきっかけに、世界中で大きなニュースとなってしまう。
バーナードとレネが離ればなれになるのは、今回が人生で2度目だった。
決して離れないと誓っていたバーナードがレネを置いて旅に出たのには、ある理由があった。
監督は「シンクロ・ダンディーズ!」「理想の結婚」のオリバー・パーカー。
本国イギリスでは2023年10月に公開された。
妻役のグレンダ・ジャクソンは同年6月に他界し、これが長編映画の遺作となった。
2度目のはなればなれ
劇場公開日:2024年10月11日 96分
大した爺様と大した婆様
洒落た作品です。50代以上の方にオススメします。
実話を元にしたストーリーという事ですが、品のある老人達の出会いと別れ、過去の決別、様々な想いを冷静に見つめて
描いた感動的な名作でした。
邦画にするとしんみりしてお涙頂戴ものにしてしまう題材をマイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンの二人の名優が
センスある作品にしてくれてます。若い時代の回想シーンもとても見ごたえがあり上映時間は長く感じることはなかったです。
妻の介護と日常でまあまあの忙しさの老人施設から脱走という派手な事件が目を引きますが、
実際は落ち着いてじっくり人生の意味を想い起こすにはお勧めの作品です。
90歳はまだまだ先という方には親の人生を考える時間を作るという意味でも価値はあると思います。
心に余裕のある時にぜひご覧ください。マイケル・ケインの現役最後の出演作です。
【”大脱走。そして高齢の英国退役軍人は2度目のノルマンディへ”任務”を果たす”ために一人旅立った。”今作は、名優マイケル・ケインの最後の雄姿を見るに値する逸品であると、私は思います。】
ー 2014年6月6日、ノルマンディで行われたDデイ70年記念式典に参加するため、89歳の英国退役軍人が、老人ホームを抜け出しフェリーで現地に行き、マスコミに”大脱走”と騒がれた実話の映画化である。
そして、物語はほぼその通りに描かれる。
但し、夫バーナードを演じたマイケル・ケインと妻レネを演じたグレンダ・ジャクソン(公開前に死去。この作品が遺作となった。だが、この作品が遺作であれば女優冥利に尽きるのではないかな。合掌。)の名演で。ー
■バーナードは体調の優れないレイを気遣い、一度は式典参加を諦めるが、妻の強い勧めで70年前の激戦地”ソード・ビーチ”へ老人ホームの職員たちに何も言わずに、こっそり旅立つ。
そして、Dデイの日に、同じ船に乗っていたダグラス・ベネットに頼まれた約束を果たしに行くのである。
◆感想
・前半はコミカルな感じで物語は進む。特に全編を通じ妻レネを演じたグレンダ・ジャクソンの明るさが、作品を和ませる。
・この作品は、バーナードが”ソード・ビーチ”に立つ冒頭のシーンから、随所で第二次世界大戦の潮流を連合国側に変えた激戦シーンを絡めつつ、現在のシーンを主に描かれる。
■心に残ったシーン幾つか
1.バーナードが殆ど何も持たずに会場に着いた時に出会ったイギリス空軍だったアーサーが、親切にも自分のホテルに彼を誘い、彼と往時の話をするうちに息が合い”自分はアルコール中毒だ”と告げるシーン。PDSDに苦しむ様は描かれないが・・。
2.”ソード・ビーチ”沿いに立つレストランで、バーナード達米英兵が食事を摂る中、近くにいた仲間だった兵を偲ぶ旧ドイツ兵達のグループにバーナードが近づき、米英、旧ドイツ兵達が同じテーブルを囲み、言葉は通じないが、バーナードが差し出した手を一人の旧ドイツ兵の男がその上に手を置き、二人で相手の眼をしっかりと見ながら、固く手を重ね合うシーンは、沁みたなあ。
そして、バーナードとイギリス空軍だった男は自分達のオバマ大統領とエリザベス女王の直ぐ後ろの席を、彼らに譲るのである。
ー 時は、憎しみを同じ苦難を共にした者たちを、友として結ぶのである。白眉のシーンだと思う。涙が出たよ。ー
3.更に、バーナードは式典には出ずに、ノルマンディの戦いで亡くなった兵たちが眠る墓地を訪れ、バーナードが同じ舟に乗っていたダグラス・ベネットに”突撃しろ!”と言った際に彼から受け取っていた、彼の恋人の写真と手紙を入れた金属の小さな箱を持参し、深く詫びるのである。
このシーンも実に沁みた。
4.アフガン戦争で地雷で足を失っていた黒人青年に、バーナードが掛ける言葉も良かったな。
<そして、”任務”を果たした”バーナードは英国に戻るのだが、熱狂的に迎えられる中、バーナードは妻レネと、手を握りながら夕日が沈む光景を静かに見ているのである。
その後に流れたテロップも、心に残る。本当に二人は2度だけ離れたけれども、それ以外はずっと一緒に暮らし行く事が分かるからである。
今作は、現況の世界情勢の中、大切なメッセージが描かれており、又、名優マイケル・ケインの最後の雄姿を見るに値する逸品であると、私は思います。>
人生の重荷を降ろすための旅
「D-デイ」から七十年の節目の2014年6月6日。
『オバマ大統領』や『エリザベス女王』も参列した記念の式典が
フランスのノルマンディーで開催された。
そこに当時九十歳の『バーナード・ジョーダン』が
住んでいた高齢者施設を誰にも告げずに抜け出し参加した、との
実話を基にした一本。
当時の報道を確認すると、本作とはかなりの乖離があるものの、
脚色の妙により、趣きの深い作品に仕上がっている。
『バーナード(マイケル・ケイン)』は妻の『レネ(グレンダ・ジャクソン)』と施設に暮らす。
戦後七十年、片時も離れずに暮らした二人が
別の場所で時間を過ごすのはこれが二度目。
では一度目は何時かと言えば、それは戦中。
彼は英海軍で「ノルマンディー上陸作戦」に従軍していた。
命を賭した激しい戦闘は、その後のPTSDを生む。
銃後の妻とて安穏としてはいられない。
軍需工場で働いているさ中にも、戦死の知らせが届くかもしれず。
ましてや、ノルマンディーはドーバー海峡を挟み指呼の距離。
爆撃の音が聞こえ、閃光が見える場所で夫が闘っている。
そのやるせない想いはいかばかりか。
戦場に立つ当事者にも過酷な運命は待ち受ける。
今の今まで言葉を交わしていた僚友が
次の瞬間には屍に。
生き残った者の心にも、大きな傷跡を残す。
七十年を経ても、最愛の妻にも心情を吐露できないほどの。
主人公が、記念式典出席ツアーへの申し込みを躊躇い、
結果として独りで旅立つことになった訳も
そこにあるのだから。
英国人らしいユーモアに包みながら、
時としてドラマチックに、時として柔らかな視線で
夫婦の愛情と戦争の不毛の二本柱を描く。
フランスへの船上で知り合った、
アフガニスタンからの帰還兵や
やはり第二次大戦に従軍した英兵と心を通わせるエピソードは秀逸。
わけても、慰霊のために同地を訪れていたドイツ兵との遭遇には心が震える。
英米仏軍=善、独軍=悪との、単純な図式ではない。
戦争そのものが孕む大きな不毛を感じさせる。
「Great Escaper」とテレビや新聞を賑わした報道の中身は、
遠く離れた東洋の地に住まう者からすれば
「なにを大げさな」が正直な感想。
が、それほど大きく取り上げられること自体が
「D-デイ」が当地に住む人々にとって強い記憶なのだろう。
マイケル・ケイン引退作!
俳優の引退って本当に引退するから困ったもんで、タランティーノも次作で引退かぁ。
大仁田厚の引退は、聞き飽きたけどさ。引退する俳優って、俳優やらなくても食っていけるもんなぁ。
引退した芸能人って、慈善活動したり、記念式典に出席しているだけなのに食っていけるから、復帰はしてくれないでしょうねぇ。
あ、大仁田さん、貴方はもう結構ですから。また痩せたり太ったりしててください。
2014年、夏、ノルマンディー上陸作戦で従軍した過去を持つ陸軍と空軍の兵士が戦後70年記念式典で出会い、お墓参りに行くお話し。以上3行であらすじ終わり!どっとはらい!
では、あんまりですか?ところが、このシンプルなお話しを最後まで飽きさせないで見せてくれるのですよ?名優達の演技力だけでね?
竹中直人が「 役者は下手な方がいい」 という本を書いていたけど、演技が下手な役者ってさ?天丼のてん屋で海老の天ぷらを入れ忘れて提供されるのと同じで、許してはいけないと思うんだ。
俺の家系は、女は長生きでこの前亡くなった婆ちゃんは102歳で天寿を全うしたが、それに比べて男は短命で( 落語とは関係ないからね) 男のお爺ちゃんって、会った事がありません。永久保貴一先生に調べてもらったら原因は分かるのかしら。何とも悩ましいところです。
だから、お爺ちゃん俳優の動向は気になって、映画で見ると安心します。良かった、まだ生きていたってね。
マイケル・ケインの最後の仕事です。映画ファンなら見に行くのが義務です!見て損はしません!二回見ろとは言いません!絶対に損はしないから、見に行こうぜ?!
品のある映画だった。高評価も納得。
want toではなくhave to
とても美しい映画だった!
老兵健在
人生の幕引き
90歳の老人が施設を抜け出し従軍したノルマンディー上陸作戦で亡くなった戦友の墓参りに行って帰るまでの一泊二日の物語。俳優陣の演技がとてつもなく、後半は演技の枠を超え、本人の言葉なのではないかと思わせるほど観客の心に静かに染み渡る。戦争のトラウマに向き合う姿など考えさせられる。両親が昭和一桁生まれで同じ世代であり、親のこと、また、これから迎える自分の老後のことなど考えさせる映画。実話だと知って最後に涙が出てきた。細かいアラはあるのだが、イギリス短編らしい良い映画だった
「戦争、後」の描き方
終盤は、マイケル・ケインさんへの賛歌に見えて、ジーンとした。
マイケル・ケインさんの引退作ということは事前情報で知っていたけど、
本編を観終わり、グレンダ・ジャクソンさんの遺作と知ったら、めちゃくちゃ切なく、寂しくなった。
ところで、
なかなか日本映画が向き合い描く「戦争」のその後とは違うなぁ、と。
けど、
70年近く経った今でも、トラウマに悩んだり、
戦争を否定し、戦争は無駄死にだとしっかり言及してくるところ、
退役軍人のパーティー感だけじゃないところが印象的だった。
ポスターを見る限り、ほのぼの系だと思っていた!
戦争経験者との向き合い方
2014年7月に、89歳のイギリス退役軍人バーニーが、フランスで開催のノルマンディー上陸作戦70年記念式典に参加するために高齢者施設を抜け出した騒動を映画化。一度引退表明をし、常連だったクリストファー・ノーランの『オッペンハイマー』出演も断っていたマイケル・ケインが、表明を撤回して臨んだ最後の主演作。
宣伝から受けるイメージから、どうしても妻レネとの夫婦愛に注目されがちだが、本質的に描きたかったのは戦争に関わった者達のトラウマや苦悩との向き合い方にあると思う。実際に戦争に赴いた元兵士の中には当時の記憶を掘り起こしたくなかったり、PTSDに苦しみ続ける人もいる。本作の監督オリヴァー・パーカーの父も、バーニーのように従軍経験があるも、その詳細を語りたがらなかったという。
しかし、そうした第二次大戦を戦った彼らの数は年月を追うごとに減っていく。つまりそれは戦争という過ちを語り継ぐ者も減っていることとイコール。かつては敵だったが、今は同じ苦しみを抱える者もいる。中盤での、そんな彼らとバーニーの邂逅シーンが一番印象的だった。
ケインやレネ役のグレンダ・ジャクソンとの、英国人らしい軽妙な掛け合いも微笑ましい。ジャクソンは本作が遺作に。合掌。
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