2度目のはなればなれのレビュー・感想・評価
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「戦争、後」の描き方
終盤は、マイケル・ケインさんへの賛歌に見えて、ジーンとした。
マイケル・ケインさんの引退作ということは事前情報で知っていたけど、
本編を観終わり、グレンダ・ジャクソンさんの遺作と知ったら、めちゃくちゃ切なく、寂しくなった。
ところで、
なかなか日本映画が向き合い描く「戦争」のその後とは違うなぁ、と。
けど、
70年近く経った今でも、トラウマに悩んだり、
戦争を否定し、戦争は無駄死にだとしっかり言及してくるところ、
退役軍人のパーティー感だけじゃないところが印象的だった。
ポスターを見る限り、ほのぼの系だと思っていた!
戦争経験者との向き合い方
2014年7月に、89歳のイギリス退役軍人バーニーが、フランスで開催のノルマンディー上陸作戦70年記念式典に参加するために高齢者施設を抜け出した騒動を映画化。一度引退表明をし、常連だったクリストファー・ノーランの『オッペンハイマー』出演も断っていたマイケル・ケインが、表明を撤回して臨んだ最後の主演作。
宣伝から受けるイメージから、どうしても妻レネとの夫婦愛に注目されがちだが、本質的に描きたかったのは戦争に関わった者達のトラウマや苦悩との向き合い方にあると思う。実際に戦争に赴いた元兵士の中には当時の記憶を掘り起こしたくなかったり、PTSDに苦しみ続ける人もいる。本作の監督オリヴァー・パーカーの父も、バーニーのように従軍経験があるも、その詳細を語りたがらなかったという。
しかし、そうした第二次大戦を戦った彼らの数は年月を追うごとに減っていく。つまりそれは戦争という過ちを語り継ぐ者も減っていることとイコール。かつては敵だったが、今は同じ苦しみを抱える者もいる。中盤での、そんな彼らとバーニーの邂逅シーンが一番印象的だった。
ケインやレネ役のグレンダ・ジャクソンとの、英国人らしい軽妙な掛け合いも微笑ましい。ジャクソンは本作が遺作に。合掌。
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