2度目のはなればなれのレビュー・感想・評価
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#21 第二次世界大戦の思い
夫婦の絆を描いた作品かと思っていたら、意外にも戦争のトラウマものだった。
大戦に参戦した国の国民ごとに色々な思いがあるんだろうけど、ノルマンディ上陸についてはほとんど知識がなく、どの国の人がどのくらい戦死したか知らないせいか主人公の気持ちもよく理解できず。
どっちかと言うと奥さんの気持ちのほうが寄り添えた。
それにしてもイギリスの老人用共同住宅にエレベーターがないのには感心した。
一旦筋肉が衰えると元に戻らないから、時間がかかっても階段を昇り降りさせるのは良いかも。
「r」がついただけだけど
「The Great Escape」は大好きな映画です。邦題が「2度目のはなればなれ」だったので、戦争に関係のあるお話とは全く思っていませんでした。
とても心に残る作品になりました。見てよかったです。
思いのほか重い話でした。
ターナーの海と険しくも美しい人生
大脱走(1963)と一字違い
2014年のイギリス、ブライトン。老人ホームで暮らす老夫婦バーニーとレネは、互いに寄り添いながら人生最期の日々を過ごしていた。ある日、バーニーは誰にも言わずフランスのノルマンディーへひとりで向かった。ホームの人たちが周りを探しても見つからず、警察に届け、彼が行方不明という事がニュースとなり、テレビや新聞で大きく報道された。彼は1944年のノルマンディ上陸作戦に参加した退役軍人で、70周年のDディ記念式典に参列しようとしていたのだった。実は、バーニーとレネが離ればなれになるのは、今回が人生で2度目だった。2人が付き合うようになり、結婚し、レネがホームに入らないといけなくなったらバーニーも付いてきて、決して離れないと誓い、過ごしてきたのだったが、バーニーにはどうしてもフランスに行きやりたい事が有ったのだった。そんな実話に基づく話。
終活としてやり残した事が有ったんだなぁ、という事だね。
しかし、あの戦友から預かってた小箱は彼女に渡して欲しいと言われてたはずなんだけど、なぜ渡さずずっと持っていたのだろう?
それを本人の墓に返したかったのはわかったが、その前の、なぜ彼の頼みを果たさなかったのか、そこが疑問。
もしかして何か見落とした?
ホームの人たちに黙って行ったのは、反対されるからなんだろうけど、90歳の入所者が行方不明になったら騒動になるってわからなかったのだろうか?認知入ってるようには見えなかったが。
その2点の疑問が最後まで解決出来ず、モヤモヤが残った。
原題The Great Escaperって1963年のスティーブ・マックィーン主演映画・大脱走(The Great Escape)と一字違いだなぁ、って思った。もしかして、狙ったのかな?
イギリスでは2023年10月に公開されたが、公開前にレニ役のグレンダ・ジャクソンは他界し、ほんとに遺作になったそうで、彼女のご冥福をお祈りします。
また、バーニー役のマイケル・ケインも本作を引退作としたようで、2人の名優の最後を飾る作品となったようです。
全てが上質なヒューマンドラマ
90歳近いおじいさんが1人で老人ホームを抜け出すという設定(実話らしいので当時は大騒ぎだったと思うが、さすがはユーモアあふれるイギリス。日本ならあんな面白がるような報道にはならないだろう笑)だけでもう面白いのだが、ロードムービーとしてもラブストーリーにしても描き方がなんとも上質。
バーニーと若き退役軍人との会話しかり、レネとアデルとの会話しかり、どちらも老夫婦がこれまで経てきた人生の厚みからくる温かさや心の強さを感じた。
それでいてお互いのことになると心配や焦りも感じさせるような愛が2人の間には確実にあり、この2人のような夫婦として人生をまっとうできたらどれだけ幸せなことかと思った。
そんな繊細で細かい心情を丁寧に確実に演じたマイケルケインとグレンダジャクソンにはあっぱれである。
また、脇を固めるアーサー役のジョンスタンディングや老人ホームのみんなもそれぞれキャラが立っていてとても良かった。
出演者全員がいるべくしていて、主人公たちを暖かく守っていると言う意味でも、映画として無駄のない作品だと思う。
引退作にふさわしい、静かで温かい映画
老いてこそ輝く…黄金色の夕日の様に
イギリス映画だ!素敵だね!(...字幕イマイチ)
映画館で見て良かった。
字幕がところどころ変だった以外は最高
演技すげぇ。めっちゃ良かった。
めちゃくちゃ笑って深く悲しくなって生き方の希望も見せてくれる。爺さんかっこいいしかわいいし情けないしやっぱかっこいい。
繊細でユーモラス、重厚感も歴史も感じる流石イギリス。
割りと腹の内が読めないことが多いイギリス人をわかりやすくバランス崩さず優しく表現していた。
年寄りへの敬意ある目線も良い。こういうとこはヨーロッパの映画は安心できる(アメリカは年上への敬意がなさ過ぎるんだよなと余計なことを思った)
普段は考えない、こんなふうに年を取れたらなどと一瞬でも思わせてくれる映画。
それとイギリス人のことを以前より少しわかった気になれる映画(笑)
戦争シーンは普段見てるアメリカの映画と比べたらなんか微妙だったけど心理描写はイギリス映画が好きだ。ピカイチ。米仏ではなく。
無駄がなく安心して見てられる。
チャンスが有ればもう一度映画館で見たい。
余談
戦争シーンとドイツ人の描写だけは他の繊細さ比べて雑な気がした。個人的に。
生きてきた時代が自分と違うから一概には言えないが打ち明けた時のドイツ人の目に最初に浮かぶのは驚愕や怒りじゃないと思うんだよなー...
我々日本人から見たら大陸の人はおおむね強気で短気に見えるけど根は繊細であの強さの裏は傷つきやすい印象がある。なのであの目の反応の描写は自分とは解釈に違いがある。日本人やイギリス人の方が根が図太い気がするのは島国根性かもしれんなと思った。
イギリス人目線だと違うのか、それとも制作者側の意向や実際のやり取りがベースなのか、地方によっても性格違うしあのドイツ人がドイツ人を代表してるわけでもないが。普段そこまで気にしないが他がとても繊細な描写だので、何かしらの意図はあるはずと少々気になった。
あとはなんか翻訳が結構変じゃなかった?
ンッンー↑が全部ラッキーってなんだあれ...ほかにもいろいろあったけど忘れた
感無量
89歳の退役軍人がノルマンディー上陸作戦70年記念式典に参加するために、
老人ホームを抜け出して、独りフランスまで向かうという実話をもとにしたお話。
感無量です。
今、感想を書こうとしても感情がブワッとなって涙が出てきます。
戦争が人々に残した心の傷の深さや、
お互いの気持ちを尊重し合う愛の強さや、若い者への感心や、
歳を重ねてもウィットさやキュートさ忘れずにいたり、
その他にも上手く言い表せないのですが、
いろいろな大切なことを教えて貰ったように思います。
こちらの作品で引退された
バーナード役のマイケル・ケインさんと、
昨年他界された奥様のレネ役のグレンダ・ジャクソンさんの
セリフを超えた年代を重ねた滲み出る奥深い演技が、
もう本当に素晴らしくて...
それぞれ最後の作品になられましたが、
今回、この作品を観ることができたことに感謝しかないです。
こういうのを名作というのだろうけど
心と言葉と行動
無遠慮で表面的で軽薄な現代社会を嗜めつつ、人生で何が大切なのかを考えさせてくれる作品。
高齢の主人公の前に自転車で割り込む若者のSorry。目的すら知らないのに、勝手に主人公の行動を見栄えだけの言葉で囃し立てるマスコミ。Ddayの式典も、ある意味においては同列にあるのかもしれない。身の回りに溢れかえる空虚な言葉に慣れてしまった自分に気付かされる。
揚陸艇で乗り合わせた若い戦車兵の記憶を抱えて再び渡るドーバー海峡。自分と同様に70年経っても癒えない傷を抱えた元爆撃機の搭乗員や元ドイツ兵達との邂逅。敵味方関係なく、70年経っても癒えない傷を抱え続けている。
それらを経て向ったDdayに亡くなった人達の墓地。式典で賑わう港町と対照的に全く人気がない。そんな墓地の無数の墓標の中で主人公が呟く「無駄な死だ」という一言。ここまでの過程が、この言葉に重みを与えている。
成すべき事を成し、妻の元に帰った主人公。ようやく70年前の事を妻に打ち明ける。内に秘めてきたものを晒す、まさに男のストリップ。そんな夫に妻が返す言葉には愛が溢れている。しかし同時に、その時間を得られなかった墓標の下の兵士とその家族、恋人達の事を想うと複雑な気持ちになる。
「次は一緒に」という言葉通りのラスト。最後まで心をともなった言葉に行動が重なる誠実な結婚生活。
…
マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソン、50年ぶりの共演にして70年寄り添ってきた夫婦役。年齢的に体は自由に動かない、表情から感情を読み取りにくい時もある。しかし、それを逆手に取るようにして、喜怒哀楽といった感情と愛嬌、ユーモアをたっぷりと見せてくれた。感情豊かな二人の瞳がとても印象的。
…
ドイツの人達は式典のパスをもらって嬉しかったのかなと疑問に思った
心の傷、忘れられない後悔ありますか?
こういった予期せぬ出会いがあるから映画鑑賞はやめられない。
ノルマンディ上陸作戦の70周年記念式典に1人参加するために旅に出た90歳の老人の話。
老人には70年連れ添った妻がいて、これがまたユーモラスで魅力的な人だった。
2人の掛け合いや慈愛に溢れたような眼差し、時に子供のような茶目っけある振る舞いや海を見る険しい眼を見て、なるほど。これが名優に成せる表現かと引き込まれた。
これは長く連れ添った夫婦の単なるラブストーリーではなく、自分の大切なものと向き合って1日1日を大切に生きようとする人生謳歌の者たちの話だと感じた。
この作品を鑑賞し終えて、自分の人生で大切な人たちの顔を思い出した。
もう今では会わなくなった人、会えなくなった人。
この作品を鑑賞できて心から良かったと思う。
『帰ってくれたらうれしいわ』ではないんです。
1944年のノルマンディー上陸作戦をモチーフに戦争の意義を問い掛けるヒューマンドラマ。
2014年のイギリス。妻のレネとともに老人ホームで静かに余生を送る退役軍人(元帰還兵)の主人公バーニー。
一旦は参加を断念したノルマンディー上陸作戦70周年の式典を目前に、ある思いを胸にひとり渡仏を敢行する。
かつて何度も映画の題材となった同作戦。その多くが作戦の成功や兵士の勇敢さを主題に描かれるのとは対称的に、本作は敵味方関わりなく多くの人命が損なわれたことや、残された者の心的外傷(トラウマ)にスポットを当てる。
バーニーが渡仏先や途上で出会う負傷した元アフガン帰還兵や第二次大戦の元爆撃兵(ともにトラウマを患い、アルコール依存症に陥っている)に加え、敵だった元ドイツ兵も彼同様、戦争で負った心の傷を抱える人たち。
本作でバーニーのフラッシュバックとして描かれる上陸作戦の光景は『プライベート・ライアン』(1998)ほど勇ましくもなければ苛烈でもない。ただひとり、約束を果たせなかった戦友ベネットの最期だけが脳裏に焼き付き、戦後もバーニーを苛み続ける。
式典への団体参加を見送りながら渡仏の際に彼が携えたのは、ベネットから託された恋人への伝言を封入した煙草ケース。結局、彼の目的は式典への参加ではなかったのだろう。
敗戦国の日本とは異なり、お祝いムードに沸き返る戦勝国の記念イベント。しかし、戦争トラウマで苦しむ元兵士のことまで配慮はしていない。
施設に残した妻のレネは、当時のオバマ米大統領やエリザベス女王を招待した盛大なセレモニーをTV中継で見ながら「ばか騒ぎ」と吐き捨てる。
戦勝国の英仏両国を舞台にイギリス資本で製作された本作。
バーニーがバイユー墓地に葬られたベネットの墓前で「無駄死にだ」と呟く以外、直接的に戦争批判を訴える場面は特段ない一方で、作品には和解や融和が重要なテーマとして垣間見える。
式場付近の食堂で元ドイツ兵と交流する場面もそうだが、主人公夫婦が暮らす施設の職員の多くが移民であることにも注目。
移民問題は欧米諸国では国論を二分するほど重大な課題になっているが、本作では深刻な対立は登場しない(黒人のアフガン帰還兵も含め、そもそも異端として扱われていない)。ヘイト主義や差別を看過したままでは戦争はなくならないことを逆説的に示唆しているのだと自分は思う。
ここ数年、ウクライナや中東で続く戦争も、根底にはヘイトや差別が介在するが、第二次大戦を引き起こしたナチス政権もその点は同じ。入手した式典の参加証をバーニーが元ドイツ兵に譲り手を携える場面は過去の清算だけでなく、未来の融和への可能性を託しているのかも知れない。
重くなりがちなテーマを扱いながら、少なからずコメディの要素も併せ持つ本作。
多くの映画ファンが気付いていると思うが、作品の原題 “The Great Escaper” は戦争映画『大脱走』(1963)の原題 “The Great Escape” のもじり。
さりとて、同作のパロディでもなければ、主人公や他の主要人物が元脱走兵という込み入った事情もなく、SNSを通じて話題になったバーニーにメディアが冠した「称号」が映画のタイトルとなっているだけ。
主人公の妻、レネのコメディ・リリーフ的な存在も作品を和らげるのに一役買っている。
楽天家で医師からの余命宣告にも従容として、施設の職員に「Oki doki」なんて軽口で応じるなど、どこかとぼけた感じの彼女。回想シーンでの若い頃も積極的でひらけた印象の、英国淑女にあるまじき(?)女性として描かれている。
邦題は作中の彼女のセリフにも引用されるが、『2度目のはなればなれ』とは、すなわち「2度目の生還」をも意味する。
劇的にできたはずの1度目の生還の場面を敢えて描かなかったのも、レネの軽妙なイメージを損わないためだったのかも。
施設に無断で出掛けたバーニーを失踪と早合点した職員がSNSで情報提供を呼びかけたばっかりに、彼の「2度目の生還」は一躍メディアの注目の的に。
事情を知らずに帰国したバーニーを待ち受けるカメラの砲列から施設に到着するまでのコミカルな場面のBGMに使用されるのは、ジャズの名曲 “You'd be so nice to come home to” 。
誤った和訳のタイトルが市民権を得てしまったが(「世紀の大誤訳」なんて言われている)、文法的に正確な日本語訳にするなら、本来の意味は「(私が)あなたのもとに戻れたら、なんて素敵なことだろう」。つまり、バーニーの心境を代弁するための挿入歌。
ヘレン・メリルの熱唱が超有名だが、しんみりし過ぎるからか、ここでは他の歌手によるアップテンポの歌唱が使われている。
未来への希望を灯すかのような白夜のラストシーンは美しいが、主人公夫妻の死去を伝えるメッセージは、個人的には不要だった気がする。
作品のモデルとなった実話があるそうだし、感想は人それぞれだと思うが、夫妻の人生の余白部分を鑑賞者が想像する余韻を残した方がよかったのでは?!
バーニーを演じた名優マイケル・ケインは今年で91歳。本作は彼の俳優引退作であるとともに、昨年87歳で他界したレネ役のグレンダ・ジャクソンの遺作でもある。
日本でも第二次大戦に関わった人たちのほとんどは百歳前後。語り部は今後ますます少なくなる。
ノルマンディー上陸作戦では数千もの味方の犠牲を強いたにも拘わらず、その数は連合国側の想定を大きく下回るものとして評されている。当然、個人の精神的苦痛など考慮されていない。
語り伝えるべき経験者と接する機会が失われつつある今、人間を簡単に手段化、数値化する戦争の本質を見抜くための意識を残された者が養うべきだろう。
ずるいよ、こんなの感動するに決まってるじゃん
いや、予想はしてましたけどね。
非常に素晴らしい作品でした。
レネがいつもオシャレしてるのがカワイイし、バーニーが注目されて浮かれてしまうのもカワイイ。
元ドイツ兵との出会いも予想を超えた展開で、胸熱です。
あの手紙はどうなったんだろう……
人は生き、人は死んでいく。As Time Goes By
実際にあったのは1度しかないFB友に、
「リュウジさんの好みだと思うよ」と勧められた作品。
きっと観る人の年齢や性別、置かれた状況ごとに
「見方も受け取り方も全く異なるんだろう」な。
そんな懐の深い&受け手の考える余白がある映画でした。
大筋的にはお迎えが来る寸前の高齢ご夫婦の
一生涯【ラブ】ストーリー(なんでしょうけど)。
人生の終盤をどう生きるかを意識し始めた自分は
ヨボヨボのじーさまの思いに重ねてました
(例:自分は立ち戻って決着をつけるべきものはある?
いや、もう済ませてるわとか。
自分たち夫婦はどういう幕切れを迎えるんだろうか、とか)。
あと奥さん(というか女性)は強いわ。
「男はいつも待たせるだけで(待たせてしまう、か)」に対し
「女はいつも待ちくたびれて」ではない思いの強さ。
「またひとつ女の方が偉く思えてきた」でしたわ。
それと出会った元ドイツ兵の人の表情。あれは刺さりました。
「老人も老兵も死なず、ただ消え去るのみ」。
あと、字幕は戸田奈津子さん(おっ、久しぶりかも)。
奥さんのセリフのなかで「事実」と訳した部分。
ここがどうもしっくりこない。
ま、自分には思いつかないんだけどw
なんだろう?ここのピースをうまく嵌めたいのだが…。
(戸田さんは映画「プライベートライアン」で
トムハンクスが戦死する際の一言の訳もしっくりこず、
シネマノベライズの訳でようやく腑に落ちた経験持ち)
お隣はポップコーンのバケツを手に入ってきた
20歳前後の女性2人。
「なぜ、この映画を選んだんだろう」
「彼女たちにはどんな風にこの映画は映ったんだろう」と
そんな風なことも思いながら、鑑賞も終了。
帰りの電車&布団に入ってから、いろいろと考えたわ。
考える映画はいい映画。
ところでじーさまは初対面の戦友の“最後の願い”は
彼の奥さんの元にちゃんと届けたよね。
で、缶は「これはあなたに」ともらった解釈でOK?
戻って来るから送り出せる
レビューで評価が良かったので見てみました。
この夫の気持ちは良く分かる。
目が見えるうちに
足が動けるうちに
見ておきたいもの、
行っておきたい場所があり過ぎて。
その日じゃないと開催されない大切なイベントや、例えお墓の前であってもまた会いに行くべき人のもとへは命があるうちでなきゃ行けない。
そして、行ったら必ず家に帰ってくるから。送り出してくれた奥様にも拍手。
思い出の朝日を見た時のこと、ずっと忘れないでいてその日のバラを押し花にして思い出を取っておいたことも素敵。
また晩年になって2人で朝日を見れて良かったです。
主人公が、ドイツの退役軍人の皆さんに入場パスを渡すところ、相手の方が感無量で泣いてしまったら無言で手を取り、お互いに敬礼する場面で思わず泣いてしまいました。
戦争のことは考えさせられるけれども、とても落ち着いた時間の流れる良い作品でした。。!
一緒に年を重ねる相手がいる幸せ
観るタイミングを逃して終了間近にやっと観れました
ほのぼのとしたストーリーかと思えば、心にズシリとくる作品でした
あらすじ通り夫婦愛がテーマでしたが、もうひとつ、戦争から帰れた人の心の重りもテーマだと思いました
無事帰れたからめでたしめでたしではなくて、生き残ったという罪悪感を抱えたまま生きる辛さ
悪いのは戦争で、生き残った人には何の責任もないのに
誰にも相談できず、その罪悪感から自分を解放できるのは自分自身で、だから何十年も罪悪感を抱えたままなのかもしれません
そして夫婦愛、バーニーとレネの夫婦愛が本当に心にきました
送り出して帰りを待つ妻、あの心の強さがすごい
「私達は結婚してから1秒も無駄にしていない」、そんな風に言えるって素晴らしすぎます
ごく自然に会話しているラストシーンがまた美しくて、もう涙ポロポロ
一緒に年を重ねる相手がいるって本当に幸せな事だとつくづく思いました
そして、やりたい事はやるべきなんです
これが実話だと後から出てきてさらに感動でした
終活最大の難問
戦争を生き抜いた世代の、終活の話だと思った。
「THE GREAT ESCAPER 」
たしかに「大脱走(者)」ですね、歩くのすらおぼつかない90歳が、誰の世話も受けずたった一人で連絡船乗り場まで行き、ドーバー海峡を渡り、現地に行ったのだから確かに偉大かも。
但し、計画性なし、お金だってない。(ちょいボケ入ってたか?)
アーサーが助けてくれなかったら野宿するしかなかった。
そういう夫を普通に送り出した妻・レネも相当肝が座ってる。
そっけないが、ツンデレなのだ。
ノルマンディー上陸作戦を経験したバーニーが、70周年記念式典にどうしても参加したかったのは、心に刺さった杭と折り合いをつけるには最後のチャンスと思ったからだろう。それは、バーニーに親切にしてくれた、育ちの良い金持ちジェントルマン・アーサーも同様。バーニーは、行きずりの戦友を死なせてしまったのは自分では、という葛藤に苦しみ、アーサーは、弟を殺したのは自分では、という罪悪感とともに生きてきた。
そして、それはノルマンディーで迎え撃ったドイツ兵にも。
彼らも、ここで命を落とした「英霊」を悼むために、ひっそりとやってきた。
彼らも、これが最後の機会だと思ったのだろう。
言葉少ない彼らに、バーニーはそっと手を重ねる。
憎きドイツ軍だが、個人として何の悪意があったのか。
ドイツ兵であっても、ここで多くの同胞を亡くし辛い時代を共有したという点では同士ではないか。
手と手を重ねて視線を交わしただけで、お互いの人間としての苦悩を共有できたよう。
バーニーは、自分とアーサーの参列の特等席を彼らに譲る。
追悼の式典なら、彼らには十分出席する資格があるのだ。
そんな風に思えるのは、70年という年月がバーニーの思考に、熟成の期間を与えたからだと思う。
ノルマンディー上陸作戦の数ヶ月前から、ドイツ軍の増援部隊や装備を迅速に動かせないよう連合軍の爆撃機がフランスの道路網や鉄道網を攻撃し、フランスの民間人が多数犠牲になった事実がさりげなく挟まれる。ドイツ軍との戦闘を生き延びたアーサーの弟は、民間人のレジスタンスに救われたのに、味方であるはずの、アーサーも含めたイギリス空軍の爆撃でやられた。手を下したのは自分かもしれない。こんなとんでもなく皮肉なことも、現実にはあったことだろう。
やはりバーニーに親切にしてくれた、現代の戦争で片足を失いPTSDを抱える若い元軍人の連絡船乗務員は、アーサーともども、お返しとしてバーニーから人生を大きく変える光をもらった。
情けは人の為ならず、とはこういうことだと思った。
バーニーとレネの、互いに口にすることはない終活は着々と進むが、最大の難関が見えてくる。
それは、どのように逝くか、ということ。
夫婦仲が良いのは、人間が得られる幸せの中でも最上級なものの一つだと思うが、死ぬときは大抵はひとりづつ。仲が良い分残されたほうの辛さはいかばかりか。
子どももいないようだし、この夫婦はあるときからずっと、このことを考えてきたのだろう。
「今度離れ離れになるときは、私もついていくことにした」
言葉通りにできたレネの終活は、GJだったようだ。
マイケル・ケインはさすがな名優、大物オーラを出すこと無く、思慮深さと意志の強さを持ち、少々ボケが入った「普通の老人」を、いとも自然に、言葉に頼ること無く表情と醸し出す空気で演じている。
我が物顔のサイクリストに仕返しで自転車のタイヤの空気を抜いたり、思いがけず有名人になって浮かれて反省したり、笑ってしまった。だけど夫は妻のためにすかさず巨大なスイスのチョコレートをプレゼントしてもらってたよね。高価なソーセージももらって、食いしん坊な妻を喜ばせたい、微笑ましい夫ぶりです。
90歳でも毎日お化粧し、美容活動に余念がないレネは若い頃、相当モテたようなので、バーニーはずっと気が気ではなかったかも。今だってツンデレで、かわいいおばあさんだし。
但し、頭が良く思慮深いであろう以外、アーサーの人となりは良くわからない。
妻をひたすら愛しているのは確かだが、育ちも欠点もわからないからちょっと不気味な気もする。
若い頃に見たらどうということない映画と思っただろうが、あと30年もすれば歩くのもおぼつかない、身の回りの世話すらひとりでは苦労するような時が来るのだと身につまされた。
その頃自分はどんな生活をしているんだろう、いや、そこまで生きていないかも
自分、人生も後半で、あとは衰えていくだけ、それはどうしようもない現実だ。
時が経つのは早く、つい昨日と思っていた若い頃がいつの間にか遠い過去のものになっていて愕然とする。
人生は短い、とつくづく思ってしまった。
それにしても、うらやましい夫婦ですよね。
愛する人と離れることなく、ケアが行き届いた小綺麗な高級(に見える)老人ホームに暮らし、車椅子を押しながらの散歩の途中でふたりで躊躇なくアイスクリーム食べられるくらいのお小遣いもある、夢で思い描くようなゆとりある老後ではないですか。
戸田奈津子さんが字幕を務めていて、ご自身もご高齢なので老境を描いた映画には適任だったように思いました。
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