2度目のはなればなれのレビュー・感想・評価
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『帰ってくれたらうれしいわ』ではないんです。
1944年のノルマンディー上陸作戦をモチーフに戦争の意義を問い掛けるヒューマンドラマ。
2014年のイギリス。妻のレネとともに老人ホームで静かに余生を送る退役軍人(元帰還兵)の主人公バーニー。
一旦は参加を断念したノルマンディー上陸作戦70周年の式典を目前に、ある思いを胸にひとり渡仏を敢行する。
かつて何度も映画の題材となった同作戦。その多くが作戦の成功や兵士の勇敢さを主題に描かれるのとは対称的に、本作は敵味方関わりなく多くの人命が損なわれたことや、残された者の心的外傷(トラウマ)にスポットを当てる。
バーニーが渡仏先や途上で出会う負傷した元アフガン帰還兵や第二次大戦の元爆撃兵(ともにトラウマを患い、アルコール依存症に陥っている)に加え、敵だった元ドイツ兵も彼同様、戦争で負った心の傷を抱える人たち。
本作でバーニーのフラッシュバックとして描かれる上陸作戦の光景は『プライベート・ライアン』(1998)ほど勇ましくもなければ苛烈でもない。ただひとり、約束を果たせなかった戦友ベネットの最期だけが脳裏に焼き付き、戦後もバーニーを苛み続ける。
式典への団体参加を見送りながら渡仏の際に彼が携えたのは、ベネットから託された恋人への伝言を封入した煙草ケース。結局、彼の目的は式典への参加ではなかったのだろう。
敗戦国の日本とは異なり、お祝いムードに沸き返る戦勝国の記念イベント。しかし、戦争トラウマで苦しむ元兵士のことまで配慮はしていない。
施設に残した妻のレネは、当時のオバマ米大統領やエリザベス女王を招待した盛大なセレモニーをTV中継で見ながら「ばか騒ぎ」と吐き捨てる。
戦勝国の英仏両国を舞台にイギリス資本で製作された本作。
バーニーがバイユー墓地に葬られたベネットの墓前で「無駄死にだ」と呟く以外、直接的に戦争批判を訴える場面は特段ない一方で、作品には和解や融和が重要なテーマとして垣間見える。
式場付近の食堂で元ドイツ兵と交流する場面もそうだが、主人公夫婦が暮らす施設の職員の多くが移民であることにも注目。
移民問題は欧米諸国では国論を二分するほど重大な課題になっているが、本作では深刻な対立は登場しない(黒人のアフガン帰還兵も含め、そもそも異端として扱われていない)。ヘイト主義や差別を看過したままでは戦争はなくならないことを逆説的に示唆しているのだと自分は思う。
ここ数年、ウクライナや中東で続く戦争も、根底にはヘイトや差別が介在するが、第二次大戦を引き起こしたナチス政権もその点は同じ。入手した式典の参加証をバーニーが元ドイツ兵に譲り手を携える場面は過去の清算だけでなく、未来の融和への可能性を託しているのかも知れない。
重くなりがちなテーマを扱いながら、少なからずコメディの要素も併せ持つ本作。
多くの映画ファンが気付いていると思うが、作品の原題 “The Great Escaper” は戦争映画『大脱走』(1963)の原題 “The Great Escape” のもじり。
さりとて、同作のパロディでもなければ、主人公や他の主要人物が元脱走兵という込み入った事情もなく、SNSを通じて話題になったバーニーにメディアが冠した「称号」が映画のタイトルとなっているだけ。
主人公の妻、レネのコメディ・リリーフ的な存在も作品を和らげるのに一役買っている。
楽天家で医師からの余命宣告にも従容として、施設の職員に「Oki doki」なんて軽口で応じるなど、どこかとぼけた感じの彼女。回想シーンでの若い頃も積極的でひらけた印象の、英国淑女にあるまじき(?)女性として描かれている。
邦題は作中の彼女のセリフにも引用されるが、『2度目のはなればなれ』とは、すなわち「2度目の生還」をも意味する。
劇的にできたはずの1度目の生還の場面を敢えて描かなかったのも、レネの軽妙なイメージを損わないためだったのかも。
施設に無断で出掛けたバーニーを失踪と早合点した職員がSNSで情報提供を呼びかけたばっかりに、彼の「2度目の生還」は一躍メディアの注目の的に。
事情を知らずに帰国したバーニーを待ち受けるカメラの砲列から施設に到着するまでのコミカルな場面のBGMに使用されるのは、ジャズの名曲 “You'd be so nice to come home to” 。
誤った和訳のタイトルが市民権を得てしまったが(「世紀の大誤訳」なんて言われている)、文法的に正確な日本語訳にするなら、本来の意味は「(私が)あなたのもとに戻れたら、なんて素敵なことだろう」。つまり、バーニーの心境を代弁するための挿入歌。
ヘレン・メリルの熱唱が超有名だが、しんみりし過ぎるからか、ここでは他の歌手によるアップテンポの歌唱が使われている。
未来への希望を灯すかのような白夜のラストシーンは美しいが、主人公夫妻の死去を伝えるメッセージは、個人的には不要だった気がする。
作品のモデルとなった実話があるそうだし、感想は人それぞれだと思うが、夫妻の人生の余白部分を鑑賞者が想像する余韻を残した方がよかったのでは?!
バーニーを演じた名優マイケル・ケインは今年で91歳。本作は彼の俳優引退作であるとともに、昨年87歳で他界したレネ役のグレンダ・ジャクソンの遺作でもある。
日本でも第二次大戦に関わった人たちのほとんどは百歳前後。語り部は今後ますます少なくなる。
ノルマンディー上陸作戦では数千もの味方の犠牲を強いたにも拘わらず、その数は連合国側の想定を大きく下回るものとして評されている。当然、個人の精神的苦痛など考慮されていない。
語り伝えるべき経験者と接する機会が失われつつある今、人間を簡単に手段化、数値化する戦争の本質を見抜くための意識を残された者が養うべきだろう。
ずるいよ、こんなの感動するに決まってるじゃん
いや、予想はしてましたけどね。
非常に素晴らしい作品でした。
レネがいつもオシャレしてるのがカワイイし、バーニーが注目されて浮かれてしまうのもカワイイ。
元ドイツ兵との出会いも予想を超えた展開で、胸熱です。
あの手紙はどうなったんだろう……
人は生き、人は死んでいく。As Time Goes By
実際にあったのは1度しかないFB友に、
「リュウジさんの好みだと思うよ」と勧められた作品。
きっと観る人の年齢や性別、置かれた状況ごとに
「見方も受け取り方も全く異なるんだろう」な。
そんな懐の深い&受け手の考える余白がある映画でした。
大筋的にはお迎えが来る寸前の高齢ご夫婦の
一生涯【ラブ】ストーリー(なんでしょうけど)。
人生の終盤をどう生きるかを意識し始めた自分は
ヨボヨボのじーさまの思いに重ねてました
(例:自分は立ち戻って決着をつけるべきものはある?
いや、もう済ませてるわとか。
自分たち夫婦はどういう幕切れを迎えるんだろうか、とか)。
あと奥さん(というか女性)は強いわ。
「男はいつも待たせるだけで(待たせてしまう、か)」に対し
「女はいつも待ちくたびれて」ではない思いの強さ。
「またひとつ女の方が偉く思えてきた」でしたわ。
それと出会った元ドイツ兵の人の表情。あれは刺さりました。
「老人も老兵も死なず、ただ消え去るのみ」。
あと、字幕は戸田奈津子さん(おっ、久しぶりかも)。
奥さんのセリフのなかで「事実」と訳した部分。
ここがどうもしっくりこない。
ま、自分には思いつかないんだけどw
なんだろう?ここのピースをうまく嵌めたいのだが…。
(戸田さんは映画「プライベートライアン」で
トムハンクスが戦死する際の一言の訳もしっくりこず、
シネマノベライズの訳でようやく腑に落ちた経験持ち)
お隣はポップコーンのバケツを手に入ってきた
20歳前後の女性2人。
「なぜ、この映画を選んだんだろう」
「彼女たちにはどんな風にこの映画は映ったんだろう」と
そんな風なことも思いながら、鑑賞も終了。
帰りの電車&布団に入ってから、いろいろと考えたわ。
考える映画はいい映画。
ところでじーさまは初対面の戦友の“最後の願い”は
彼の奥さんの元にちゃんと届けたよね。
で、缶は「これはあなたに」ともらった解釈でOK?
戻って来るから送り出せる
レビューで評価が良かったので見てみました。
この夫の気持ちは良く分かる。
目が見えるうちに
足が動けるうちに
見ておきたいもの、
行っておきたい場所があり過ぎて。
その日じゃないと開催されない大切なイベントや、例えお墓の前であってもまた会いに行くべき人のもとへは命があるうちでなきゃ行けない。
そして、行ったら必ず家に帰ってくるから。送り出してくれた奥様にも拍手。
思い出の朝日を見た時のこと、ずっと忘れないでいてその日のバラを押し花にして思い出を取っておいたことも素敵。
また晩年になって2人で朝日を見れて良かったです。
主人公が、ドイツの退役軍人の皆さんに入場パスを渡すところ、相手の方が感無量で泣いてしまったら無言で手を取り、お互いに敬礼する場面で思わず泣いてしまいました。
戦争のことは考えさせられるけれども、とても落ち着いた時間の流れる良い作品でした。。!
一緒に年を重ねる相手がいる幸せ
観るタイミングを逃して終了間近にやっと観れました
ほのぼのとしたストーリーかと思えば、心にズシリとくる作品でした
あらすじ通り夫婦愛がテーマでしたが、もうひとつ、戦争から帰れた人の心の重りもテーマだと思いました
無事帰れたからめでたしめでたしではなくて、生き残ったという罪悪感を抱えたまま生きる辛さ
悪いのは戦争で、生き残った人には何の責任もないのに
誰にも相談できず、その罪悪感から自分を解放できるのは自分自身で、だから何十年も罪悪感を抱えたままなのかもしれません
そして夫婦愛、バーニーとレネの夫婦愛が本当に心にきました
送り出して帰りを待つ妻、あの心の強さがすごい
「私達は結婚してから1秒も無駄にしていない」、そんな風に言えるって素晴らしすぎます
ごく自然に会話しているラストシーンがまた美しくて、もう涙ポロポロ
一緒に年を重ねる相手がいるって本当に幸せな事だとつくづく思いました
そして、やりたい事はやるべきなんです
これが実話だと後から出てきてさらに感動でした
終活最大の難問
戦争を生き抜いた世代の、終活の話だと思った。
「THE GREAT ESCAPER 」
たしかに「大脱走(者)」ですね、歩くのすらおぼつかない90歳が、誰の世話も受けずたった一人で連絡船乗り場まで行き、ドーバー海峡を渡り、現地に行ったのだから確かに偉大かも。
但し、計画性なし、お金だってない。(ちょいボケ入ってたか?)
アーサーが助けてくれなかったら野宿するしかなかった。
そういう夫を普通に送り出した妻・レネも相当肝が座ってる。
そっけないが、ツンデレなのだ。
ノルマンディー上陸作戦を経験したバーニーが、70周年記念式典にどうしても参加したかったのは、心に刺さった杭と折り合いをつけるには最後のチャンスと思ったからだろう。それは、バーニーに親切にしてくれた、育ちの良い金持ちジェントルマン・アーサーも同様。バーニーは、行きずりの戦友を死なせてしまったのは自分では、という葛藤に苦しみ、アーサーは、弟を殺したのは自分では、という罪悪感とともに生きてきた。
そして、それはノルマンディーで迎え撃ったドイツ兵にも。
彼らも、ここで命を落とした「英霊」を悼むために、ひっそりとやってきた。
彼らも、これが最後の機会だと思ったのだろう。
言葉少ない彼らに、バーニーはそっと手を重ねる。
憎きドイツ軍だが、個人として何の悪意があったのか。
ドイツ兵であっても、ここで多くの同胞を亡くし辛い時代を共有したという点では同士ではないか。
手と手を重ねて視線を交わしただけで、お互いの人間としての苦悩を共有できたよう。
バーニーは、自分とアーサーの参列の特等席を彼らに譲る。
追悼の式典なら、彼らには十分出席する資格があるのだ。
そんな風に思えるのは、70年という年月がバーニーの思考に、熟成の期間を与えたからだと思う。
ノルマンディー上陸作戦の数ヶ月前から、ドイツ軍の増援部隊や装備を迅速に動かせないよう連合軍の爆撃機がフランスの道路網や鉄道網を攻撃し、フランスの民間人が多数犠牲になった事実がさりげなく挟まれる。ドイツ軍との戦闘を生き延びたアーサーの弟は、民間人のレジスタンスに救われたのに、味方であるはずの、アーサーも含めたイギリス空軍の爆撃でやられた。手を下したのは自分かもしれない。こんなとんでもなく皮肉なことも、現実にはあったことだろう。
やはりバーニーに親切にしてくれた、現代の戦争で片足を失いPTSDを抱える若い元軍人の連絡船乗務員は、アーサーともども、お返しとしてバーニーから人生を大きく変える光をもらった。
情けは人の為ならず、とはこういうことだと思った。
バーニーとレネの、互いに口にすることはない終活は着々と進むが、最大の難関が見えてくる。
それは、どのように逝くか、ということ。
夫婦仲が良いのは、人間が得られる幸せの中でも最上級なものの一つだと思うが、死ぬときは大抵はひとりづつ。仲が良い分残されたほうの辛さはいかばかりか。
子どももいないようだし、この夫婦はあるときからずっと、このことを考えてきたのだろう。
「今度離れ離れになるときは、私もついていくことにした」
言葉通りにできたレネの終活は、GJだったようだ。
マイケル・ケインはさすがな名優、大物オーラを出すこと無く、思慮深さと意志の強さを持ち、少々ボケが入った「普通の老人」を、いとも自然に、言葉に頼ること無く表情と醸し出す空気で演じている。
我が物顔のサイクリストに仕返しで自転車のタイヤの空気を抜いたり、思いがけず有名人になって浮かれて反省したり、笑ってしまった。だけど夫は妻のためにすかさず巨大なスイスのチョコレートをプレゼントしてもらってたよね。高価なソーセージももらって、食いしん坊な妻を喜ばせたい、微笑ましい夫ぶりです。
90歳でも毎日お化粧し、美容活動に余念がないレネは若い頃、相当モテたようなので、バーニーはずっと気が気ではなかったかも。今だってツンデレで、かわいいおばあさんだし。
但し、頭が良く思慮深いであろう以外、アーサーの人となりは良くわからない。
妻をひたすら愛しているのは確かだが、育ちも欠点もわからないからちょっと不気味な気もする。
若い頃に見たらどうということない映画と思っただろうが、あと30年もすれば歩くのもおぼつかない、身の回りの世話すらひとりでは苦労するような時が来るのだと身につまされた。
その頃自分はどんな生活をしているんだろう、いや、そこまで生きていないかも
自分、人生も後半で、あとは衰えていくだけ、それはどうしようもない現実だ。
時が経つのは早く、つい昨日と思っていた若い頃がいつの間にか遠い過去のものになっていて愕然とする。
人生は短い、とつくづく思ってしまった。
それにしても、うらやましい夫婦ですよね。
愛する人と離れることなく、ケアが行き届いた小綺麗な高級(に見える)老人ホームに暮らし、車椅子を押しながらの散歩の途中でふたりで躊躇なくアイスクリーム食べられるくらいのお小遣いもある、夢で思い描くようなゆとりある老後ではないですか。
戸田奈津子さんが字幕を務めていて、ご自身もご高齢なので老境を描いた映画には適任だったように思いました。
「史上最大の作戦」こと第二次大戦のノルマンディー上陸作戦。 その日...
「史上最大の作戦」こと第二次大戦のノルマンディー上陸作戦。
その日は「Dデイ」と呼ばれる。
2014年はDデイ70周年の節目だ。
英国の海辺の町ブライトンの老人ホームで暮らすバーニー(マイケル・ケイン)とレネ(グレンダ・ジャクソン)。
英国のDデイ記念式典に申し込み忘れたバーニーは、式当日、フランスでの式典に参加すべく、早朝ひとりでホームを抜け出した・・・
というところからはじまる物語。
日本タイトルの「2度目」は今回のバーニーとレネの「はなればなれ」。
1度目は大戦の際のことだった。
バーニーは、Dデイでの「忘れ物」を70年経ち、死期も迫った現在になって成就しようと試みる。
いい映画なんだけど、50年目ぐらいで実行すればいいのに・・・と思ってしまい、やや乗り切れず。
ま、死期がみえたからの決心なのだろうが。
個人的には、道中、バーニーが知り合う元空軍爆撃士のエピソードが切なかった。
監督のオリバー・パーカー、脚本のウィリアム・アイヴォリーとも、作品を観るのは本作がはじめて。
大戦シーンや過去の回想など、やや水増し的だなぁと思いました。
マイケル・ケイン、グレンダ・ジャクソンとも、若い時分は、どちらかというと苦手な俳優さんだったんですが、本作では「流石」と思いました。
人生のHOLY HOUR
通常スクリーンで鑑賞(字幕)。
名優マイケル・ケインの引退作。実話を元に、老夫婦の70年に渡る愛と絆、人生のホーリー・アワーを美しい映像と共に描き出す。ずっと戦争の傷を抱えて来た夫の心を癒した妻の言葉に涙が止まらなかった。本年度ベスト級の感動作だと思う。
慈愛に満ちた作品
戦争のトラウマというかやり残したことを
やり遂げる主人公バーニーと
その目的を黙っていてもわかり、帰りを待つ妻のレネ。
黙ってやり残したことをやり遂げるためにいなくなる夫を
妻はちゃんと理解しているのだろうと思うのですが、
その関係性と慈愛の深さに敬服するばかりでした。
やり残したことをやり遂げたからこそ
充足していた人生だったと思えるのでしょうね。
それを見守る妻も然りで。
ww2時と現在、2回にわたり夫を送り出す妻。
だから2度目のはなればなれ。
3回目は一緒に行くという妻。
行き先は、、、
バーニーを始めとする退役軍人の佇まいが
キリッとしていて好きです(特にバーニー)。
さらにはフランスで出会ったドイツ人の退役軍人との
やりとりにはグッときました。
自分自身、老後と言いましょうか、終い方を考えさせられ
ました。私事ですが今夏に亡くした母のことを思うにつれ
自分の死生観にも思いを馳せてしまう作品でした。
優良(有料)老人ホームのオシドリ夫婦に癒やされる
マイケル・ケイン(1933年3月14日生まれ)の引退主演作。
私が印象に残っているマイケル・ケインは2000年のサンドラブロック主演のデンジャラス・ビューティーのお〇まのメイクアッププロデューサーのベクター。
あのとろ~んとした目。下瞼のぷよぷよ感。やり手のオ◯マ感がスゴかった。
イケメンの若いころは全然存じあげません。すみません。
Dデイ。
うんっ、デイリーヤマザキのポイント5倍デーか?
予約するの忘れていたけど行ってみようかな?
アタシのことは大丈夫だから、行ってきなさいよとレネ(グレンダ・ジャクソン:同じく1933年生まれ)に背中を押され、早朝のドーバー行のバス停へ。
出勤してきた施設職員にどこに行くの?お散歩?などと話しかけられているうちにバスが行ってしまう。タクシーを飛ばしてフランスにわたるフェリーに乗る。真っ青のビニール袋と手押し歩行器だけ。ちょっとボケてる。計画性ゼロ。レネが長年面倒みてくれていたせいだね。イラク戦争で地雷で片足をなくした黒人のあんちゃん添乗員や寂しい元英国空軍兵のアーサーにとても親切にしてもらってホテルのツインルームに泊めてもらえたよ。PTSDについてのフラッシュバック描写。アーサーは何となく小堺一機にみたいな雰囲気の俳優さん。退役軍人たちの同窓会的な式典。オバマがオマハ・ビーチで演説したのは2014年の70周年の時。
サーベル・コースト。
戦車をのせた揚陸艇のチーフだったボーニー。戦車兵から恋人の写真と手紙の入ったタバコ?のブリキの小箱を突撃直前に託される。ボーニーの目の前で戦車兵は上陸してすぐに砲弾が当たって帰らぬ人に。過酷なノルマンディ上陸作戦。
リナ役のグレンダ・ジャクソンは公開直前に亡くなって、遺作になってしまいました。菅井きんさんや金さん銀さんを思い出していました。
リナはボーニー意外にも複数のイケメンと付き合っていたみたい。
部屋に散乱した古い写真がね。
警察も臨機応変にSNSを活用し、大脱走した バーニーは一躍時の人に。
テレビで観ていたリナ。
バーニーがいろいろ報告するんだけど、知ってるわよ❗
意外と素っ気ないところがリアル。
お金貯めよーっと。
邦題が…
主題は
「主人公はなぜ追悼式典に参加したいのか?」ということ。
この邦題はそれを無視し、「夫婦関係」にしてしまった。
(もちろん、夫婦関係も主題の一つではあるが、メインではない)
でも内容は良かった。
主演2人の出す「空気感」みたいなのが伝わってくるし、式典に行くよう命ずる奥さんは特に良い。
周囲のあたふた感というコメディと、長年の「心の棘」との対比、元ドイツ兵との交流…
シンプルながらいろんな見どころがある作品。
「新宿で」
今年248本目。
TOHOシネマズ新宿で。チケット売り場まではありましたがスクリーンは初めて。初めての映画館はワクワクします。戦争から帰って来た時は本当に苦しんでいるのが分かった。固まっていて触れたらくだけそうだった。ここが一番印象に。任務をこなす老兵がいた、90歳でも自分もそう生きたい。
癒やされる〜☺️
心穏やかに、ホロっとさせられる、そして落ち着いていろいろ考えさせられる、これぞエンタメって素晴らしい作品ですね🥹
どこぞの内山作品(もう、言わないつもりでしたが、どんな作品にも引き合いに出せるって事に気づいて、ある意味あの作品はプラスの5点満点付けるべきが正解だったのかもと思い始めています😁)とは真逆で、落ち着いていろいろ考えさせられるって言うのがポイントです(笑)
どこぞの内山作品(しつこいな(^^ゞ)を観た直後でしたら、4.5を付けていたかもしれません😌
品格ある反戦
参戦する一兵士にとって戦争とは何か。
戦いが兵士に家族にその人生に及ぼすもの。
死、怪我、別れ。不安、恐怖、悲しみ、後悔。
失われた1人1人に人生がある。
送り出す者にも苦悩がある。
戦いに赴いた兵士は敵味方の区別なく、
尊厳と苦悩と悲痛を共有する。
命を失った者、大切な人を失った者。
身体に傷を負った者、心が壊れた者。
戦争という行為は市井の人にとって
何の益もないことが静かに示される。
そして人として大切なモノ・生き方が
終焉を迎える老いた2人の姿にある。
戦闘の準備が進む沖縄では、2万名を
超える自衛隊員が辞めているという。
決して戦闘地に行かぬ施政者、
行かされる我々庶民、
いずれも心して見るべき作品。
良い話の一言で片付けてはいけない
戦局を決めたノルマンディ上陸作戦を共に戦い、彼の地で目の前で亡くなった戦友を思う。戦争という我々の想像を遥かに超えた厳しい時代に青春を捧げて、せめて次の世代は戦争のない平和な時代をと願って自分たちの国は正しいと信じ戦ったあの頃を思う。
彼ら老夫婦を取り巻く環境は小さいけれど温かな幸せに満ちているし、お互いを気遣い、愛を積み重ねながら、自らが存在したことを世間に示しながら天寿を全うしていく姿はとても素晴らしい。カットも丁寧に積み重ねられていてふたりは常にチャーミングで前向きだ。遺恨を残しているはずの元敵兵とのエンカウントも素敵な話に昇華しているし、トラウマと向き合う姿も感動的だ。
あまりの素晴らしさに涙が溢れる映画だが…ちょっと待て。
第二次世界大戦での世界の戦死者は5千万人。明治の終わり頃の日本の人口と同数の命が失われている。
5千万通りの、あったはずの未来の幸せや人生が失われて、その犠牲の上に今の我々の、世界の毎日が成り立っていて、とはいえ愚かにも人類は終戦後もずっと紛争や戦争を延々と続けていて、ここ最近のウクライナとロシア、イスラエルとパレスチナの戦争はそのまま次の大戦にまでもつれ込みそうな勢いだ。
この80年の間に日本はジリジリと国際的な地位を下げて曾祖父さんの世代が望み創り上げた「子供達が当たり前に腹一杯食べて毎日笑っていられる世界」はとうの昔に失われてしまった。街には移民や旅行者が溢れて治安は悪くなる一方で、楽して儲けることこそが美徳で汗水垂らして働くのは勘弁で他人からの承認が全ての世界が回っている。これでは未来のために戦った世界中の英霊に誰ひとり顔向けができないのではないか?どうしたら個人の小さな力で戦争のない世界を実現できるのか?そんな思いが映画館を出て夜の寒さに震える私の胸に去来した。
みたいな文章が書きたくなる映画です。日本の湿っぽい反戦映画をこんな詩的に仕上げられる英国人のセンスに脱帽しました。まあ敗戦国で自虐史観しか植え付けない教育受けてたらこれは作れないよね。さすが戦争に負けたことのない国だわ。
マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンの老夫婦がお互いをずっと愛し続ける姿は、倦怠期を過ぎてパートナーに興味すらない人々には眩しすぎるかもしれないから夫婦やカップルで行くのはお勧めできないかもしれないと思ったりしましたね。
それでは次回をお楽しみに!
あと選挙に行ってから映画見よう!
ハバナイスムービー!🎞️
The Grate Escaper
イギリスの海辺の町の老人ホームに、妻のレネと共に住んでいるバーニーは、退役軍人(元海軍兵)。
ノルマンディー上陸作戦に従軍していた。
70周年式典の開催にひとりで向かうのだが、齢(よわい)90歳。
施設では突然いなくなったバーニーが脱走したのかと騒ぎになり…といった物語。
鑑賞前は「ハロルド・フライ」のような高齢者のロードムービー的な話かなと思っていたが(似た要素ではある)、戦争のつらい思い出と妻との絆を描いた話である。
心がひどく傷む戦争の記憶。フラッシュバックするダグラスの姿。バーニーの背中を押し、また迎え入れ、最後まで寄り添った妻との姿に涙した。
邦題が良いと思った。字幕が戸田奈津子さんで、こちらもお久しぶり。戸田さんも88歳、感慨深い。
マイケル・ケインの出演作を見たのは「サイダーハウスルール」(1999)が最後だったため、おじいさんになったなあと思うと共に、これでもう引退と知ると、とてもさびしく思う。
邦題の意味がジーンときました
原題は「The Great Escaper」ですが、邦題の「2度目のはなればなれ」というタイトルがピッタリだと思いました。個人的に、この映画は退役軍人のバーナーだけにフォーカスした話ではなくて、バーナーとレネの夫婦の物語だと感じたからです。
90分ちょっとの上映時間なので観るのに疲れることはないですが、読了感もしっかりありました。何のために誰かと一緒に生きるのかということが一番考えさせられました。
感動系の映画を見たいと思って選びましたが、その思いは満たされながらも単純なお涙頂戴映画ではなかったです。戦争を経た人たちはいつまでもその思いから逃れられないということを知らせてくれる映画だったと思います。
戦争体験世代
週刊文春のシネマチャートにて、評者5人中全員4つ星以上うち2人は5つ星だった。よくある老人向けの映画だろうという先入観は捨てきれなかったものの、結局、気になって観に行った。
イギリスの名優といわれるマイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンだが、50代の私にとっては、思い入れのある俳優ではない。つまり、よく知らない。それぞれ2度のオスカーを受賞しているということなので、ネットで調べてみた。
マイケル・ケインは、「ハンナとその姉妹」(1986)、「サイダーハウス・ルール」(1999)で最優秀助演男優賞、グレンダ・ジャクソンは、「恋する女たち」(1969)、「ウィークエンド・ラブ」(1973)で最優秀主演女優賞を受賞している。そのほか数々の各国映画賞受賞歴は枚挙にいとまがない。なお、グレンダ・ジャクソンは、1992年に政界に転出し、労働党から立候補して当選、運輸政務次官まで務めたが、2015年に政界を引退し、80代で女優業に復帰したという経歴の持ち主である。
この映画は89歳の退役軍人バーナードがノルマンディー上陸作戦記念式典に参加するため老人ホームを抜け出したという実話を元に描かれている。
老人ホームで暮らす老夫婦は互いに寄り添いながら人生最期の日々を過ごしている。老いの現実を美化することなくありのまま受け入れ、誇りやユーモアを忘れないところが魅惑的だ。一方、戦争の無惨さを伝える題材として、PTSDのメンタルケア、亡き戦友が眠る戦没者墓地への参拝などが挿入される。若いころに戦場で負った心の傷はずっと癒されることはないのだ。
老親を抱える50代以上の人にぜひ観てほしい映画である。戦争とは語り継ぐべきものなのに、戦争体験のある語り部は年々減ってきている。この映画は戦争を美化しているのではなく、そこで戦った老人たちを讃えている。
昨年87歳で逝去したグレンダ・ジャクソンは遺作に、3歳年上のマイケル・ケインは引退作となった。
全83件中、21~40件目を表示