「夫婦であっても1人で越えるべきこと、2人だから越えられること」2度目のはなればなれ greensさんの映画レビュー(感想・評価)
夫婦であっても1人で越えるべきこと、2人だから越えられること
個人的な問題意識?から、ジョーカー2を見ようと思ったのですが、あまりにレビューが低くて迷っていたところ、たまたま目に入った本作が良さそうだったので鑑賞しました(そういう映画選びも時々あります、、、)
はっきり言います!
パートナーと共に人生を生き切るということがどういうことかを味あわせてくれる、素晴らしい作品です!
特に、夫婦であっでも、1人で乗り越えなければならないこともあれば(その間、パートナーはそれをじっと見守る)、2人だからこそ力を合わせて越えられることがある、ということを見せてくれたように思います。
本作については、映画館で映画パンフレットは売っていませんでした。少なくとも日本では作成していない感じです。もしかしたら、本作のもととなった実話のご夫婦と、演者であるベテラン俳優さん達への敬意と愛情を込めて作られたこの作品を、見る人が見て愛してくれたら嬉しい、、、そんな気持ちで公開しているのかもしれません(ボリューム層をターゲットに大ヒットを目指して制作された作品でないことは明らかなので)
作品のベースとなった実話も素晴らしいですが、実話とほぼ同じ年齢の俳優さんたちが、高齢である今もなお、演じて何かを伝えたい、とする姿に心を打たれました。
主人公のお二人の俳優さんがいなければこの作品は無いわけで、この作品がなければ、作品のもととなった実話を私が知ることは出来ませんでした。
本作を観て感じたことは、お互いを労わりあいながら生きる夫婦の力強さと優しさ、そして年齢を重ねて2人で様々なことを乗り切った後に見る、景色の穏やかさです。
私はこの後の人生、まだまだ努力しなければ、この穏やかな境地には至れませんが笑、目指すべき到達点を少しだけ垣間見させてもらったように感じました。
「まだ想像もつかないほど先の話だけれど、パートナーと生きる一生がどのようなものか知ってみたい」という若い方、あるいは、もう何十年も連れ添って来て、人生山あり谷ありで乗り越えて来た、というご夫婦には、きっと観て心を打たれる、素晴らしい作品だと思います!
ただ一点だけ老婆心ながら注意点を。
あくまで私個人が感じただけなのですが、作中のご夫婦と自分の人生と重ねて、沈む夕日を見るのは、自分にはまだ早かった、と感じました。人生を生き切った主人公2人と同化して眺める景色は、素晴らしく穏やかではありますが、その中に僅かにでも寂寥感を感じてしまう人は、この作品の後味には寂しさが残ってしまうかもしれません。
自分が経てきたティーン世代のドラマなら、自分の過去と重ね合わせて共感できるところが沢山ある気がしますが、いよいよ人生の総仕上げをする年齢を描いた映画は、まだ観てもピンと来ない、、、というより、人生が終わりになってしまうことへの寂しさを感じてしまいました。自分はまだ、誰かと共に人生を生き切っていないからなのかもしれません。
ん〜、うまく表現できませんが、大好きなおじいちゃん、おばあちゃんが亡くなった時、頑張って生きてくれてありがとう、お疲れ様、と感じながらも、やはり寂しい気持ちになるのと同じような感覚かもしれません。(観た後、なんとなく寂しくなって、少し引きずってしまいました。こう感じたのは、私だけでしょうか)。作品中では、主人公が意地悪じいさん?よろしく、無礼な若者の自転車の空気をコッソリ抜くシーンとか、クスッと笑えるシーンも色々あるんですけどね。
、、、それでもやはり、この作品は素晴らしいと思っています。制作者の皆さんと俳優さんたちに、拍手喝采です!
私もあと20年くらいしたら、またパートナーと一緒に見直したいと思います。
今回は、「作品を鑑賞するのにふさわしい年齢」というものがあるのかもしれない、、、と感じた、初めての経験でした!(^^;) まあ、これもひとつの経験ですね)。
、、、と、書いていたら、今ニュースで西田敏行さんの訃報が入ってきました、、寂しいです、、、ご冥福をお祈り申し上げます。
追伸
レビューで夫婦愛のことばかり書いてしまいましたが、
本作品で一番感動的なのは、主人公がかつてのドイツ兵と対峙するシーンと、戦没者墓地を訪れるシーンです。
あの行動、あのセリフは、長い人生を実際に生き抜いてきた俳優さんにしか出せない重みと説得力があります。本当に、泣きます!
何ヶ月か前にNHKで、日米のかつての兵士同士が野球試合をするドキュメンタリーを見ましたが、本作と同じように、人は「許し合いたい心」を抱えながら生きるのだと感じました。自分が生まれてからこの方、戦争を経験せずに生きて来られたことには、本当に感謝をしなければいけないと思いました。