「存外社会派」ポライト・ソサエティ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
存外社会派
基本的にはアクションコメディではあるけれど、あちらの文化を考えると結構骨太な作品。
姉の結婚を食い止めようとする妹が暴走に暴走を重ねる展開で、妹の疑念がラストには真実だったって物語なのだけど、この疑念の根幹が、あちらの国の文化を考えると、不当に扱われ続けた女性の尊厳に由来しているようにも思う。
元々この姉妹、姉は画家を妹はスタントウーマンを目指していて、推奨される女性の在り方とは一線を画すキャラ付けがなされている。
で、姉は画家の夢を諦め嫁ぐわけなのだけど…嫁ぎ先は女性を「子を産む器」のように見ていて、金持ちで有力者なわけだけども、かなりズレてる価値観の一族。
母親が実権を握ってたり、息子がマザコンだったりと、色々看過できない実情が、あちらにもあるのだなぁと興味深い。
興味深いと言えば、挿入歌に日本の歌謡曲が流れてきてた。歌詞もメロディもシーンにはマッチしていて、いい感じだったから、尚更驚く。
日本の歌謡曲は世界に浸透してんだなぁと感慨深い。
で、まぁ、アクションがふんだんに盛り込まれてはいるのだけれど、コイツらはイマイチ楽しくない。
素人っぽさが抜けないし、スタントらしいところもあまりない。飛び後ろ回し蹴りも…あんな雑な吊り方しなきゃいいのにと萎える。
とは言え、物語のテンポや奇抜な展開は楽しくもあったので、ライトな感覚を残しつつ社会を痛烈に批判するスタイルには好感がもてる。
画家志望の姉の方が性質的にスタントウーマンに向いてそうなのも、トンチが効いてた。
章構成になってて、姉vs妹があるんだけど、姉の蹴りはなかなかのもの。過激過ぎる姉妹喧嘩は導入もそうだけど、笑えてしまう。
ぶっ飛んだ物語ながら、締まるところが締まってれば化けたかもなと思える作品。
インド映画だと思ってたら、皆さま流暢な英語を喋って驚いた。