「タイトルの関連性が全くわからないが、行儀の良い人はどこにもいなかったような気がする」ポライト・ソサエティ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルの関連性が全くわからないが、行儀の良い人はどこにもいなかったような気がする
2024.8.29 字幕 MOVIX京都
2023年のイギリス映画(104分、G)
姉の結婚話に陰謀を感じて阻止しようとする妹を描いたアクション映画
監督&脚本はニダ・マンスール
原題の『Polite Society』は「礼儀正しい社会」という意味
物語の舞台は、イギリスのロンドン
高校生のリア(プリヤ・カンサラ)は、スタントウーマンを夢見ていて、日夜トレーニングに励んでいた
唯一の理解者は芸術家志望の姉リーナ(リトゥ・アリヤ)で、時折、動画撮影を手伝ってもらっていた
母ファティマ(Shobu Kapoor)と父レイフ(Jeff Mirza)は勉学に集中して大学に行ってほしいと願っていて、「スタントウーマンになるために学費を出しているわけではない」とまで言われてしまう
彼女には親友のアルバ(エラ・ブルッコレリ)とクララ(セフィーナ・べー)がいたが、リーダー格のコヴァックス(ショナ・ババエミ)のグループから目をつけられていて、何かと喧嘩になっていた
ある日、母の友人である富豪のラヒーラ(ニムラ・ブチャ)の夜会に招待されたリアとリーナは、場違いな場所に困惑していた
夜会の主人公はラヒーラの息子サリム(アクシャイ・カンナ)で、彼の目に留まりたい女性たちが群がっていた
退屈しのぎに屋敷を探検することになったリアは、サリムとラヒーラが密談を
している場面を見てしまう
リアは直感と妄想を働かせ、彼らが何かを企んでいると考える
だが、その不安をよそに、サリムとリーナが付き合い始め、結婚へと向かおうとしていたのである
映画は、カンフーアクションを主体として、半人前のリアが陰謀に立ち向かう様子を描いている
彼女が惚れ込むユーニス(本人役)はポスターと声の出演になっていて、この内容ならどこかに登場していても良かったように思えた
物語は、リアが陰謀だと信じて暴走するものの、そこには想像以上の陰謀が本当にあった、という内容になっている
この陰謀は正直なところ「とても気持ち悪い」のだが、映画ではサラッと説明されるだけで、肝心の「検査」とか「入植」のシーンは描かれない
いっそのこと、結婚を引き返せない妊娠まで行ってしまう方が良いのだが、婚前交渉は御法度なので、そこまで至らせるのは無理だったのかもしれない
その割には、サリムのサイズに暴言を吐いたりするので、やることはやっているのかなとか、くだらないことを考えさせる余白があったりする
物語としての起伏はそこまでなく、面白いエピソードを繋いではいるものの、やはりメインとなる陰謀論がかなりくだらないので、もう少しドギツいもの(出産した赤ん坊を売り捌く)があったほうが敵としてははっきりとしたように思う
母親のクローンをリーナの体で育てるみたいな話だが、それで生き直しができるという感じにはならないだろう
いずれにせよ、カンフーアクションものとしては面白いのだが、姉の結婚を止めたい理由が希薄で奇想天外すぎるように思えた
普通に女たらしで、夢破れた傷につけ込まれているでも良かったと思うし、遺伝子的なものを残すのなら「優良母体」のラインで留めても良かったと思う
夢に生きることと、母となることが両立するのかどうかという問題があって、それがムスリムの制度ではどうなのか、というところに言及した方が共感力が高い
この内容だと、そう言った制度云々の前に生理的嫌悪が先立つので、その割にはお仕置きも大したことがないので、社会的に抹殺されるぐらいまで大騒動になっても良かったように思えた