「マ・ドンソクをいかに魅力的に見せるか、に結局のところ集約される作品なんだけど、キム・ムヨルの”怖さ”もまた、十分すぎるほどに威容を放っている一作」犯罪都市 PUNISHMENT yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
マ・ドンソクをいかに魅力的に見せるか、に結局のところ集約される作品なんだけど、キム・ムヨルの”怖さ”もまた、十分すぎるほどに威容を放っている一作
本作で4作目となる「犯罪都市」シリーズは、身も蓋もないことを言えば、マ・ドンソクの制作プロダクション「チームゴリラ」が手掛ける他作品と同様、マ・ドンソクのブランド力を生かしつくし、さらにその威光を強化することを至上目的として製作されている、と言っても過言ではありません。
おなじみの面々が設定や役柄、時には善人役と悪人役すらも切り替えつつヒット作を次々放っていく様は、日本映画の往年のスターシステム映画を彷彿とさせます。マ・ドンソクは人間離れした肉体と魅力的な表情を見せつつ、基本的に暴力で事態を解決してしまうので、彼に対抗する悪役には当然、それらに比肩しうる特徴が必須になります。
本作の究極の悪役である元傭兵のペク・チャンギを演じるキム・ムヨルは、もちろんナイフや接近戦を得意とした、(いかにも痛そうな)アクションでも十分魅せてくれるのですが、なんといっても印象的なのは、じっとしているだけでも邪悪さと殺気が伝わってくるような佇まい。この演技一つで、マ・ドンソクが倒すべき悪役としての威光を醸し出すことに成功しています。
この底知れぬ邪悪さをひしひしと感じる冷たさと激しさを湛えた眼差しは、『孤狼の血 LEVEL2』(2021)の鈴木亮平の姿と重なり合うところも。
マ・ドンソクの暴力を堪能した後で、次にどの作品を観ようかかな、と思った人には、悪役の雰囲気つながりで、この『孤狼の血 LEVEL2』を推します!
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