「頭なでなで」ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない! 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
頭なでなで
おとぼけ発明家のウォレスと、無口だが賢い忠犬グルミット。
イギリスのアードマン・アニメーションズの“顔”とでも言うべき人気シリーズ。
勿論生みの親、ニック・パーク監督による最新作。
…って、これでシリーズ何作目?
短編やアニメシリーズで6作。スピンオフの『ひつじのショーン』はアニメシリーズと長編作で3作。『ウォレスとグルミット』の長編映画としては2005年の『~野菜畑で大ピンチ!』以来19年ぶり2作目。
スタジオは『チキンラン』など他の作品も手掛け、クレイ・アニメ故製作にも時間が掛かり、しょっちゅう見てる訳ではないが、クレイ・アニメ特有の魅力、ウォレスとグルミットのコミカルなやり取り、あのテーマ音楽を聞くと、ほっこり馴染み感。
自称天才発明家だが、ウォレスの発明品の数々って、名発明…? 珍発明…? あの頭なでなでマシンとか…。
そりゃあ直になでなでされた方がいいよね。時々ご主人様に頭抱える事もあるけど、尽くすグルミットが健気。
そんなグルミットの気持ちは露知らず、最近は直の頭なでなでも無く、能天気に技術どっぷりのウォレス。お茶を飲む時も食器なんてもう使わない。(←これ、後々ある隠し秘密あり)
またまた名?珍?発明を。
妖精ノームをモチーフにしたお手伝いロボット、“ノーボット”。
“良い”プロトコルで忠実。家事やお掃除や庭の手入れなど、ちょっとやり過ぎもあるけど、テキパキテキパキ。
アナログなグルミットよりずっと速い。さすが技術の力!
評判を呼んで、ご近所さんのお手伝いも。
ウォレスはそれで商売を始め、滞っていた支払いに当てる。商売名は“ウォレスとノーボット”。
ぽつんと一人のグルミット。
名コンビの危機に、宿敵の魔の手が迫る…。
ノーボット発明でTVのニュースにもなったウォレス。
それを刑務所内で見て、復讐を企てるある人物。…いや、動物。
泥棒ペンギンのフェザー・マッグロウ!
…って、誰だっけ?
短編『~ペンギンに気をつけろ!』に登場。同作は昔見た記憶あり、うろ覚えだが、確かにそんなキャラいたような…。見たら覚えあり。
ウォレスとグルミットの活躍よって刑務所(動物園)に収監されていたが…、
復讐の時!
鍵を盗み、一室に侵入。パソコンでウォレスの家のパソコンをハッキング。ノーボットのプログラムにアクセスし、プロトコルを“良い”から“悪どい”に変更。
頭のキレる奴! グルミット同様何も喋らないが、クールな悪党。
実写でやったらベネディクト・カンバーバッチやトム・ヒドルストンでもイケそうな。
(この『ウォレスとグルミット』の世界、人間キャラは喋り、動物キャラは擬人化されているが喋らないのがユニーク)
プロトコル変更前からノーボットにうんざりしていたグルミット。充電タイムはうるせ!イラッ!
変更してからはますます不審募る。
黒い目にキャラ変、お手伝いの為に量産された大群はちょいホラー。
それでも全く何も気付かないウォレスだが、ノーボットのお手伝い先や町中で泥棒事件が続発。
犯人はノーボット、主犯はウォレスと疑われる。
警察もウォレスを容疑者としてマーク。警部はウォレスが主犯と信じて疑わないが、新人婦人警官は疑問を抱いて独自捜査。
ボクは犯人じゃないし、ノーボットがそんな悪い事しない。
意気消沈のご主人様の為に、グルミットは汚名を晴らそうと奮闘。ホント健気…。
何故ノーボットたちは泥棒を…?
グルミットは目撃。家の地下に巨大な倉庫が作られ、ノーボットたちが盗んできたもので舟を建造。
ウォレスに知らせようとしたが、その時すでにもぬけの殻。
あの舟は一体…?
ノーボットたちは何処に消えた…?
フェザー・マッグロウは何を企んでいるのか…?
陸も水中も万能の舟。
ノーボットはそれで“ご主人様”をお迎えに。
誰にも知られる事なく脱走したフェザー・マッグロウ。
目的は、以前盗みに失敗した“ブルー・ダイヤモンド”。それを再び盗む事でリベンジ達成。
ダイヤは博物館に戻されたかと思ったが、逮捕前にフェザー・マッグロウがある場所に隠し、それは意外な所にあった。
フェザー・マッグロウたちはウォレスの家へ。
ご主人様が危ない!
でも、何故フェザー・マッグロウはウォレスの家に…?
ダイヤが隠されていたのは…
逃げるフェザー・マッグロウ、追うグルミット。
舟とバイクのチェイス。
量産ノーボットの妨害。
オリジナルノーボットはプロトコルが元に戻る。
ウォレスは一人ドタバタ。
クライマックスのチェイス・アクションはクレイ・アニメの表現もあって、コミカルでハラハラドキドキでエキサイティング!
手書きやCGでもこだわりあり大変だろうが、クレイ・アニメであのクライマックスや作品自体を作り上げるのにどれほどの時間と労力を費やした事か。
その努力の結晶は必見である。
見事なクレイの技術や表現。
映画ネタにもニヤリ。刑務所内で身体を鍛えるフェザー・マッグロウは『ケープ・フィアー』(その時の音楽も)、レーダーにノーボットたちの影は映るが目視出来ずもどんどん迫ってくる…は『エイリアン2』だよね。
ブラックな笑いもまた味。
愛すべきキャラたち。何と言ってもグルミット!
最後はまた頭なでなでされて良かったね。
勿論安心のハッピーエンド。楽しい作品。
いつもながらのクオリティーと安定の面白さのアードマン・アニメーションズ。ご褒美に頭なでなで。
“ウォレスとノーボット”じゃなく、やっぱり“ウォレスとグルミット”!