「李舜臣最終決戦!」ノリャン 死の海 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
李舜臣最終決戦!
『バトル・オーシャン 海上決戦』『ハンサン 龍の出現』に続くキム・ハンミン監督の李舜臣(イ・スンシン)三部作完結編で、李舜臣が戦死した露梁(ノリャン)海戦を描いている。三部作と言ってもお話自体は直接的にはつながってなくて、バラバラの順番に観ても問題はない(製作順は『バトル・オーシャン』→『ハンサン』→本作。作品内の時系列は『ハンサン』→『バトル・オーシャン』→本作の順)。主演の李舜臣役は1作ごとに変わっており、今回はキム・ユンソク。
いや~面白かった。前2作も面白いことは面白かったものの、ストーリー性の弱さが気になるなど全面的に賞賛とまではいかなかったんだが、本作は文句無しに面白いと言っていい。今回は朝鮮水軍と日本水軍(秀吉軍)に加えて朝鮮の援軍として来た明水軍が加わり、韓日中三国そろい踏み。3勢力となったことで関係性が1対1ではなく立体的になってるのがストーリー性にプラスに作用している。まあ演じてるのは全部韓国の俳優で、日本人役は日本公開版では日本語吹替になってるが、前2作に比べて違和感は最小限にとどめられている。明国人役の俳優は中国語をしゃべってるんで、どうやら日本人役の俳優も日本語をしゃべってると思われるが、日本人が聞くとやはり違和感があったんだろう(中国語も中国人が聞いたら違和感があるのかもしれない)。しかし内容的には必ずしも朝鮮にばかり偏らず日明の武将もカッコよく描かれていて、重厚な芝居もあって非常に見応えがある。日明の衣装や風俗もほとんど違和感がなく驚き。李舜臣役のキム・ユンソクも3作中最高の演技を見せており素晴らしかった。
そして何よりCGを駆使した海戦シーンが圧巻。こちらも前2作よりさらに素晴らしい出来で、CGと実写の区別がつかないほどだ。CGもここまで来たかと本当に感心した。軍艦同士の砲撃戦から兵士たちの白兵戦まで、まさに血湧き肉躍る戦闘シーンに興奮すること間違いなし。2時間半の長さも全く気にならない。
キム・ハンミン監督もこの三部作で1作ごとに成長していったことがよくわかる。明らかに1作目の『バトル・オーシャン』よりも2作目の『ハンサン』のほうが出来が良く、そして『ハンサン』よりも本作のほうが出来が良い。女性は李舜臣の妻(もちろんオバサン)がちょろっと出てくるだけだが、女優大好きな僕もこの映画に関しては文句無し。いや良かった。