「がんばれ、TOHOシネマズ二条!!」ビートルジュース ビートルジュース TRINITY:The Righthanded DeVilさんの映画レビュー(感想・評価)
がんばれ、TOHOシネマズ二条!!
前作(1988)から35年以上経ってからの続編。
前作公開時に感じた悪ノリぶりとスベリ加減は相変わらず。こういうのをスラッブスティックというんだろうか。
アメリカと笑いの感覚が異なるのか、単なる個人のセンスの問題なのか。それでも、前作よりも映画ファンとして好意をもって観られたのは、ビートルジュース役でマイケル・キートンが引き続き出演しているから。
コメディアン出身の彼の俳優としての出世作となった前作のヒットを受け、再びT・バートン監督とタッグを組んで臨んだ『バットマン』(1989)では、そのキャリアゆえに原作コミックファンからは大ブーイング。彼の降板を望む署名活動まで起こったほど。
そんな雑音を跳ね返して作品を大ヒットに導いた一因は、間違いなくキートンの役者としての力量にあったし、彼が主演したシリーズの成功なくしてその後のDCやマーベルの映画化作品の実現はあり得なかったと思う。
今回、約35年ぶりに思い出深き(?)ビートルジュースを再演することになったキートン。
メークしてたら誰か分からないし、ベテランの彼がやらなくてもと思うが、『バットマン』シリーズでブレークした直後から、脇役・悪役・サイコパス等、役柄択ばずキャリアを積んできたキートンの集大成なのかも。
個人的には、そろそろオスカーを獲って欲しい俳優のひとり。
自身のキャリアをパロディ化したような『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2015)では惜しくもノミネート止まりだったが、できれば『ザ・フラッシュ』(2023)でこれまでの功労の意味も込めて助演男優賞をあげて欲しかった。
キートン同様、前作からの続投になったウィノナ・ライダーは、両作品のブランク中の私生活が波瀾万丈。長生きすれば人生山あり谷ありは付きものですから。
前作では、ピュアな感性ゆえに霊とも交流できるイメージだったリディアが、大人になってTVのいかがわしい心霊番組のホストやってるのには笑えた。
本作からの出演になるウィレム・デフォーは霊界の警察幹部役(設定が刑事ドラマの撮影中に実弾事故で死亡した俳優って…。アレック・ボールドウィンへの当てつけ?!)。
彼も『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2018)でオスカー獲って欲しかったのに、最近またヘンな役ばっかり。
いっそデフォーのジョーカー役で、バートンとキートンの三人で新しいバットマン作ったらいいのに。
監督ティム・バートンの愛と毒がない交ぜになったフリークス・フェチも相変わらず。
ストーリーはカオス状態。
行方不明になったリディアの夫や父の事故死、悪い霊に騙された娘アストリッドに自身の再婚など、どのエピソードがメインなんだか。
コメディ作品なので細かい点はいいにしても、思春期の娘が男(霊だけど)に騙されて危なかった話はもちょっとフォローがあってもいいのではと。
自分より先に投稿された方のレビューを拝見してると、ジェナ・オルテガの『ウェンズデー』が何度も話題に挙がっていたけど、自分はモニカ・ベルッチ演じる毒婦ドロテアのキャラクターにモーティシアが重なった。
もしかして、『アダムス・ファミリー』意識してた?!
本作を観に何ヶ月ぶりかで訪れたTOHOシネマズ二条はビルの全面改装中で、映画館以外のテナントがコンビニを除き完全撤退。
映画館のチケットで割引してくれるところもなければ、時間を潰す場所もない。
いつもは若い人たちで遅くまで賑わっていた劇場ロビーも、コロナに逆戻りしたみたいに閑散としていて営業にも影響出てるはず。
来春の全面復旧までしばらく大変だろうけど、それまで頑張れTOHOシネマズ二条!!