「前作好きだった人は見るべきかな」ビートルジュース ビートルジュース jfs2019さんの映画レビュー(感想・評価)
前作好きだった人は見るべきかな
前作は何度見たかわからないぐらい繰り返し見た好きな映画だ。初期のティム・バートンの魅力詰まった作品だった。日本語吹き替え版の西川のりおの自由すぎるセリフ回しも切れ味抜群で。今作で聞けないのは非常に残念だ。マイケル・キートンと同い年だし、期待してたんだけど。
ともあれ、タイトルテーマ曲が流れ、街はずれの空撮の映像から例の家に近づくにつれていつの間にか建物がミニチュアに入れ替わっているというオープニングの演出は前作を踏襲していて心が躍った。
ただ、前半1時間はドロレス再生のシーン以外は退屈極まりなく、途中で時間を確認してしまうほどだった。しかし、ティム・バートンも老いて小さくまとまってしまったかと思いきや、真打ち登場で空気がガラッと変わった。あの悪趣味でやりたい放題(セクハラ要素は抜けてたけど)のビートルジュースが帰ってきた。マイケル・キートン、ほとんど年齢を感じさせない。まぁ、もともと推定年齢600歳の老け役だからだけど。
後半のスピード感はなかなかのものだが、ストーリーはほとんどあってないような。ボーイフレンドの正体が明らかになってからは緊張感が高まるが、その緊張感もビートルジュースがワヤクチャにしてしまうし。ドロレスとの再会を果たした後、もうちょっと話が膨らむのかと思ったら、あっという間にいなくなるし。底の見えない沼かと思って恐る恐る足を踏み入れたら、くるぶしまでしかない水溜りで膝がカクッとなるような感覚。
でも、もともとそういう映画ではないし、そこに期待していたわけでもない。相変わらず、死者の世界はティム・バートンぽいおもちゃ箱をひっくり返したようなネタがてんこ盛りで笑わせてくれた。待合室に並ぶ死者たちの扮装から、死因が何だったのかに想いを馳せるのも楽しい。諸事情で出演NGなチャールズ・ディーツを力技で登場させる。で、え?あの世へのソウル・トレインってまさか...と思ったら、そのまさかだった!ベタすぎる親父ギャグ。しかし、最もわたしが笑ったところでもあった。突然なんちゃってミュージカルになる展開もまぁまぁよかった。
しかし、封切り2日目の土曜日のIMAXシアターで観客11人しかいなかった(それも大半がわたしも含めて往年のティムバートンファンっぽい年齢の方)のはあまりにも寂しい。