「この男に続編をつくらせてはいけない。がっかりするから。」ビートルジュース ビートルジュース あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
この男に続編をつくらせてはいけない。がっかりするから。
まず、ウィレム・デフォーから。昨日「憐れみの3章」をみたところだが「哀れなるものたち」から続くデフォーが形づくる怪人たちの姿にすっかりノックアウトされたばかり。それに比べれば本作のデフォーは全く普通。まるで面白くない。デフォー本人のインタビューを読めば彼はああ見えても演出家と話し合うことで演技の中身を変えていくタイプ。つまり面白くないのはティム・バートンの演出に問題があるということになる。
とても期待した本作だがはっきり言って詰まらなかった。ティム・バートンの昔の作品はグロテスクで、残酷で、でもクスクス笑えて、コケティッシュな部分がどこかある、そういった魅力があった。本作も同じような要素で成り立っている。でもすべての要素のキレが悪く中途半端なのである。例えばコメディの要素でいえば「デューン砂の惑星」風や「ソウルトレイン」風のくだりが見せどころになるのだろうが今どきあれぐらいで誰が笑うか?だらだら話が進み、特に盛り上がりもないまま終盤の教会のシーンに突入、なんと寝落ちしてしまい自分でびっくりした。
そしてヒロインの娘アストリッドを演じたジェナ・オルテガ。36年前の前作ではビートルジュースのめちゃくちゃと対比してヒロイン ウィノナ・ライダーの可愛らしさが作品の魅力だった。ウィノナが母親役にまわった以上、娘役がその役割を務めなくてはならないのだがこれがちっとも可愛くない。人気はあるらしいけど。さらに相手役の男の子もセットで可愛くない。だからいかにもテイム・バートンらしいツリーハウスの道具建てが活きずちっともチャーミングでない。
よく考えてみれば、ティム・バートンはあまり続編というものをつくっていないんですね。「シザーハンズ」は諸事情で続編を作れないらしいし、「チャーリーとチョコレート工場」は版権をポール・キングに取られてしまった。結局、一発屋であり、アイデアを膨らましていく継続性を期待出来ないらしい。まだ65歳。老け込む歳ではないけどね。