「北村匠海氏の演技の新境地を観た。」悪い夏 Moiさんの映画レビュー(感想・評価)
北村匠海氏の演技の新境地を観た。
感想
現代社会の福祉における救済システムを逆手に取り金を収奪しようとする小賢しい悪人が精神の自立が出来ていない人間を脅かし自己を見失わせ唆し、詐欺まがいな税金泥棒として犯罪の片棒を担がせ、本当に救済を必要とすべき人間の生命をも脅かし危険に晒してしまう。さらに自身の醜い欲に溺れた考えと行動により人生の辛酸を舐める事になってしまった人々の顛末が描かれる。世の中の不条理とはこういうものだ。という気持ちを心に噛み締めながら人間は気持ちの持ち様で愚かで恐ろしさを持つものなのだと半ば自戒気味に鑑賞した。
演出・脚本・配役
北村匠海氏演ずる佐々木は人間誰しもいつ起きてもおかしくない悪が仕掛けてくるトラップに引っ掛かり、思い掛けなく人生を棒にふり奈落へ墜落する男をリアルに演じている。観客に時に自我の弱さを痛感し警鐘を促す如く意識させイライラさせてしまう演技が素晴らしかった。演技的に新境地を開拓している。
河合優美氏演じる林野愛美。この手の役柄のオファーが多くなるのは実力と人気(旬の時期。ブーム到来)の証でもある。掴みどころのない役柄の雰囲気を自然体で落ち着いて表現しており良かった。本作に出演の他の女優陣に比べても明らかに違いを見せつけて前途揚々たる気風を感じる。日本を代表する女優になって欲しいと感じる。
窪田正孝氏はそこら辺によくいる金本の様な人間を自然体で寧ろ生き生きと演じていた。金本龍也自身完全な悪人ではなく半グレであり、何が彼をそうさせたのか。金本がこうなってしまった原因が必ずあるのではないかと思わせるキャラクターで前日譚を描くスピンオフがあれば窪田氏の演技で観てみたいと感じさせた。それ位窪田氏の演技と金本龍也が合っており自然な演技で素晴らしかった。
その他、毎熊克哉氏、竹原ピストル氏、クセが強い嫌らしい役を其々見事に演じていた。木南晴夏氏は本作の被害者の代表を演じていて上手い女優さんだと思うしどのように絡んでくるのかが楽しみであったが今回の脚本では最後まで具体的に絡む事なく結果のみが会話の中にでてくるだけなので残念であった。
場面展開時の描写も素晴らしいもので監督の演出は各登場人物の描写については良く出来ていた。しかし問題なのは脚本であると感じる。何か、とにかく纏めなければいけないという心理規制の掛かったストレスでもあるかのような纏め方で最後はコントのような驚くほどお粗末な展開になっていた。俳優陣の演技が素晴らしかったので残念である。原作は未読であるが、今回の脚本が仮に原作通りであったとしても映画化の場合は原作の骨は残しながらも話をデフォルメするべきと感じる。
作品自体は⭐️3(内訳演出2、脚本1)
俳優陣の演技に⭐️0.5加点
共感ありがとうございます。
伊藤万理華の男と潔白への執着が凄いですね。男に惚れたからが大半ではなくて、あくまでも等価、こんなクズ私にしか救えない!想いだったと思いました。
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