劇場公開日 2024年11月1日

「コンパクトにしたことで生まれた小粒感」ヴェノム ザ・ラストダンス つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5コンパクトにしたことで生まれた小粒感

2025年4月15日
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鑑賞方法:DVD/BD

ヴェノムシリーズは多様性の存在だけではなくて、その先の「融和」についての作品だったと思う。全く違う生命体であるエディとヴェノムが一つの体にいることが最も象徴的だろう。
一方で、価値観を異にするもの同士の融和と反する対立も描いてきた。このバランスがヴェノムシリーズの魅力だったかと思う。まあ、アメコミのアクション映画なので、そんなことはどうでもいいといえばどうでもいいのだが。

本作は、異文化交流の果て結ばれた夫婦が死別するかのような物語である。
エディとヴェノムの時間は1年ほどであったし、最期まで息を合わせることもできなかったが、互いに同じ価値観にすり合わせることが融和ではないことも示した。
全く違う存在だとしても互いを認め合うことこそ多様性の世の中においての融和なのだ。

今回はエディの地元ではなかったのでチェンさんはさすがに出ないかと思っていたけれど、思わぬ形で(少々強引に)出てきてくれて何か嬉しくなった。シリーズ通して出ている人がチェンさんとエディしかいないからね。エディの事情を知っている人という意味でもチェンさんは貴重。多様性の大事なピースでもある。

あとはなんだろう。物語のスケールに対して尺が短かったような気がして大作の風格は失われてしまった気はした。
アクション映画でよくあるファーストミッション。作品冒頭に小さな出来事を見せるアレ。そのファーストミッションが引き伸ばされたような感覚の作品だった。
つまり、何か少々小粒感を感じる。

それでも最低限の笑いと大団円で、綺麗に締めくくれたのではないかと思う。
絶賛することは出来ないが及第点はあげていい。

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つとみ
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