「もの哀しい」ヴェノム ザ・ラストダンス かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
もの哀しい
雨の中、日本最古のシネコンの、THXで観ました。(大森ではないです)
日本最古だけあって、座席の前後が狭くて小柄な私でさえ足がつっかえたし、前の人の座高が高くて画面の下部分に干渉しちゃうし、ポップコーンやドリンクをセットするトレーは何人分を想定しているのか長方形でデカくて、しかもドリンクホルダーにひっかける仕様じゃなく膝の上にのせるタイプ。
今となってはとても新鮮なシネコンです。
「ラストダンス」というだけあって、ヴェノムの死亡フラグ立ちまくりで、ずっともの哀しい。
ヴェノムの体内の、最恐ヴィランを解き放つ「鍵」は、バディのどちらかが死ねば消える、設定、「さよならは別れの言葉じゃない」(寄生した誰かが薬師丸ひろ子の歌を知ってたのか)を何度も口にするとか、花模様のワゴンでエリア51を目指す夢見る一家に拾われて一緒に歌って「こんな幸せでいられたら」とか。極めつけは「自由の女神に会ってみたい」ってジョーとラッツオかと思った、行き先はフロリダじゃないけど。
ヴェノムってこんなにイイヤツだったっけ?
前作観ていないので設定変更とかあったのかもですが。
悪人どもは情け容赦無く頭だけ食っちゃうのに犬たちには親切だったり、気まぐれなのか、単に好き嫌いなのかも
相変わらず想像を絶する荒っぽい国境の超え方に笑ったが、ふたりが追い詰められていくのが切ない。
ワゴンの姉弟、イカれたオタク両親に無理やり連れ歩かれている気の毒な子どもたちかと思ったら、その昔のフラワーチルドレンみたいな父(もとIT技術者)は誰にでも愛を与える本当に「イイ人」だし、母もそれにガッツリ共鳴しているし、姉は反抗期らしく嫌味を言うが、家族を愛している、社会から離脱しただけの愛にあふれる良い一家だった。拾った得体の知れないおじさんに、自分の大事なチョコバーを内緒でそっとくれる弟がいい子で可愛くて泣ける。
一家4人であこがれのエリア51に忍び込むところ、ワクワクしてしまった。
一家はもう二度とエイリアンに会いたいとは思わないだろうし、普通に社会生活を送る家族になるんだろう、と思ったら、軌道修正できて良かったんだろうがもの哀しくなった。
シンビオートたちが身を捨ててヴェノムを守ろうとしていて、シンビオートは単に迷惑で邪悪な(だけど面白い)存在と思っていたので、やっぱり設定変更とかあったんだろうと思いました。
メインのバトルは、閉鎖され施設を破壊する段階のエリア51なので、派手にドンパチあっても周辺への被害は少ない、なので安心してバトルを見守ったりもして。
「悪い」人間はひとりも出てこないし、さんざん振り回したのに最後はそっと壊れたドアをエディに立てかけ超強力な酸から守り、自らを消滅させて災いのもとの「鍵」を消し去る。
ヴェノム~~~!!こんな良いハナシだった~~??
シンビオート・ハンターが怖い。
クワイエット・プレイスに出てきたやつらと見分けがつかないのですが、虫のような節々の複数の足を持つあの形状はヒトに本能的に気持ち悪さ怖さを喚起するのかも。
宇宙人たちの死闘が繰り広げられた後、破壊された施設跡から出てくる何も知らないバーテン、侍タイムスリッパーの3番目みたいでちょっと笑いました。定番のオチです。
ニューヨークにたどり着き、無言で「彼女」を眺めるエディ。
ここで思わず涙腺崩壊。
まさかヴェノム見て泣くとは。
続編できそうだけど。。。エンドロール長かったです。
そして、ゴキブリは最強だった。