「漕ぎ出そう戦いの海へ」ボルテスV レガシー マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
漕ぎ出そう戦いの海へ
超電磁マシーン ボルテスV
1977年に東映製作の
前作「超電磁ロボ コン・バトラーV」
に続くロボットアニメ
低年齢層向け玩具向けだが
大人の視聴にも耐えうる骨太な
テーマを持ったストーリーで
語り継がれる作品で
日本放送の翌年にフィリピンで
放送されると人気が爆発
視聴率60%を叩き出し
関連商品が飛ぶように売れる
など社会現象化
その影響が強すぎて当時の
独裁マルコス政権が放映を禁じ
続きが放送されたのは
政権が倒れた数年後だったという
語り草がある
それから1999年に再放送されると
リバイバルブームが再び起きた
というから人気の高さは日本の
想像を超えていたようである
という背景もあって
2020年にフィリピンで制作発表された
ボルテスVの実写映画化だが
原作とかけ離れた日本の実写化企画に
ウンザリしていた日本のアニメオタクは
本作のトレーラーを観てその再現度に
衝撃を受けた声も多かった
正直ボルテスVは当時世代ではなかった
のですがそれでも原作への愛情を感じる
大変見事な完成度でした
頭の「角」の有無で身分が決まるボアザン帝国の
科学者であり皇位継承候補ラ・ゴールは
角が生まれつき無かったのを
ライバルのズ・ザンジバルに暴かれ失脚
やがて地球に落延び剛健太郎と名乗り
妻の光代と結ばれ
設けた三兄弟「健一・大五郎・日吉」を
いつとも知れぬボアザン帝国からの
侵略に備えるため開発した超電磁ロボ
ボルテスVの開発と
一般にスカウトした「峰一平」
国防長官の娘「岡めぐみ」らと
ボルテスチームとして鍛え上げる
そうしたバックストーリーは
この映画での描写は省かれているが
踏襲はしているようである
ザンジバルに命令された
プリンス・ハイネルの地球への
侵略から映画は始まります
にしてもまぁキャストの再現度の
高さったらない
世界観はボルテス側は
漠然とした研究所と地球防衛軍と
いう感じで国籍描写はとくにないが
字幕版で観たのでタガログ語で
進む日本のロボットアニメには
昔の職場の上司によく連れて
いかれたフィリピンパブ思い出して
不思議な感覚になった(笑)
何より確かにビジュアルやストーリー面の
稚拙さはあるが冷めない熱いテンションと
ボルテスVのデザインがめちゃくちゃ
かっこいいのである
まぁ最近マジンガーやグレンダイザー
なども今っぽいアレンジデザインに
されている例は多いが
トランスフォーマーほど
グチャグチャ感もなく
(あっちも最近はだいぶスッキリはしたが)
正義の化身感はんぱないのである
前述の大人の視聴にも耐えうるという
部分においてはさすが東映で
見た目は子供向けアニメでも
母が息子たちを救うために
敵に戦闘機で体当たりをかける
テレビ版2話の壮絶な最期を今作も再現
どちらかというと侵略者を許さない
というフィリピンの国民性に応じて
アレンジされた感じの今作ですが
母の親心だけは変わらなかったようです
また挿入されるテーマが
ちゃんと日本語歌詞のままのメインテーマ
堀江美都子さんではないけど
ヘンにカッコつけて今っぽい
曲を使う事もなくほんとに作品愛を
感じました
日本の実写映画化はまぁ
一時期に比べればきちんと
再現度にこだわっているシリーズも
増えてきましたが作り手の勝手な
アレンジで台無しになったやつに
ファンは打ちのめされてきましたから
こうした作品を海外に作られたことは
危機感を変わらず持ち続けるべき
でしょうね