霧の中の子どもたち

2021年製作/92分/ベトナム
原題:Children of the Mist

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
ハー・レ・ジエム
製作
スワン・ドゥビュス
トラン・フォン・タオ
編集
スワン・ドゥビュス
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映画レビュー

5.0すごいドキュメンタリーを観た

2024年6月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

アジアンドキュメンタリーズで視聴。
以下、紹介内容を転載する。
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北ベトナムの山間に暮らすモン族の伝統的風習、「嫁さらい」に巻き込まれた14歳の少女の一部始終をカメラが追った。主人公のジーは学校に通いながら、家業の藍染めや農業、家畜の世話などを手伝う。父親は一日中酒に酔っていて、母が生活を切り盛りするため、子どもは大切な労働力でもあるのだ。春節の祭りの日、ジーはヴァンという少年と懇意になり、彼の家に連れ去られた。母親はジーを取り戻そうとするが、「嫁さらい」に親は関与できない。結婚を迫るヴァンと拒むジー。騒動は学校や両家の親族まで巻き込んで、二転三転してゆく。現代においても女性の人権を認めない、伝統的価値観が根強く残るモン族の社会を描いた作品だ。
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描き出されている事象から考えさせられることは様々だが、それもこれも、監督が主人公のジーとの人間関係をしっかりと築き、寄り添いながらも客観性を失わずに、彼女たちの生活を犯さない距離を保っているからこそだろう。
中で、たった一度、監督はジーの問いかけに対して、自分の感情を伝え、厳しい指摘を投げかける場面が出てくるが、そこが出色。

それにしても、教育の果たす役割の大きさ、重さを思ったし、現場の教師たちが、きちんと信念を持ってこの問題から真正面に向かおうとしている姿勢にも感動した。

少数民族の文化を守り続けることと、普遍的な人権を国として擁護し、彼らに伝え続けていくこと。それを並行して行っていくことの難しさがしのばれたが、それとは全く別に、スルスルっとスマホなどの文明の利器は、こんな少数民族の中にも巧みに入り込むのだなと感心もした。

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sow_miya