「いろんな角度でボレロを楽しめる映画」ボレロ 永遠の旋律 komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
いろんな角度でボレロを楽しめる映画
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聴覚、視覚だけでなく、嗅覚や触覚にまで訴えてくる作品。この映画を観ている間に、私のボレロのイメージが二転三転させられた。
もともと私がこの曲に持っていたイメージは、異国のパレードがずっと遠くからゆっくり近づいてくるイメージ。その為、イダの踊りを見たときはこんな官能的な曲なのかと驚いた。
その後、彼の戦争体験や母の死などのエピソードを見て、ラヴェル自身の声にならない叫びのような内面的なものへとイメージが変わった。
そして最後の演奏では、この曲がラヴェルの人生そのものと重なって聴こえた。同じメロディが繰り返されるのは、様々な女性に囲まれながらもどこにもたどり着かない彼の姿。カタストロフィーとあう言葉もあった唐突な曲の幕切れは、崩壊する彼の精神や術後あっけなく亡くなった結末に重なるように思える。
もっとも作曲したときにそんな事は考えていなかったと思うが、そう考えるとこの作品のストーリーのモヤッとした部分もスッキリする気がする。
それにしても女性達は彼のどこに惹かれていたのだろうか。
…
オープニングや最後の演奏に合わせたダンスを観て、人それぞれ全く違う解釈をしているんだなと気付くことができ、色々と自由に考えることができ楽しい時間だった。
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