十一人の賊軍のレビュー・感想・評価
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個性的な面々が団結する流れがいい
時代劇はあまり得意ではない。武士たちの考え方に共感ができないから。主君のために命を投げ出したり、理不尽と感じてもお上の命を守るメンタリティが受け付けない。それでも面白い時代劇はあるのでたまに劇場に足を運ぶことになる。本作を観ることにしたのは、山田孝之と仲野太賀が主演していたから。様々なタイプの人間が協力しながら敵と戦うって話は、使い古されているのにワクワクしてしまう。これは長い映画鑑賞の中で沁みついてしまったもの。
実際、死罪になる者たちが砦の防衛に駆り出されるという流れや、集められた面々が個性的なのがいい。詐欺師や放火犯だけでなく、ちゃんと辻斬りとかの犯罪者も入ってたりする。そして医者になるためにロシアに渡ろうとして捕まった者なんかも。今の感覚からすると、それで死罪?と驚く。
そんな彼らが無罪放免というエサで徐々に団結していく。もちろん各自思惑もあって簡単には団結しない。でもいつの間にか協力し合っていく流れがいい。ひどいことされた相手には力を合わせないと立ち向かえない。ある程度ご都合主義な設定もあったりするが、そこらへんは大きな問題じゃない。必死に戦う彼らの姿に感動した。その対極で、犠牲を出してでも新発田の地と領民を守ろうとする家老の姿も印象に残る。「賊軍」たちの立場だけでなく、新発田藩の立場もきちんと見せていく脚本がよかった。あの状況の新発田藩に何ができたのか、考えてしまう。
やはり山田孝之と仲野太賀が図抜けて印象的だったが、なつを演じた鞘師里保も存在感があった。地味な子だけどいいなと思っていたら、元モー娘。と判明。これはオファーが増えるに違いない。あと、芸人数名が出演していたのも驚いた。演技が下手というほどではなかったが、ナダルは話し方や声を聞いただけで「ナダル」と思ってしまう。シリアスな映画だけにもったいない。
仲野太賀は私の見た中で過去一カッコ良かった。こんな役もできるんだな...
仲野太賀は私の見た中で過去一カッコ良かった。こんな役もできるんだなぁ
あと爺っつぁん、只者では無いと思っていたけれどやっぱりカッコ良かった。
玉木宏は何してもカッコいいなぁ
ちょっとそこまで映さんでもええやんと思うシーンも多々あったけど
最後はやっぱり泣ける。
阿部サダオは憎たらしい、
が、考えさせられる。
でも
嘘つくのはあかんなぁ
なんじゃあの煙は
「碁盤斬り」が記憶に新しい、白石和彌監督の時代劇。あの作品は落語演劇だったため、ドラマがメインの完全なるエンターテインメント作品だったわけだが、本作は戊辰戦争と実際にあったものをモチーフにしたアクション大作であるため、白石色がより濃く出た作品になっている。まさに、幕末版「孤狼の血」といったところ。旧幕府軍vs新政府軍という構図は「ソウルの春」と似た部分もある。
キャストもキャストだから、かなり期待値高かったんだけど、んもうやばかった。ラスト20分がとんでもなくて心の中で大騒ぎ。「福田村事件」の時に味わった感覚と酷似。いやぁ...すごいなぁ...。
旧幕府軍vs新政府軍という時代を変化させた大きな戦いにもかかわらず、今回スポットが当たったのは両者からの板挟み状態に苦しむ新発田藩の罪人たち。こんだけのスケールでメインとなるのは武士ではなく、ただの落ちぶれた平民というそのギャップが既にたまらなく面白い。
ボロッボロの山田孝之は想像通り最高。昨年公開された「六人の唄う女」の時からさらに磨きをかけた感じ。すごく筋の通った人物で、周囲は苦しみを共にした仲間をも大切にしたいと考える一方で、彼は妻を助けたい、妻に会いたいとその一心。協調性のない人物と片付けることも出来るが、戦乱の世でこう考えれるのは最もらしいし、こういう人物こそ武士になるべきじゃないかとも思った。
一般的な時代劇よりも淡々とし、物静かでジメッとしているのも特徴のひとつ。本来、失われるはずだった命。いま、生きていることが彼らにとっては奇跡も同然で、おかげで死ぬことに対しての恐怖心はまるでない。恐れを知らず猪突猛進で敵に立ち向かう姿は、すごく生々しくて人間臭い。しかし、徐々に生を実感し、生きることに喜びを覚えていく11人。いつもの時代劇なら不死身のように感じてしまう戦士たちも、本作では残機1しかなく、たった1回の人生を必死に生きているんだということを強く感じる。命を軽く扱われている人々が主人公だからこそ、命の重さを訴えかける作品になっている。
155分と邦画にしてはかなりの長さだが、全くもって感じさせず、終始前のめりになってしまうほど没頭できた。豪華キャスト、と言いながらも、若手・新人の俳優をかなり起用しており、若干地味に映ってしまっているがとても臨場感溢れるリアリティに特化した作品にもなっている。キャスト全員の魂の叫びが聞こえる、最高のアンサンブル。チョイ役の人達もしっかりと爪痕を残していて、邦画好きとしては画面を眺めるだけですっごく楽しかった。柴崎楓雅の佇まいには驚いた。玉木宏の使い所もいい。佐野岳とナダルが兄弟役はめっちゃ笑った笑笑 最初全くわからんかったし笑笑
罪人たちの罪を互いに報告し合うところとか、両軍が新発田藩に迫ってくるところとか、シンプルに聞き取りずらかったり画面が暗いせいか分かりにくい部分が多く、大きな動きがあると毎度粗があってそれがかなり悪目立ちしていたけれども、中盤に山を作るのではなく終盤にドンッと一撃爆発させる構成はあっぱれで、次第に面白くなっていく右肩上がりの映画だったから夢中になって見ることが出来た。もうひとつ、何かぶっ飛んだものが欲しかった気もするが、インパクトはバツグンだし、これで十分大成功していると思う。やっぱ白石和彌はやめらんねぇ....。
個人的に仲野太賀という俳優があまり好きではなく、「今日から俺は」の今井は愛おしいほど好きだけど、それ以降も以前も彼にハマったことはなかった。今回もいつも通り、特に期待もせず見に行ったんだけど...これがビックリ。ラストで一気にぶち壊し、今後のキャリアに響くと思われる想像を絶するほどの最高の演技を見せてくれた。全身が沸きあがる。セリフでも声でもない。凄まじい目の演技。なにかに憑依されたようなその表情に、とんでもなく惹かれてしまった。身体が硬直してしまったもんね...。最後の最後に、全てを食ってしまっていた。素晴らしかったです。
白石和彌が撮った時代劇はどんな形であろうと好きになっていたと思うけど、この時代にこんなにも真正面からぶつかってくれる、昔懐かしい東映時代劇が見れて大満足だった。やっぱ時代劇はいいなぁ。作品の持つメッセージの重さが段違い。白石監督の愛が日々強まるばかり...☺️
スカッと行くぜ、賊軍!!
絶対観ようと思って、鑑賞しました。
全く長さを感じさせないくらい、引き込まれて一気にラストまで突っ走って見てしまった。
それぞれブレない人物のそれぞれの生き様が気持ち良かった。勿論、黒澤明の時代とは違うので、女性の扱いなど表現を制限したんだろうなという感じもあったが、それでも、これぞ時代劇という骨太な愉快さを堪能させてもらって満足でした。途中からあれ?モノクロだったか?というほど色が無くなったのも時代劇の雰囲気。
仲野太賀、山田孝之はじめクセ強の賊軍に対して、直接対決する官軍の現地指揮官が印象が薄い。玉木宏や阿部サダヲくらいそっちでも良かったような…特に玉木宏、ほとんどナニもして無いし。
コレでもかと斬り合って、スカッとしました✨
期待したほどじゃないかな
幕末の世にあって見向きもされないような罪人に無罪放免を餌に時間稼ぎをさせる時代劇。
幕府軍と官軍の間で立ち回る小藩が蝙蝠を演じる事で起きる悲劇がテーマかね?
そこそこ見どころはあるが、世の流れに翻弄される人の儚さとか悲哀を魅せたいんだろうけど、散々やったテーマだから飽きが来る。
もうちょっと白石監督らしい破天荒さが欲しかった。
いい人vs悪い人
ではなく、いい人なんだけど悪い人、悪い人なんだけどいい人たちが跳梁跋扈するもんだから、すっきり爽快、明朗快活なんてない複雑なストーリー
主人公達にも感情移入しきれず、もう食べたくないけど、満腹感も無いという
なんともすっきりしない鑑賞感でした。
ドッカン、ドッカン、新潟弁炸裂
■サマリー
1868年、旧幕府軍と薩長を中心とする新政府軍の間で争われた戊辰戦争。
新政府軍と対立する奥羽越列藩同盟に加わっていた新発田藩で繰り広げられた、
同盟への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた11人の罪人が、
新発田藩の命運を握る砦を守る任に就き、壮絶な戦いに身を投じる姿を描く。
■レビュー
賊軍=旧幕府軍でした。
舞台は新潟・・・私の生まれ故郷。
長岡藩が官軍=新政府軍に負けた後のお話。
2年前に「峠 最後のサムライ」で長岡藩の戦いを見ていたので、
その後の話としてつなげながらの鑑賞。
ストーリーはベタといえばベタなのだが、結構ハラハラ、ドキドキ。
血は飛ぶ、首は飛ぶ、肉片も飛ぶ、ちょっとグロい。
さらには、たった十一人で官軍相手に持ちこたえちゃうところが意味不明。
ありえない笑
そして、推測通りといえば推測通りなのだが、最後はやはり悪者扱い。
なんとか時間稼ぎができ、救われたと思いきや、やはりおぬし、悪よのう。
新発田藩の重臣を演じた、阿部サダヲさん。
藩のためとはいえ、ひどいわ。最後は不幸になってしまったけどね。
賊軍の主役は山田孝之さんだったのだろうか、でも仲野大賀さんの役回り、
そして殺陣シーン、最後のシーンなんかはこちらが主役だ、と思った。
(ダブル主役かな、エンドロールでは名前が並んでいたような)
官軍には玉木宏さんがいたけど、出番が少なく。。。
ゴールデンカムイと被ってしまった笑
それにしてもドッカン、ドッカン、爆撃もすごく、
Dolby Atmosで見たので、なおさら音がでかかった。
そして、俳優陣はみな新潟弁を話していたんらてー
面白かったんらてー
(語尾は「らて」)
そういえば、「あんにゃ」(=兄)も新潟弁だ。
鬼気迫る殺陣シーン!必見です!
イヤー面白かったです。仲野太賀さん鬼気迫る位の殺陣シーン凄かった。まーああ言うクセ者やらすと憎たらしい位上手いなー阿部サダヲさん!山田孝之さんをはじめ贅沢な役者陣だなー。
火力と殺陣
笠原和夫の原案を白石和彌監督が映画化した155分の集団時代劇大作。10人の死罪人を集め官軍から砦を死守させ成功したら無罪放免。
幕末、戊辰戦争だけに火力、火薬、爆発と殺陣は食い合わせが難しく話が長い。
女性のエピソードやらを削れば30分短く出来たかも。
役者陣の演技に殺陣は迫力は素晴らしい!
これだけ大規模な時代劇アクションは現代ではなかなか厳しい中でこれだけ出来るとは!
不可能だけどもし笠原和夫脚本で工藤栄一監督や深作欣二監督で作品になっていたら…。
11人のヒーローが戦争ごっこする話
主役級の俳優を使っているので、みんな普通に死なないし、意味の無いところで死ぬこともない。爆発シーンがあまりにも多いが、今まで普通に隣にいた奴が肉塊になってた的な事はなくて、あくまでチャンバラの演出の範囲でしかない。
要は戦争の不条理さが皆無。
時代劇ってのはあくまで時代背景だけで戦争映画の一種だと思うんだけど、日本の戦争映画は被害者面ばかりだしな。
それぞれの価値観が錯綜するチャンバラエンタ
武士道よしとする昔の時代劇を観て育った自分は、背後から刺すという行為はそれだけで悪者!と直感してしまうのだが、リアルな戦とはこんな感じだったのだろう。まるで子どもの喧嘩みたいな命懸けの斬り合い…
実娘の純情を裏切ってまで守らねばならなかったものとは、権威に忠実であることを第一義にしていた時代から個それも民衆のそれへと変化してゆく時代の流れを東映じゃない投影した描写なのだろうか。
ちょっと盛り込みすぎ
主役級の役者がたくさん出ていて、その役者たちそれぞれの見せ場を作ろうとして、整理できなかった感じ。更に緩急の急ばかりの連続で、何人か芸人がいたり、芸達者な役者がいるのに、緩の部分がなかったので、見ていて疲れました。監督なのかプロデューサーなのか分かりませんが、ちょっと欲張りすぎた感じがします。
没になった脚本のプロットを元にしたそうですが、元の脚本だったらどうだったのかなとも思います。元の脚本家の笠原和夫氏は、先の大戦で海軍に志願したことがあるそう。国や家族を自らが戦って守るということについて、より当事者としての意識があったのではないかと思います。今回のリメイクに関して、その意識や想いまでが引き継がれているかどうかは、分かりません。
気になったのは、生首の扱い方が軽そうだったのと、砦にこもってから数日経っているのに、月代や髭がキレイなこと。
平日の昼間とは言え280席のスクリーンに、20人程度の観客。明日で公開2週目となりますが、あるシネコンでは、明日から1日1回しか上映しなくなるそう。話題の大作のはずが、ちょっと寂しい感じですね。
あっという間の2時間半!!
話がどんどん展開していくので 2時間半が あっと言う間で とても面白かったです。
白石監督作品中 私的に 1位かも(^^)/
キャストの衣装が地味で その分 演技や殺陣が 光ります。
(本山力さんの殺陣 かっこよくて 凄かった!)
古い映画の話で恐縮ですが 黒澤明の「七人の侍」や 勝新の座頭市を彷彿とさせるように
感じました。 (山田孝之さんは 三船敏郎?!)
私も 上映中 も一度観たいです!!
みんな嘘つき
痛快、豪快、爽快な展開に、最後に強い女性が締めてくれて、「狐狼の血」を観たときに感じた興奮、スッキリ感を再度味わせていただきました。小指が飛び交うエグさも同様で。
みんなが嘘をつきあう様子が、生身の人間のぶつかり合いのようで、単なるアクションものに終わらずに楽しませてもらいました。登場人物の騙し合いが観る側に展開を楽しませるところに直結してましたね。
なつさんも良かったですけど、やっぱり爺っつぁんが一番カッコよかったかなー。
十一人の賊軍(映画の記憶2024/11/6)
及第点の作品作りましたと言っていいかな。
ナダルのアップとかいらない要素とかもある。
イケメン枠とお笑い枠は観客動員を考えてだと思うのでさておき、仲野太賀良いね。割と殺陣上手い。中野英雄と任侠もの親子共演で大きい作品に出てほしいな。
ストーリーは割と分かりやすいから長丁場でもこの手の作品が苦手じゃなきゃ観れるはず。
山田孝之の役と岡山天音の役は交換するとまた芝居が変わって面白いかもね。
(個人的評価6点/10点中)
なぜ11人なんだろう
ストーリーは納得出来る、分かりやすい話運びだったけど、長い割になぜ11人なのかが全く分からなかった。
たまたまなのか、11人必要だったのかが分かるともっといい。
歌舞伎や舞台出身の俳優さんは、映像に映るときの加減を理解してほしい。
声が出そうに楽しかった
いつも小難しいことを考えながら映画をみがちなんですが、これは途中から全部放り出して体中で楽しんじゃいました。
型のないチャンバラ!これでもかと繰り出される爆発!泥の中の疾走!特にポリシーなんてない賊軍、悪さのレベルも人それぞれ。てんでバラバラなのがリアルで、そのままストーリーを無理矢理進めてくのが最高。
変に連帯感とか友情とか仁義みたいなものは出てこない。これが良かったー。
なのにどうして涙が出るんでしょう。音圧かな。笑
殺陣が最近のファンタスティックなものと違い泥臭く、うま過ぎないのが良い。
爆発は文字どおり木っ端微塵。
バイオレンス!
外国でも受けそうだし、意識してると思います。日本のチャンバラ、カッコイイ!て思ってほしいですね。
太賀くんのラストの見せ場はもちろんですが、やっぱり爺っちゃんがかっこよすぎた。名乗りをあげるくだりは鳥肌でした。
スクリーンで観れるうちにもう一回行こうかな…
もう一息の掘り下げと詰めが欲しかった
白石和彌監督、さすがに人気絶頂で本年だけでも「碁盤斬り」そして「極悪女王」Netflixと、秀作続きで絶好調ですが、本作は本丸・東映での時代劇、あの笠原和夫が遺したプロットと、少々荷が重すぎたか、随所に息切れが惜しい結果となった。
戊辰戦争(ぼしんせんそう)を背景に新発田藩(しばたはん)の処世の史実に、底辺の集団を絡めた壮絶アクションと言えましょう。スピーディにコトが運び、あれよあれよで派手な爆破(音が邦画には珍しい程の爆音)のアクションに2時間35分の長丁場を感じさせないのは流石で、監督好みの血糊の多さは兎も角、人物が描き切れず感情移入がし難いのが惜しい。10人の罪人の来し方を描かないのが脚本上の最大の欠点。なかでも要となる山田孝之扮する人足の政の方向性がまるで見えないのが致命的。愛する妻を手籠めにした新発田藩士は許せないはず、幾度も逃げようとしていたにも関わらず舞い戻る歯がゆさ。官軍だろうと旧幕府だろうと、彼にはどうでもいいハナシ、その心理がまるで描かれず、映画全体のベクトルが定まらない。
もう一人の主役である仲野太賀扮する新発田藩武士の鷺尾兵士郎の云わば中間管理職の苦悩に挟まれ、破れかぶれの「十一人目の賊」に居直る本作最大の見せ場があり、まだ分かる。彼とて同僚の野村周平扮する入江数馬が上と下との板挟みで二転三転し影響を受けたのか受けないのか微妙なところもありますが。対する新発田藩の処世術を試みる阿部サダヲ扮する溝口内匠の方向性は明確で、現代に繋がる表と裏を浮かび上がらせ本作の核心を形成する。
砦を守り抜けば無罪放免を餌に、官軍差し止めの任を背負わされた罪人10人がハナシの骨子。それが中盤で嘘(成功しても斬捨てされる)と露見するのが当然に山場になるはずなのに、まるで10人のリアクションが希薄にしかみえないのが困ったもので。人足の政同様に、官軍だろうと幕府だろうと義理立てする根拠が何も描かれないから、圧倒的武力の官軍に寝返ればいいものを。
映画の縦軸たる骨子が脆弱な上に、横軸に多くのいい加減が蔓延って、ご都合主義が曝しもの。何故か罪人達も鉄砲を簡単に扱ったり、都合よく花火師の息子がいて、花火玉がいくつもある、人足の政の命が幾度も寸止めされるいい加減、何故兄貴と慕うのか? あの豪雨の最中に花火が点火? 黒い水の存在を最初からノロ(佐久本宝)は知っていたのに、その井戸も至極簡単に見つけられ、そもそもあんな吊り橋しかないの? 結構深い谷なのにその高さがまるで感ぜられない、石油の爆破もイージー過ぎて、爆破が上まで及んでも賊軍は皆さん無事の不思議、身ごもった姫がのこのこ戦場に来るか? クライマックスの仲野太賀が多勢を相手に死闘を繰り広げるが家老側は鉄砲隊に命ずれば簡単なのに部下達が殺されるのを見守るのみの無能、賊軍にやたら強い武士が1人いて薩摩藩の師範と言ったはず彼が官軍を殺しまくる? などなどきりがありません。
邦画を背負う若く優秀な役者にとって剣の扱いをここまで収得は大変だったでしょう。仁王立ちの仲野太賀にとって初めてではないか?剣劇は。しかし「侍タイムスリッパ―」を観てしまった後では分が悪い。野村周平の曲げ姿は様になってましたが、姫に手を出すとは武士にあるまじき。岡山天音も見せ場なく勿体ない。同盟派の駿河太郎はいい味を出してましたね。「極悪女王」よしみでゆりやんレトリィバァも出たりして。しかしなにより女優陣が存じ上げない方ばかりで軽い軽い(西田尚美は別ですが)。そして阿部サダヲの小者なりの処世術が彼にピタリで本作を救う。
「七人の侍」と比べてはいけませんが、土砂降りの中でもしっかり対象が描かれた事を思い浮かべれば、本作の夜間の土砂降りシーンに何の進歩も感ぜられないのが致命的。黒澤明の作品は1954年ですよ、描いている戊辰戦争は1868年です。と言う事は、賊軍達が暴れたわずか86年後に黒澤の映画が出来、それから70年経っているのに邦画のこの現実。ハリウッドでしたら谷間の深さなんぞもっとリアルに描ける進歩を成し遂げているのに。
期待せずに観たらとても良かった。
時代劇の映画を劇場で観る事がまず
レアでした。
上映時間の長さも
ちょっと正直観るかどうかを
悩みました。
しかし、結果観て良かったです。
まず、キャストの豪華さに
惹かれました。
今をときめく演技派の若手俳優を
惜しげもなく豪華に起用し、
配役も見事にハマってました。
お笑いタレントを起用してたのも
観る前には大丈夫かな?と
不安でしたが、きちんと世界観を
邪魔する事無く入り込めていました。
あと、現在は放送コードに引っ掛かる
ようなニュアンスの表現、台詞も
チラホラありましたが、
当時の時代背景を考えると
変に省くより自然体で
良かったかと思います。
なかなか生々しい殺陣シーンや
目を背けたくなるようなシーンも
チラホラありますが、
観てる内に世界観に
引き込まれる映画です。
若い世代にも十分受け入れられる
映画かと思いますね。
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