十一人の賊軍のレビュー・感想・評価
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少ない場面で最高の展開
役者が揃ってるからかもしれませんが、迫力が凄いですね。
大して場面展開がある訳ではないのです、各シーンが凄く上手に絡み合ってると思います。
場面展開の少ない映画ってこじんまりしてしまう事多いように思いますが、この映画そんな事はありません。
若干、あるキャラの裏切り方と最後の意気込みに違和感がありますが、全体的に違和感なく見れる感じです。
とにかくオススメの作品です。
ヨメはんが新発田出身なもので😰
峠のサムライ(長岡藩の河井継之助:役所広司主演)で知った奥羽越列藩同盟。そして、新発田藩が奥羽越列藩同盟を裏切ったという事実をそのとき調べて知った。ヨメはんが新発田出身なもので、「こんどさぁ、列藩同盟を裏切った新発田藩が舞台の映画やるってさ」って言ってしまった。シマッタとおもったが遅かった。
この映画に阿部サダヲと西田尚美の娘役、野村周平の妻役で出ている木竜麻生は正真正銘の新発田市出身。ヨメの親戚には木竜麻生にちょっと似ていた同い年の美人の従姉がいたが、残念ながら当のご本人は全然似ていない。
有名な「菊水」は新発田のお酒。ずいぶん吞んだ。つい飲みすぎちゃう。映画のスポンサーになってた。鞘師里保がきれいな柄の大きな徳利でお酒をラッパ飲み。やさぐれ感がよかったなぁ。
さすが米どころ。松浦祐也が白飯を家族に腹いっぱい食わせてやりたかったと泣きながらどんぶり飯をかき込む。
とてもガタイのいい辻斬。太っているのに機敏な罪人役の小柳亮太が元力士の豊山だったとは。豊山というしこ名は時津風部屋に代々伝わる由緒あるしこ名で、イケメン大関豊山勝男以降、私の知る限り、3人全員が新潟の新発田出身でしかもダイコン踊りで有名な東京農大出身。縁故感半端ない。ヨメはんのおじいちゃんも当然豊山ファンで、地元のアマチュア横綱だった。
近くには有名な月岡温泉。
新発田の夏祭りにつきものなのは金魚台輪。映画でも最後にちっちゃい金魚のハリボテが出てきます。
長岡といえば花火。
新潟と言えば海底油田。
ガドリング砲は今回は出てきませんが、大砲の威力と効果音がすごかった。カズラで編んだ吊り橋は最後は切るんかい💢
仲野太賀が侍役にスリップしてきた今作。
来年のNHK大河は仲野太賀と池松壮亮だそうだ。
秀吉兄弟!
白石監督はたけしの「首」を今回意識し過ぎたような·····
浅野忠信と北野武が仲野太賀と池松壮亮になるらしい。時代は変わって行くんだなァ。
しかも、太賀は大河に合わせて、木竜麻生との結婚発表をしてくる公算が高いらしい。下剋上の始まりか❗
まずは身内から騙すのか。
新発田は。
今となってはもう手遅れかもしれないが、おいらもドカンと一発最後に打ち上げたい。
そして今作も東映剣会。
本山力が魅せてくれた。
さすが東映。
極悪女王が町娘の格好で官軍におにぎりを配るなんて💢
音尾琢真の退場が早すぎ💢
郷土の歴史の一端を見た思いがしました。
新発田市は位置的に新潟県の下越の中心になります。この新発田市が、どうも周りの地域から少し疎まれていたのは何故なのか知らなかったのですが、この映画でその意味が良くわかりました。官軍と幕府軍との内戦(結局破壊と創造の歴史だと思います)は、悲惨であったことは周知の事実ですが、新発田藩は幕府軍につくと見せて、実はギリギリのところで官軍に協力します。故に幕府軍は致命的な壊滅を余儀なくされたのです。ただ、その裏切りのおかげで、新発田の民は戦争に巻き込まれなかったことは、大きな救いだったのでしょう。その歴史の中に11人の賊軍(10人は犯罪者)を絡めたあたりは、まさに真実の歴史を際立たせるドラマチックさに満ちていると言えるでしょう。この11人は新発田藩の家老(阿部サダヲ)の策略で、幕府軍を騙すために生贄になりました。ですから、最後には生きてハッピーエンドになることはできません。観ている方は悲しくて本当に辛かったです(2人だけは生き残れたのは幸いです)。たった11人では官軍に勝てるわけはないのですが、それでも何度も助かる道がありました。しかし、その道を閉ざしても義に生きようとする人たちの姿に滂沱の涙です。思うにやはり一人一人がこの世でなすべきことは決まっていて、それに抗うことはできなかったのでしょうか。彼らが生まれ変わった時、その時こそ幸せになることを祈らずにはおれませんでした。
追記 山田と仲野の演技は、リアルで本当に秀逸でした。また、アクションが見事でした。155分があっという間!新潟の訛りも懐かしい!!
そもそも脚本がなってない
1.砦に籠り、何を守るのかと思えば「人一人がやっと通れる吊り橋」。
馬は踏み外し、大砲なんか通れない。 幕軍も官軍もこんなトコ通るか!
2.砦の中に、大変都合良く花火玉あり。(これもそんなに破壊力あるのか)
これでかの吊り橋を威勢よくぶっ壊したと思ったら、
これまた都合のよい官軍陣地の後方洞窟に行く為に、なんと吊り橋の
片方が残っていて人が渡れる。
3.腕やら足やら、切り刻むリアリティ溢れる映像の技術スタッフには
頭が下がるが、官軍側はバッタバッタと死んでいくのに、賊軍側は
腹を刺されようが、指を切り落とされようが、快刀乱麻。
リアリティをはき違えている。
この映画の基本設定「吊り橋の攻防」が、矛盾に満ちている為、
テーマたる、戊辰戦争の東北小藩の苦悩がピンボケになってしまった。
「峠」も期待はずれだったけど、これはもっとひどい。
時代劇の夜明けは遠いぜよ
すいません、先に断っときます。
全然ノレませんでした。
以下、愚痴です。
山田孝之と仲野太賀で、監督が白石和彌の時代劇なら期待しますよね。
おまけに、題名からして活劇っぽい。
それで「侍タイムスリッパー」や「SHOGUN」の流れで期待しすぎたのか、なんだコレの連発の上に長い。
駐車代追加で取られたやんけ。
個人的な思い込みだが、白石監督は娯楽映画が好きと言いつつ日本ヌーベルバーグの流れにいる変な人って感じでリアルな作風な訳で、もしかしたら活劇に必須なウソをつくのが下手な人なのでは?と今回思いました。
火付けの罪の女の場面の火事なんて、ただ廃材焼いてるみたいで、屋敷燃やしてるなら元の形からどう崩れたかとかあるでしょ。
城下に入らんとする官軍を、峠の砦で足止めしようとする話なんだけど、
まず官軍の大砲がシルエットは臼砲や四斤山砲ぽくて、それなら前装式で砲弾を装填する際に砲口を上げる必要があるのに、後方から装填していたのでアームストロング砲らしいけど、そんな太くねぇーし、あの人数でよく峠まで運んだなあ。
大体あの地形で吊り橋がポイントとなってるのに、落とさずに待ち構えて、オマケに門まで開いてて妙だと思わないんですかねェ官軍さんは。何人潜んでるか分からないんだし、万が一橋落とされたら困るんだから、全ての家屋と門を砲撃してから突入でしょ?官軍さん。
賊軍は賊軍で、橋落とさないなら昼夜問わず見張れよ、仲良く飯食ったり博打してる場合か?橋渡ってきたらスナイプしろよー(だから砲撃で櫓壊さなきゃならんのに)
落とすなら落とすで、なんで橋の真ん中で爆薬仕掛けるの?自陣の端で良いじゃん。雨降ってんのに、わざわざ消えるかもしれん導火線そんなに長く用意するの?端だったら命かける必要なくない?黒い水染み込んだ火矢とか打てよー そんなに「恐怖の報酬」みたいな絵が欲しかった?最後残った片側の吊り切ってなかった?なら初めからそうしろよ。
一体どいつもこいつも何したいんだ〜と思いながらみてました。
そう言う粗も活劇のダイナミックな推進力のある展開がちゃんとあれば、感じないし、気がついてもワクワクが勝ってれば問題ない(インディがU-ボートにしがみついたままとか)のだが、全く勢いを感じなかった。
そもそも史実の新発田藩の裏切りを下敷にして集団抗争劇を描いた笠松和夫の脚本(本人が破り捨てたので無い)はこんな展開だったのか?プロットは借りたが、全く別ものだった気がしてならない。
奥羽越列藩同盟と官軍の登場人物が少なくて集団抗争劇になってないし、新発田藩の追い込まれ感が乏しい。
同盟と官軍の軍としての動きが映されないので切迫感がない。
山田孝之演じる政の嫁が辱めを受けるシーンがないので、政の復讐シーンで本当にその侍であってるの?とか思わせてしまう嫁の障害設定は必要なかったし、せめて顔見て指差すとことか入れないと。憎っくき新発田侍の中で野村周平のキャラが中途半端だし、身重の婚約者も微妙。それなら、仲野太賀以外の新発田侍は全員クソ野郎のままで、仲野太賀の身重の婚約者にした方がシンプルじゃない?矜持の違う阿部サダヲと仲野太賀の対立も浮き彫りになるし、仲野太賀を捨て石にするサダヲの邪悪さや娘の自害の意味も増す。戦火の被害を免れそうな新発田城下で人々に感謝される阿部サダヲのシーンは娘の自害の後の方が良くないか?とかそれぞれの登場人物に感情移入させる描写が圧倒的に少ないし効果も薄いと思う。
演者(吉本芸人以外の)はそれぞれ頑張ってるし、本山力と仲野太賀は特筆に値する熱演だった。
だから余計に残念感が覆う。
せっかくの時代劇復興に水を差すとさえ思った。
そんな展開で、おまけに上映時間は長い。
愚痴も長いので、この辺で。
良く出来てるようで出来てない映画
同じ東映集団時代劇でタイトルも似ている「十三人の刺客」リメイク版ぐらいのクオリティを期待しちゃいましたけど、大分違ってましたね。
幕軍vs官軍って「壬生義士伝」での鳥羽伏見を代表に“幕末クライマックス”という事で良く映画でも描かれますが、「様々な身分性別の死刑囚による決死隊」というアウトロー軍団的道具立てを組み合わせた事で、せっかく用意した鉄板構図を自分で打ち消しちゃってると思うんですよね。欲張り過ぎが裏目というか、二兎を追う者一兎も得ずというか。
なんで、常に3人の藩士以外の動機がフワッフワで(だって藩自体が大揺れのあんな状況なら夜中に散り散りに逃げちゃう方が絶対合理的じゃん?)終始落ち着かない気分で観る羽目になった。
なんか「賊の意地見せたろうや」みたいなソレっぽいセリフもあったけど、「いやお前ら大概賊軍も何も関係ねえじゃん」と思いましたわ。「敗勢濃厚な滅びゆく賊軍として官軍に見せる最後の意地」ってのがやりたいんなら、藩なり幕府なりへの帰属意識が最低条件な訳で、アウトローでやったら成立しないでしょ。
なんか始終その調子で、「為にする展開」が多すぎるように感じました。以下、その線で気になった部分を列挙。
・橋を落とす時、大雨の中あんなに長い導火線引いて橋の真ん中で焙烙玉使う必要あった?もっと砦側に近い場所でなきゃ無駄なリスク背負う事になるし成功率も下がるでしょ。
・崖の上の炭田?を爆破する必要あった?何度目かの抜け駆けしたばかりの山田孝之が謎に仕切って、例によって意地見せたろうやみたいなテンションで誤魔化してたけど、全然ノレなかった。で、結局生きてるんかい!結局白兵やるんかい!何やったんあの爆破は?ってなった。(敵の数が減ったから意味があったんだという明確な描写があればもう少し..?)
・最後に残ったお侍が家老らに斬り込むシーン、絶対笑顔で何か報告する体で近付いてって脇差をズブリ、とやるべきだったでしょ。本気で家老許せないなら。不必要に自分を不利にするアホな言動をテンションで誤魔化すのはやめちくり〜。
・最後の奥さん、女郎屋の前で小判ぶちまけてたけど、あれ絶対奪われるでしょ。放置して行くなよ。下手するとコロされちゃうよあんなん。
とにかく色んな事が気になってしゃあない割に、今コイツらのモチベーションどこにあんの?がフワフワなもんだから何だかなぁ感が拭えない。
そういえば槍術指南役の人、名乗りだけは近年稀に見るカッコ良さであそこだけ何度も見返したくなるぐらいの本作の白眉だけど、その後の敵の「生きとるんかいっていうかピンピンしとるんかい!」な流れには脱力。じっちゃんの無駄に残酷な死に様は何だったのよw
まあ「十三人の刺客」との差でまとめると、役者陣の差、ルックの格好良さの差、キャラ立ちの差など色々あったけど、何よりもやっぱり圧倒的な「動機の差」に尽きますわな。太平の世に望むべくもなかった侍としての散り際、そしてそれを飾るに相応しい「絶対に倒さなければならない悪」としての鮮烈極まるゴロー殿様w
あゝやはりこうでなくては。
平和の中の無慈悲
戊辰戦争を題材にした時代劇は多々あるけど、官軍から見た作品は殆ど見たことがない。せいぜい同列視点がいいとこ。
この作品もそうだが、よくここまで話を組み立てた、凄いというのが感想です。
ほんと、ただ騙されてというかそれしかない条件で集められた罪人……、とここでストーリーの流れは予想がつくけど、その中身が濃い。腕が切られたり磔獄門と残酷なシーンは
昭和の血しぶき時代劇映画を思い出した。
同期上映の八犬伝とは対象的な作品。
……で、有名俳優が阿部サダオさん以外みんな浮いてしまったな〜というのがな〜。
脇役さんの方が断然良かった。そのような作品ならいいけど、シリアス作品でなんか演技です!が出たシーンがだいぶあった。残念。
ですが、良い作品です。特にあのじーさん役(山本力さん)の(ネタバレ禁)太刀振る舞いは最高です。家庭での鑑賞ではもったいない絶対劇場鑑賞オススメします作品です。
最高だった
悲しくて、切なくて、悔しくて、優しくて、無様で、愚かで。ズルくて、賢くて、深い
怖くて、勇ましくて、何とも言えない悔しさもあり、
全てを味あわせてくれる
やはり時代劇は最高だ
侍タイムスリッパーより、私は大好きだ
それぞれの個性が強く、入り交じり、トラブル
そんな複雑に交差するヒューマンドラマが大好きだ
山田孝之は、育ちの良い武士にはない雰囲気があって、セコい奴のあのテンポも、マジでよかった
仲野太賀は、剣も強くて、あの死に様には飲み込まれた
今日から俺はとかのお笑いキャラとは全然違った
本山力は、年老いてもなお強く、死に様もカッコいい武士らしかった
尾上右近は、オモロイことをちょくちょく言う歌舞伎野郎だった
さすが歌舞伎役者!!声も、踊りもやっぱりいい
みんな、はまりやく!方言も良かった
阿部サダヲは冷酷で残酷なやつだと思ったが
最後は市民に感謝されてまわる
そうだ、彼は、いずれ処刑される予定の人間をそこに送ったのだ
歴史は色んな側面で解釈されるとは、こういうことなんだなと、じわじわ響いた
血と肉片
いい感じ
仲野太賀、山田孝之、阿部サダヲら気鋭、中堅、ベテランの旬の俳優が揃った2時間半を超える大型時代劇。
長く感じさせることもなく、史実をモチーフにした良い作品だと思う。
特に、仲野と賊軍の1人である本山力(爺っちゃん)の殺陣はお見事。
金も時間もしっかりかけた演出も見応えがある。
しかし、だからといってメチャクチャ面白い!何度も観たい!ともならないのは、賊軍のメンバーが弱いなと思った。
活躍するメンバーとしないメンバーがはっきり分かれていて、三途、二枚目、引導、赤丹などは何もしない。いなくていいというか誰でもいい。
10人中4人が誰でもいいようなキャラだとタイトルに共感できない。
人足の山田が火縄銃を当てまくるのも苦笑いだし、激しい剣戟の中、傷も負わない農民町人風情もピンとこない。
こういう広い意味でのバディモノはそれぞれのバックグラウンドがあると感情移入がしやすく、没入できるもの。
できればNetflixあたりで、10話くらいで観れるとよかったような気もする。
千原せいじは特にダメだなぁ。ナダルは逆に良かった。
それにしても、仲野太賀はいいね。
出る作品にも恵まれているが、役の幅が広い。
お父さんはすでに超えたと思う。
侍タイムトリッパーより安っぽく見えてしまうのは私だけだろうか?
評判も悪くない、決して“つまらない映画”では無かったがあえて厳しく評価。
2026年に放送する大河ドラマ「豊臣兄弟!」でも主役豊臣秀長を演じる仲野太賀・山田孝之W主演、「狐狼の血」白石和彌監督の時代劇の世界がどんなものかと思い劇場鑑賞。
監督は今年「碁盤切り」にて既に時代劇作品に取り組まれているが、正直時代劇監督としてはまだまだ力量不足。時代劇というよりは、狐狼の血のアクションを時代劇の設定で展開しただけな作品になってしまった。
仲野太賀も頑張ってはいたが、衣装の着こなし、剣捌き共々付け焼き刃な感じは否めず、
一言で言えば「板についてない」。
剣の持ち方から剣捌きまで、立ち姿がさまになっているのは本山力(東映剣会)爺っつぁんだけ、その存在感は言い過ぎかもしれないがまるで七人の侍の宮口精二の様だった。
図らずも、今年は侍タイムトリッパーで殺陣師・東映剣会や東映太秦撮影所が脚光を浴びているが、前者の設定は元々「撮影所のセット」、しかし遥かにお金がかかっていてリアルな幕末の画が必要なこちらの作品に「撮影所のセット」感が出てしまうのはいかがなものかと感じた(そんな時代劇作品を待っているなら、時代劇に未来は訪れない)。
エミー賞受賞の「SHOGUN」未見だが、やはり時代劇を“撮れる”監督が居ないというのが問題なのかもしれない。
邦画の世界ではかつて“時代劇”と“特撮”が牽引していたと言っても過言では無い、そして“特撮”の世界では庵野秀明・樋口真嗣・山崎貴と先人の活躍を超えようとする存在が着実に成長している。しかし、時代劇の世界ではどうだろうか?
“黒澤明”という、あまりにも偉大な存在を超えうる人材が生まれたかと言えば、残念ながら今現在見当たらない。
黒澤明を超える時代劇が観たい!と思っている人は国内のみならず決して少なくないはず、誰しもがそんな黒澤越えの時代劇を待っているのだ。
ゴジラシリーズも昭和ゴジラ・平成ゴジラとその呪縛から中々逃れられなかったが、時代劇の呪縛を解き放つセンセーショナルな作品は・・・。
「ラストサムライ」が日本でも受け入れられたのはそんな、誰しもが観たいと思っていた時代劇の世界の光明だったのかもしれない。『SHOGUN 将軍』 未見なので11月16日からのエミー賞受賞記念劇場公開が楽しみだ。
国内にあんな崖っぷちの渓谷はないよね
碁盤斬りに続いて今年2本目の白石和彌の新作はまた時代もの。首はごろごろ転がるし、肉片はぐちゃっと飛び散るし、活躍するのは悪党や罪人という本作は前作より白石監督らしい。キャラ造形やCG描写はやや安っぽいものの、吊り橋、焙烙玉、黒い水とケレン味たっぷりのエンタメ度の高い幕末アクション時代劇で、2時間半超えでも飽きずに楽しめた。
山田孝之はじめ10人の罪人それぞれに見せ場が用意されているが、一番の役どころは仲野太賀の兵士郎。官軍に寝返りそうになる場面での演説は、奇しくも米大統領選の開票日に鑑賞したこともあって、戦後の日米関係を想起させナショナリズムを高揚させる内容にも思えた(ちなみに本編前にトランプを描いた来年公開作アプレンティスの予告が流れて失笑)。
時代背景や状況説明の字幕に被せてのナレーションはわかりやすさ必要とはいえ、さすがにチープ感が…。また、最近歯医者に通っていることもあって、罪人たちが汚れた顔や身なりの割に全員白いきれいな歯並びをしてるのは少し気になった。
根底に仁義なき戦い!
主演が山田孝之という事で、期待せずにはいられない本作!!
結論から言いますと、“主役”はノロとなつ、かと…笑
原案笠原和夫というのも納得で、当時の階級やムラ、イエ社会が背景にストーリーが展開していきます。
うーーん、鷲尾(中野太賀)もカッコ良いし、家老(阿部サダヲ)の狂気も良いんですが、いまいち響かなかった印象です。(唯一、序盤から「あれっ?動きおかしいぞ!!」の人物が、最期に活躍で…!w)
パンフレットでは、政(山田孝之)の刺青がメインですが、ストーリーでは全く触れていませんし、発端の手籠も、聾唖だと気付くのは、私は大分先でした。
とはいえ、戦闘のチャンバラは見応えありますし、音響も映画館ならではの迫力でした!!
是非、映画館でご観賞くださいませ!!
戊辰戦争は日本の内戦の時代
PG12+と思えないくらい血飛沫や首が飛びます。
内戦ではあるが「シビルウォー」とは違い民間人を巻き込まない戦さに、民間人である罪人が巻き込まれていくという、特異な設定が映画を面白くしています。
昔に書かれた脚本の時代は1時間半が平均的な映画の長さだったのではないかと思いますが、この映画は約2時間半でたぶん1時間尺を伸ばす中で最後まで飽きさせずに見せてくれます。
家老役の阿部サダヲの本音と建て前と裏工作が判りづらく、どうしてこうなった?というセリフ部分を逃すとモヤモヤってしてしまうが、昔書かれた脚本はきっと時代として善悪の部分はハッキリしていたのでしょう。
時間が延びたことで最初の人物紹介の部分で少しダレる部分はありますが、砦に着てからはジェットコースターです。
そして人物紹介の部分はラストで活きてきます。
明治時代を作る西と東で分かれて戦った戊辰戦争が現代の日本を作っています。
家老が先の世を観ていたかがわかります。
10人だった賊軍が、11人になるまで…
昨日、遅ればせながら『侍タイム・スリッパ―』を鑑賞し、今日また本作を鑑賞。シチュエーションこそ全く違う2作品だか、この週末は、幕末を生きた侍の魂にどっぷりと漬かった作品を堪能した。『侍タイム・スリッパ―』は、人情劇フィクションであるが、本作は、江戸から明治へと激動の時代に起きた官軍と幕府軍との間で起きた『戊辰戦争』を基にしながらの史実物語。
命を捨てても尚、幕府を擁護する同盟軍として立ち上がった最後の武士と共に、10人の死刑囚の賊人が加わって官軍との激しい肉弾戦が展開される本作。『孤老の血』や『凶悪』、最近では『碁盤切り』で、時代劇にもその手腕が光る白石和彌監督がメガホンを撮り、期待通りの血しぶき上げて、体ごと吹っ飛ぶような戦闘シーンを描いていた。テレビ時代劇で観るような殺陣ではなく、戦場の痛みまでもがリアルに伝わって来るような、泥臭く、血生臭い壮絶な戦闘シーンだった。
物語は、新政府の官軍が幕府を倒そうと起こした戊辰戦争が背景となっている。次第に官軍が幕府軍を討ち負かす中、官軍に敵対する奥羽越列同盟に加わっていた新発田藩が、我が身可愛さのあまりに同盟軍を裏切り、官軍への寝返りを企てる。その企てを成功に導く為のカギとなる、新発田藩のある砦を死守する命がくだる。
そして、その命に選ばれし者が、明日にも死罪が執行される10人賊人と気丈なる3人の武士。そこで、最後の武士としてのプライドと賊人達なりに人としてのプライドがぶつかり合いながらも、10人だった賊軍が11人となって官軍と対峙ていく。しかし、最後に彼らに待っていたのが、思わぬ裏切りと決して臨んでいた結末ではなかった。
本作では、山田孝之と仲野大賀のW主演を務め、山田は妻を手籠めにした新発田藩士を切り殺した賊人・政を演じ、仲野は新発田藩に忠誠を誓う道場主・鷲尾兵士郎を演じた。全く違う2人のキャラが、次第に分かち合い、その中で共闘していくクライマックスの姿には、胸を打たれた。特に仲野の壮絶なラストシーンは、来年のアカデミー賞候補もみえる程の奮闘振りだったと思う。
また、2人の間に入って、新発田藩の裏切りを企てた藩士・溝口内匠を務めた阿部サダヲは、山田と仲野の熱い演技に対して、『死刑に至る病』で見せたような、異様な冷徹さの中に腹黒さが見え隠れする演技が際立っていた。
ど迫力であっという間!!
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