「岡本喜八「斬る」へのオマージュか。」十一人の賊軍 羅生門さんの映画レビュー(感想・評価)
岡本喜八「斬る」へのオマージュか。
とても面白く楽しませてもらいました。白石和彌監督の良い点でもありましょうが、生真面目過ぎてちょっと固苦しい感じがした。戊辰戦争での官軍と旧幕勢力との狭間で揺れ動く弱小藩の苦悩という設定がされているが、大まかなプロットは岡本喜八監督の「斬る」に良く似ている。あの作品は岡本喜八監督独特の軽やかさと反骨精神が程良い調和で娯楽作品として絶品でした。仲野太賀は岸田森を彷彿とさせ、立て籠もる砦に駆けつける武家の良女の木竜麻生は星由里子を思わせた。山田孝之は高橋悦史と、これまた岡本喜八監督が幕末の奥羽列藩を取り上げた「吶喊」の伊藤孝敏、それにメキシコ革命に巻き込まれ知らぬ間にヒーローに祭り上げられたセルジオ・レオーネ監督「夕陽のギャングたち」のロッド・スタイガーを足して三で割ったようなキャラクターだった。十分に面白い作品だったが、カラッとしたカタルシスがあれば満点だったと思う。やはり時代劇は自由な設定が出来て、活劇には持ってこいの舞台、もっともっとこのような活劇調の時代劇を作って欲しい。後は余計な心配だが、コンプライアンスが叫ばれるこのご時世、差別用語だらけの台詞で、はなから後々のテレビ放送は眼中に無いのかな。とてもじゃないが無理だろうなと思って見ていた。
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