「撮影が実に素晴らしかった!」十一人の賊軍 YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)
撮影が実に素晴らしかった!
時代劇なので、とうぜん観ました。
劇場で何度か予告編を観る中で、大きな期待と"爆発効果"をお約束の如く、入れてくる東映時代劇の薄弱さに、「将軍家光の乱心 激突(1989年)」のイメージが重なり、ハードルを少し低めに構えていた事もあるが
第1シーンから、この映画の素晴らしい展開と考証力に、圧倒され、映画に飲み込まれていきました。
特に撮影の素晴らしさは圧巻で
池田直矢 撮影監督、そして照明を担当した 舘野秀樹さんは、無名なようで、なかなか調べても略歴が出てこないが、今後が大いに期待できる両氏でした。<撮影賞><照明賞>
出演者も全員のキャラクターが立ち、山田孝之さん、仲野太賀さん、佐久本宝さん、本山力さん、そして 阿部サダヲさん
名前を全員書ききれなかったが、どの方も素晴らしい存在感を示し、これだけの人数のキャラクターをみごとに成立させた
池上純哉さんの脚本力と演出をされた 白石和彌監督のレベルは相当高い。<脚本賞><監督賞><助演賞>
戊辰戦争で、官軍が使ったのは、かの有名な"アームストロング砲"で、
劇中にでてくる大砲は、いかにも"チープなハリボテ"なのが残念だったが、
アームストロング砲は、鋳造砲ではなく錬鉄製の 後装式ライフル砲 で、
尚かつ 球弾ではなく、現代にも通じる榴弾であった。
映画的には、砲撃シーンがとても迫力があったので、良かったが、その辺の細かい事を言うのは、つまらぬこと
逆に、足軽が使う長銃が、旧式火縄銃と最新式の前装式エンフィールド ライフル銃等で、外見は少しアレだが、混在して使われている考証点は素晴らしかった。
阿部さんが 演じた‘’家老‘’だけれど、
家老の重席は、失態の責任は他に振れるレベルなら、無理矢理にでも なすりつけ 自分は、踏み止まり、悪に徹しきれなければならないと、日頃から、考えています。
家老が、命を差し出すのは、主君の命の身代
に成れる場合だけに限ります。
この場合、代わるのは、命であって、名誉や責任等ではありません。その時は、主君の名誉を回復させる1点に全力を尽くす役目が存在するからです。
家老とは、そう言う 悪な役職です。
同じく 東映から2025年に公開される「室町無頼」は大いに期待しようと思う。