「空振りでも良いのでフルスイングして欲しかった」映画検閲 カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
空振りでも良いのでフルスイングして欲しかった
現実と妄想の世界の区別がつかなくなり暴走してまう系のお話。
このパターンの場合、主人公は元々大きなトラウマを抱え精神的にも不安定である事が多いのだが、本作も例に漏れず幼い頃に起こった妹の失踪に責任を感じ、亡くなった事を認められないまま前を向いて生きる事が出来ない映画検閲官。
当たり前だが妄想世界は本人の思いや希望が強く反映されているので、本人は妄想世界での都合で動く事が麻薬のように気持ち良く、簡単にリミッターが外れ、行き過ぎた行動をしてしまう。
大筋としてはよくある使い古されたプロットなのだが、見せ方に面白さや斬新さがないと既視感だけが際立ってしまい退屈な印象しか残らない。
監督のインタビューを読むと製作の意図は全く異なるようだが、エロやゴアな映像を取り締まる検閲官が逆にグロく残忍な殺戮を迷いなく行うという流れは皮肉が効いて面白いはずなのに、何とも中途半端で消化不良だったのが非常に残念だった。
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