鬼平犯科帳 本所・桜屋敷
2024年製作/96分/G/日本
オフィシャルサイト2024年製作/96分/G/日本
オフィシャルサイト「鬼平犯科帳 血闘」は時代劇に“新たな希望”を灯すことができるのか?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2024年5月10日松本幸四郎、祖父・叔父を継承した「鬼平犯科帳」に自信「新たな平蔵が誕生した」
2023年12月7日松本幸四郎×市川染五郎で描く“鬼、新時代” 「鬼平犯科帳 血闘」特報&ビジュアル公開
2023年9月24日松本幸四郎主演、新たな「鬼平犯科帳」レギュラー出演者発表 若き日の鬼平は息子・市川染五郎
2023年6月9日■長谷川平蔵(松本幸四郎)は本所界隈を見回り中に、若き頃の道場仲間で親友の岸井左馬之助(山口馬木也:「侍タイムスリッパ―」の大ヒットで、一躍全国区に。嬉しい。)、本所の元盗賊だが今では平蔵の情報屋・相模の彦十(火野正平:同じチャリンコ乗りとして早逝が惜しまれる。偶に見たが、人柄が素晴しく良い人であった。)と再会する。
そこで平蔵は、左馬之助からかつて2人が憧れた娘・おふさが子が出来なかった事で、嫁ぎ先の大店近江屋を離縁され、悪御家人、服部角之助の御新造になっていると知らされる。
且つては可憐であったおふさは、今では急ぎ働きを指示する様な女になっていたのである。一方、平蔵と左馬之助の若き日の道場師匠、松岡重兵衛(松平健)は、その身分から武士には成れずに、盗賊になっていたのである。
◆感想
・一年前に今作と連動する「鬼平犯科帳 血闘」が劇場公開された時は嬉しかった。速攻で観に行ったモノである。2023年に。豊川悦司主演の「仕掛人・藤枝梅安」の二部作が公開された時も嬉しかったモノである。コレマタ、速攻で観に行き、”面白かったなあ。”と思いながら劇場を後にしたモノである。
・だが、その後、時代劇はパッタリ映画にならなくなった。と思ったら、「侍タイムスリッパ―」単館上映からの大ヒットは、嬉しかったものである。
■現代、時代劇は洋画における西部劇と同じポジションにあると思う。
だが、池波正太郎の「剣客商売」シリーズや「鬼平犯科帳シリーズ」「藤枝梅安」シリーズを、遅れて愛読したモノ(余りにも面白く、新古書店を駆けまわって、全巻揃えた。)としては本当に嬉しかったのである。
更に言えば、私が高校時代を過ごした庄内出身の藤沢周平さんの原作を基にした映画、「たそがれ清兵衛」「武士の一分」「隠し剣 鬼の爪」は名作揃いなのである。
時代劇の映画を、誰か作ってくれないかなあ。
■今作は、「鬼平犯科帳 血闘」の流れで作られているので、メインの登場人物を演じる俳優さんは同じで、安心して観れる、そして、重ねて書くが岸井左馬之助を演じた山口馬木也さんの抜擢は嬉しかったなあ。そして、この人は矢張り時代劇の人だなあと思うのである。
作品の流れは、且つては善人だったおふさ、松岡重兵衛が、流転の人生の果てに悪の道に落ちてしまった姿が描かれる。
だが、平蔵は二人に対し、相応の対応をするのである。特に、且つての師匠松岡重兵衛に対して。だが、松岡は平蔵の刃に斃れた時も、何故か満足気な台詞を吐いてから命耐えるのである。
<時代劇は、当たり前であるが、邦画でしか観れないモノである。原田監督、もう一度「関ケ原」のような、重厚な時代劇を作っては貰えないであろうか。
世の趨勢は、アニメーションが主流になっているし、それを否定するつもりはないが、私は本格時代劇を劇場で観たいのである。>
これまでに数多くの作品が映像化され、長く愛され続けている池波作品ですから、いたずらにストーリーに手を加えることはご法度であると思います。それ故に作品の出来を左右する要素としてのキャスティングと演技は非常にウェイトが高くなる作品ではないかと思います。本作品におけるキャスティングがどのような事情でなされたのかは想像するほかありませんが、幸四郎さん、染五郎さんに拘る必然性があるのでしょうか?(世襲制なのでしょうか?)また、他の方のレヴューにもありましたが、周りを固める役者さんについても個々の演技力に問題があるわけではなく、役柄そのものにフィットしていないように感じました。殺陣にも殺気と緊張感が不足しているように感じました。幸四郎さんについては率直に言って、これまで長谷川平蔵を演じてこられた役者さん達には到底及ばないお芝居で残念に思います。
"鬼平犯科帳 SEASON1" 第1弾。
Leminoで鑑賞。
原作(本所・桜屋敷/泥鰌の和助始末)は読了済み。
十代目松本幸四郎の長谷川平蔵、新鮮でとても良かった。新生鬼平、堂々のスタートである。意識しているのかもしれないが端々に中村吉右衛門氏を感じさせ、やはり血は争えない。
どうしても吉右衛門版と比較してしまいそうになるが、そう云う目線は捨てて新たな気持ちで観るのがいちばん良いのではないかと思い直し、純粋にドラマを楽しむことにした。
「本所・桜屋敷」は好きなエピソードなので、新生鬼平の初回に選ばれて嬉しい。松岡重兵衛は「泥鰌の和助始末」の一部を拝借したもので、上手く組み合わせているなと思った。
左馬之助は初恋の君を当時の印象のまま思慕していたが、当の相手は数奇な人生を辿って悪女に変貌してしまった。そうなった背景の悲劇性に、強く胸を締めつけられた。
[余談]
池波原作ドラマと言えば、やっぱり江戸グルメの描写が楽しみのひとつ。お馴染みの五鉄の軍鶏鍋をつつきながら酒を酌み交わす平蔵と彦十のシーンが好き。五鉄の軍鶏鍋、めちゃくちゃおいしそうだった。彦十が、近江屋の女中に聞き込みをしていた時の天ぷらそばも食べてみたい。
[以降の鑑賞記録]
2024/05/12:KBS京都「時代劇スペシャル」
2025/07/20:時代劇専門チャンネル
※Leminoのレビュー欄に投稿(2024/01/08)
※修正(2025/07/20)
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