劇場公開日 2025年9月19日

「余計なお世話かもだけど映画館で見れる間に見て!」宝島 マチルダさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 余計なお世話かもだけど映画館で見れる間に見て!

2025年10月1日
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鑑賞方法:映画館

興奮

驚く

ドキドキ

元々観たいと思っていたのだが、社会派メッセージ強めの作品のため客足が伸びていないという事前情報を受け、(沖縄の方々の苦労をなんとなく見聞きしていたのだが、今まで自分ごととして捉えることが出来ずにいる自覚と罪悪感のあった)本州在住の自分は、観ると決めていたので重たそうな作品を自らお説教でも受けに行くような気持ちで見に行った。

そんな気持ちだったので、実際に見た後はエンタメ性が高い作品だった事にとても驚いた。アクションや自然など映像に見どころが多いし、テンポもよい。小説の映画化作品なので端折られた箇所もあるだろうけれど小説未読の自分にも物語やキャラクター描画も充分見応えがあった。この作品を映画館で観れてよかったと感じた。

そんなに予習はしなかったのだが、他の方のレビューで「なぜ主人公達がオンを英雄視し、いつまでもその行方を探すのか全く感情移入出来なかった」というものが目に止まった。そうなったら楽しめないから勿体無いなと記憶に残っていた。結果的にその方のリビューを事前に読んでいたおかげで私は主人公たちにより共感することができた。

オンが物語最初に繰り返していた活動は到底褒められるものではない。現代教育を受けた者としては命を賭す活動するならもっと効果的で合法的なやり方があるだろう!と突っ込みたくなった。嫌悪感さえ抱きそうになった。その時にあのリビューってこのことかな?、そう感じる人もいて当然だなと思った。でも少し寄り添ってみた。

今まで知ろうとしていなかった事にも同時に気がつけた。1959年当時の沖縄と日本の都市部に大きな格差があった事に。1956年に「もはや戦後ではない」と日本経済白書の序文に記され、日本がすごいスピードで豊かになっていたと授業で習った。でも沖縄では戦後20年以上経つのに洞窟の中の死体が放置されたままだったりと全然違う環境だった事を今回の鑑賞で初めて知った。はっとした。
圧倒的に社会インフラが足りていない沖縄。その中で無い知恵を絞り、今日を良くするためにできると思った事を続け、地域の英雄になったオンのすごさに気がついた。誰かが正直に発信してくれたリビューのおかげで、作品に寄り添い、なぜオンが慕われたか、その英雄性に共感する事ができた。あとはそれぞれが懸命に生きた主人公たちの物語が進み映画はあっという間に終わった。

思った事を発信してくれた投稿者さんに感謝したい。この鑑賞体験を通じて、新しい戦前とも呼ばれ始めた今のご時世、自分と違う者に違和感を感じても思いを馳せる努力を諦めないようにしようと思った。もし信じる事ができたら最高だ。沖縄に対して感じていた罪悪感は和らいだ。

私と同じような理由で劇場に足を運ぶのに二の足を踏んでいる人が多いのかもしれない。予習した方がより楽しめるだろうけど、小難しい事抜きにして楽しめた良い映画だった。コザの暴動知らなかった私にも。

余計なお世話だろうけれど、あまり難しい事を考えず、まだ映画館で上映しているうちに是非多くの人に体験してほしいと思った。

9/30自宅そばのシネコンで見たのだが、何ヶ月前からヒットしてる国宝は1日4回上映しているのに、まだ3週目の宝島は1日3回のみの上映スケジュールだった。

ちなみに長い映画なのでトイレに中座する人は一定数いた。でも私は大丈夫だった。

マチルダ
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