劇場公開日 2024年11月22日

「「とにかく楽しい映画」という大切なジャンル」アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

「とにかく楽しい映画」という大切なジャンル

2024年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 『カメラを止めるな!』(2018) の記録的大ヒット以降の上田慎一郎監督の作品『イソップのおもうツボ』(2019)、『スペシャルアクターズ』(2019) などはカメ止め同様の「アッと驚くどんでん返し」に拘っているのにカメ止め程の迸るエネルギーが感じられず、僕は楽しむことが出来ませんでした。でも、上田監督は「観る人をとにかく楽しませたい」という思いの溢れた人なので頑張って欲しいと応援して来ました。

 そして今回は、韓国映画のリメイク作です。いや、これはストレートに面白かった。10億円以上を脱税しながら権力を笠に着てのしたい放題を繰り広げる財界のボスから、詐欺師の手を借りて金を巻き上げようとする税務署員のお話です。いわゆるコンゲーム(詐欺師などによる騙し合い)であり、ケイパー映画(特殊能力者のチームによる犯罪映画)という伝統的フォーマットなのですが、本作はその中心に実直な税務署員がいるというのが特徴です。そして、それを演じる内野聖陽さんの気弱さが魅力的なのです。ついこの間観た『八犬伝』での豪胆な葛飾北斎が印象に残っているだけに、その変貌ぶりにビックリします。俳優さんは本当にすごいなぁ。

 本作は原作ありきなので、監督は却って肩の力が抜けて思う存分遣りたい事が出来たのではないかな。「とにかく楽しい映画」と言うのは非常に大切なジャンルなので、これからも笑わせて楽しませて欲しいです。

La Strada