助産師たちの夜が明けるのレビュー・感想・評価
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人間の強さを伸びやかに描く
「これはきっと見てほしい」と、煽りでも、お決まりの何かでもなく、心から思った。物語は、新人の助産師2人が挫折して、そこから回復するまでを伸びやかに描いている。2人は全く正反対の性格で、それぞれの形で挫折して苦しんでぐるぐる回って、でも前を向く。
物語としては王道なのかもしれないけど、「成長物語」とは少し違う気がしていて、これは「回復」だと思う。傷ついて、どうしていいのかわからなくて傷を深めながら、それでも元いた場所へ状態へ戻りたいと模索する。魔法のような何かは存在しなくて、人との関わりの中で少しずつ歩んでいく姿は人の強さを感じさせる。その人間の強さが出産という生命誕生と重ねられていて、とても美しい。
好きになってしまった。
これは是非(分娩シーンや血が苦手でなければ)見てほしい。
小さなイエスの誕生ね(微笑)
下関に昨年からできた“マイクロシアター”、『シネマポスト』で鑑賞。
すんごくいい映画に巡り会えた。
「感情はロッカーにしまっておいて!」
最初の30分、産科病棟・助産師さんの現場の慌ただしく忙しく、緊張感振り切れていて、30分が数日間の出来事のようにも思えた.
陣痛の辛さに耐えられない妊婦さんに「お産の痛みは、何度経験していても慣れないものなんです」.
→ 助産師さんの産科病棟も、一例として同じものはない毎日が、迫力があり(本当に)スクリーンから目が離せなかった.硬膜外麻酔のチューブ留置をソフィアが介助する場面、全てが本物で泣きそうになった.そこに,病棟内に鳴り響くアラーム.
「クリスマスにも家族といれない職業にカンパーイ!」
「初めての会陰切開だ!!(笑)」
クリスマスの夜勤のメンバーがシャンパンでささやかに乾杯している時でも,緊急分娩の連絡電話.
シャルロット(太った助産師さん ← 素敵!)が,(不機嫌になることもなく)微笑みながら「まあー、小さなイエスの誕生ね!」だって……
白とダークの画面転換が、効果的.
この映画,観てよかった.
関心をもつことが,少しでもできることがあったら味方になろうと思った.
それでも緊急分娩
少子化対策が日本よりも進んでいるフランスでもこうなのか。
この映画は、新人が職場で壁にぶち当たりながら、成長していくお仕事ドラマです。
知識を学び、さあ頑張るぞ!と助産師として現場デビューする2人の女性がまぶしいです。
毎日毎日様々な出産現場に立ち会う助産師さんたちのタフさに感服します。
母親や胎児の状態、家族関係、スタッフの体制、タイミングなど、複雑な要素が絡み合い、観ていてドキドキする緊迫感です。
それでも、分娩室に赤ちゃんの泣き声がこだますると、観客の私ですら、「無事に生まれてよかった」と心からの安堵を覚えます。
けれど、日常的に出産に立ち会えば、死産など、難しい場面もあります。
たとえ経験値が低くても、その場で可能な最良の選択をしなければなりません。
やりがいは大きいが、そのプレッシャーに耐え続けるのは、しんどく、また給与面、設備面、スタッフの人員面でも、全く十分ではありません。
医療現場へのサポートを手厚くしないと、まさしく命が失われていきます。
私は、人生を通して、一度も医療従事者になりたいと思ったことがありません。
仕事として、人の生死にかかわる判断に携わるプレッシャーに耐えられないと思うからです。
だからこそ、あえてそこにチャレンジしている人たちに、心からエールを送りたい。
医療に回す予算がないのなら、議員定数か議員給与を半分にしてでも、医療現場に予算をつけて欲しいです。
医療現場を変えていかなければ、と思える良作。おすすめ。
今年362本目(合計1,454本目/今月(2024年10月度)13本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
日本から見るとはるかかなたにあるフランスが舞台の、助産師の多忙「すぎる」毎日を描いたドキュメンタリータッチな映画です。ドキュメンタリー「タッチ」ではありますが、その本質においてドキュメンタリーと解しても良いのでは…とさえ思えます。
なお、助産師を扱う映画としてはこの映画のように産科病棟を扱うタイプと、「病院か、助産所か」を扱う2パターンに分かれますが、この映画は前者(つまり、タイトル上も「助産師」となっているが、意味的に「看護師」とも読み替えうる。フランスの医療行政上可能かどうかはさておき)のお話です。
新人研修を終えある産科で働くことを決めた2人の女性を主軸に、忙し「すぎる」ある病院を描いた作品です。その忙し「すぎる」事情から、病院以外のシーンは大半、夜も23時か26時かいっている、地下鉄ですらやってなさそうな真夜中ばかりで、「夜が明ける」というタイトルにもぴったりですね。
結局のところ、映画内で不満不平が続出する理由の一つとして「病院の今のキャパシティでは誰がどうやっても無理だし人手が足りないのに患者が多い」と話す病院長だったか助産師長だったかの発言が全てを物語っているような気がします。かつ、フランスはドイツほどではないですが移民大国なので映画内で示されるように「医療記録がない」患者(=フランス国内で適法な受診歴がない)も普通に登場します。こういったことは日本では普通起こり得ないので(一時的旅行者のケガに対応するような事案は除く)、ここは国の違いでも生じているのだろうと思います。
これらの圧倒的「人不足」を何とかあの手この手でしのいでいく彼女たち(なお、男性の助産師の方も出てきます)の我慢も限界に達し、彼女が取った行動とは…といった趣旨の映画です。私はその「彼女たちがとった行動」については賛同できるしむしろそうあるべきであると思うので(詳細ネタバレ回避)、この点は「妥当な着地点を見せつつ問題提起をして終わった」点において、フランス映画でありがちな「エンディングをぼかして個人で結末をよく考えてね」という余韻を残すタイプの映画と違っていてよかったです。
映画ではもっぱら産科病棟(産婦人科)が描かれますが、結局のところ医療機関の忙しさはどこであっても程度の差は違っても同じであり、日本でもどこでも「一番多い」のであろう看護師(に相当する、各国の職業)においてもこの映画のかかる趣旨は妥当するものと思います。その中で助産師を主テーマにしたのは一つの考え方(そのうえで看護師や歯科医師などまで出すと映画がブレてしまう)でしょうが、結局のところ「医療職であれば結局のところ同じ問題である」点は想定のつくところであり、この点についても常識論でわかる範囲であろうことからきっぱりとカットして助産師だけを扱っていたのは良かったです。
また、映画内で「こんな勤務では子供の顔も見られない」というような激務ぶりは結局のところその趣旨は看護師他にもかかる趣旨が妥当します。実際、それ(子育てとの両立)を不安視してやめていくのも日本でもどこでも問題になっていることはご存じの通りです。映画内ではそれを「助産師」だけに限定して、一方で容易に類推できる看護師ほか「似た職業」についてもそれとなくヒントを出したうえで「ある行動」にラスト、彼女たち(一部男性もいます。上述通り)が出る行動とは…といった趣旨です。
採点上特に気になった点までないのでフルスコアです。
日本においても程度の差はあっても、助産師でも看護師でもおよそ医療機関というのはこういうものであり、ここをどうやって解消して、一時期は女児の「なりたい職業」の上位であり続けた「かんごふさん」(当時の言い方。今では「看護師」)が未来もそう安定してあり続けられるかは、日本ではこれからかな、といったところだろうと思います。
良質モキュメンタリー。でも……
まったく飽きない100分間。でもなぜか入り込めないまま終わってしまった。
フランスにおける助産師さんたちの待遇の酷さについてはなるほど〜と思いながら観ていたものの、ソフィアの暴走はその忙しさ起因ではない部分も多くて個人的にはうーむ🤔といったところ。
確かに妬み嫉みからおかしな行動に出てしまうソフィアの人間らしさとしてしまえば確かにそうだし、それがリアルさを形成してるのかもしれないんだけど、個人的にはこの胸糞要素がどぉにも好みではなかったなー(´;ω;`)
リアルすぎる助産師の現実と社会問題を描いた力作
助産師という仕事の過酷さが深く心に刺さりました。この作品は、ただの医療ドラマに留まらず、現代の日本とも重なる社会問題を浮き彫りにしています。助産師たちは常に緊張感の中で働いており、医療事故が起きてもおかしくないほどの過酷な状況に置かれていることを、映画はリアルに描いています。フランスで数年前に実際に起きた助産師のストライキが連想されることも、物語に一層の深みを与えています。
特に圧倒されたのは、リアリティに満ちた出産シーンです。まるで実際に目の前で繰り広げられているかのような臨場感があり、生命の誕生の尊さと同時に、その背後にある苦悩や葛藤も感じ取ることができました。さらに、移民問題やフランス社会に横たわる複雑な問題も巧みに織り込まれ、映画全体がフランス革命の歴史を彷彿とさせるような深いメッセージを投げかけています。
専門的なテーマにもかかわらず、劇場は満席に近く、私も残りわずか5席ほどのところで何とかチケットを手に入れることができました。この映画が多くの観客の心をつかんでいることに納得せざるを得ません。出産や助産師の仕事、そして社会の抱える問題に興味のある方には、ぜひ見ていただきたい一作です。
助産師も人間だ
鳴り止まぬコールのなか休む間もなく駆け回る。ドキュメンタリーを見ているのではと錯覚するほどのリアリティで描く助産師の実情。しかしそこに新人助産師の成長というしっかりしたドラマもある。夜明けは新たな闘いの始まり…助産師も人間だという叫びが突き刺さる。
人を大事にしない、それは私の仕事じゃない
フランスの現場、こんななんですね。
随所にフランス的なチクリとしたウィットが散りばめられていて。
それにしても、過酷な現場。
命の誕生に立ち会うのに、余裕なさすぎて、ハラハラする。
自分の体験と重なって、感情が揺さぶられる時間でした。
同じ医療現場にいるのに、医師とは待遇が大きく違うのはおかしい!
それにしても、ケーキに造形するものがビックリ!
ドン引きせずに受け入れるのは、国民性なのかな〜
どうしても、彼がヤバい人にしか見えなかった(汗)
ギリギリの最前線
パリの病院で働く助産師の人々の業務を追った迫真の作品です。
オープニング早々から慌ただしく緊迫した場面が続き、カメラもどちらに向くべきが躊躇いを見せ、僕はてっきりドキュメンタリーなのかと思って初めの10~20分は観ていました。やがてカット割りした映像が現われて「あ、ドラマなのか」と気付いた次第で、それほど生々しいのです。
病院側はコストカットの為に人員を減らし、現場の医師や助産師たちへの負荷が高まり、それでも業務は安全に確実にこなさねばなりません。無事出産を迎えられる人ばかりではなく、帝王切開の判断を求められる人があれば、未熟児を心配する人もおり、死産の悲劇と向き合わねばならない人もいます。働く人々は、医療上だけでなくベッドの差配や人員配置の判断も即座に求められます。だから、現場のプレッシャーは高まり、生の感情が衝突したり、思わぬミスをしたり、場合によっては疲れ果てて職場を去る人も出て来るのです。
観ているこちらがどんどん息苦しくなります。これはパリの産婦人科だけの問題ではなく、日本でも、特にコロナ禍の期間はこれ以上の苛烈さだったのではないでしょうか。医療現場で命と向き合う人々が、給与も含めて正しく報われる労働条件であります様にと祈らずにいられません。
フランスのとある産科病棟。 あらたに助産師としてやって来たのは若い...
フランスのとある産科病棟。
あらたに助産師としてやって来たのは若いルイーズ(エロイーズ・ジャンジョー)。
出勤途中、母親からの電話がスマホにあり、なんやかやとやっているとギリギリの時間になってしまった。
赴任先の産科病棟は、目も回る忙しさとはこのことで、指導の先輩助産師から伝えられることをすべては覚えきれない。
ベテラン助産師ベネ(ミリエム・アケディウ)に付いたときなども、「患者の前で感傷的にならないこと」と厳しい指導を受ける。
落ち込み、まだ新しい住まいも決まっていないルイーズに手を差し伸べたのは、ソフィア(カディジャ・クヤテ)。
彼女も、この産科病棟勤務の日は浅いのだが、有能で自信に満ち、すでに出産に立ち会っていた。
ルイーズはソフィアの申し出に従い、アパルトマンの一室で同居することになった。
その夜は一息ついたルイーズだったが、翌朝からは再び激務が続く・・・
といったところからはじまる物語だが、テレビドラマのようなヒューマンストーリーはない。
ドキュメンタリータッチで描かれる産科病棟の激務は、どうみても人手不足、低賃金、休憩時間もない、立って食事をせねばならないというブラックな職場環境。
助産師たちの仕事の動機は、もう「やりがい」しかない。
映画はそんな様子を厳しく厳しく映していきます。
ドラマはないかというとそんなこともなく、
有能なソフィアだったが心拍数モニターの故障から子宮破裂に気づけず、母子の生命が危険にさらされるという試練に襲われ、メンタルもかなりダメージを受けてしまう。
産科病棟のマネージャは、そんなソフィアを出産現場から遠ざけて、危険の少ない出産に向けての教育などの役職に就けるが、ソフィアは現場に戻りたがる・・・
その他、高齢妊娠の末に死産したカップル、口うるさい母親、移民で路上生活を送る女性の出産や、未成年の出産など、テレビドラマでは、それだけで1話もつぐらいの内容が、詰め込まれている。
さらには、出産シーンも実際の出産の様子が映し出されています。
ただし、好き嫌いが分かれると思わるのは、ドキュメンタリータッチのシリアス描写だけでなく、巻末に映し出される助産師たちの抗議行動の様子。
直接描写で締めくくるので、ここで一気にアクティビスト的になってしまう。
このシーンなくても、主題は伝わると思うんだけどなぁ、と思っちゃいました。
フランス人って どんな場面でもどんな映画ても、 自分を持ってるって...
フランス人って
どんな場面でもどんな映画ても、
自分を持ってるって言うか、ぶれないって言うか、
良くも悪くもなんかすごいインパクト
ぜひみなさんに観ていただきたい1本
日本もフランスも同じだなと思いながら、鑑賞しました。
助産師がどのようにお産に臨んでいるのか、忙しい中での葛藤など女優さんの演技に心を打たれます。
お産のシーンも早産や死産のシーンもリアルすぎて驚きましたが、もっとたくさんの方々にお産とは?を問う意味でも観ていただきたい1本です。
少子化云々よりも、一番そばで寄り添っている助産師のことを多くの方に知っていただきたいと思いました。
サージュファムのお仕事
フランスの大きな産院て働く助産師たちの話。
大きな産院で新人として働き始めたルイーズとソフィアというところから始まって行くけれど、あらすじ紹介を読まないと5年間の研修があるんですね。
助産師の人数が少なく過酷なシフトの日にルイーズが新人として紹介されて厄介者扱いされるけれど、ソフィアは即戦力だしみなさん既知だし、この産院でインターンしてたってことなのかな?
そんな2人の成長と挫折とメンヘラのわかりやす〜いお話しに、フランスの助産師の人手不足の問題を絡めてみせていくもので、終盤のパイセンの決断は寧ろ遅いよ!という感じ。
無事に出産した直後の親のリアクションには、他人のことながら思わず目頭が熱くなったけれど、上述の助産師たちをみる作品としてはぼちぼちだし、ホームレスのその後は余計だったかな。
新作公開待ってました
「愛について、ある土曜日の面会室」がとても良かったので
新作を楽しみにしていたフェネール監督作品
去年川口で上映していたなんて知らなかった
産科で働き始めた二人の若き助産師の成長物語
産科は新しい命の誕生に立ち会えることが魅力だが、
赤ちゃんを待ち望んでいたのに死産だったり、移民や貧困で望んでいたわけではない出産だったり、そして常に人手不足
助産師たちの葛藤がとてもよく描かれていた
医療系群像劇が好きなのでとても楽しめた
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