「映画を見る意味を感じる映画」ニューノーマル レッドベイルさんの映画レビュー(感想・評価)
映画を見る意味を感じる映画
ホラー・スリラーにコメディ的な要素も・・・という紹介をされていますが、その要素に関しては予想したことがそのまま起こるだけというか、そこに期待するならオススメはしないという意味で☆1つ下げますが、自分にとってはとても価値のある映画でした。
(「イマイチ」的な感想の方の気持ちもわかります)
何といってもラストチャプター、ハ・ダインさんの強い自我を持ちつつ空虚な日常は、「誰にでも起こるかも」ではなく、見ている誰もが自分自身を重ね合わせ、身につまされる素晴らしい内容だと思います。
暗闇の帰路のシーンや、スマホでの親とのやり取りは、見ててとても重かったです。
初めに出てくるチェジウさんは、そこまで振り切ってはいないのですが、逆に狂気の片鱗くらいまで止まりの表情が、役者らしい露骨な演技ではなく美しいものがほんの少し崩れたような不気味さがあり、すごく印象的で、さらなる可能性を感じました。
無知な私はミンホさん知らなかったのですが、男の私でもとても画面映えする役者さんだと思いました。もっと見たかったです。
全体としては、すべてのチャプターが絡みすぎないし、説明しつくさなかったのも良かったですね。映像で見た程度のつながり止まりとも捉えられるし、でも何かしらつながりがあるように感じ・考えさせる、余白が良かったです。
私は、後出し・伏線回収ですべてを繋げてドヤみたいな映画はあまり好きではないので、この作りに関しても、とても好きです。
自分の中にある世界・ない世界両方を見せてくれて、映画館で2時間集中して見るというフォーマットの意味を感じた作品でした。