劇場公開日 2025年6月6日

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我来たり、我見たり、我勝利せりのレビュー・感想・評価

全25件中、21~25件目を表示

3.5飽きさせない故に胸糞。でもそれだけではないかも…

2025年6月8日
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鑑賞方法:映画館

難しい

驚く

登場人物ろくでもないやつしかいない。でもこの世の中そんなもんか、と直ぐ気付く。
終盤、マイナート(父)の絶叫は心からの「俺のことに気付けよ!捜査して逮捕しろよ!興味ねぇのかよ!」という慟哭にみえた。だから「まだ続けるよ、当然家族と一緒にね。」となるのは自然だ。つまり簡単に言えば人間切羽詰まっても動けない、それは自分が死ぬまで気付けない。ってことなのか。それを映画で突きつけるのはあまりにも悲しくないか?
でも、陰謀論でもなんでもなく「世の中金持ちで動いてるし、俺が出来ることも大して無いし、明日も仕事めんどくせぇなあ。」という考えを「今を生きることで精一杯なんだ。」と言い換えて言い訳してるのは事実だし、かなりの人に当てはまると私は思う。だからこそ興味深いという視点で集中して観てしまったのかもしれない。そんな、なんでも難しく考えることが得意な単純な人ばかりでもないのか?

90分足らずということで見やすいのはストレス低減に一役かっている。でもそのせいで中盤からは嘘だろ…このまま終わるんか…家族全員爆破して木っ端微塵にでもならんとスッキリしないぞ…。とヒヤヒヤしつつ観ることになった。まぁ胸糞映画ではあると思うのでスッキリなんてするわけないんですけどね。
一見すると"中身も大して無い駄作"にはなってしまいかねない作品なので少しでも意味を見出そうとするのは私の癖なのかも知れませんが、観る意味のある映画ではあると思う。胸糞悪くはあるものの、胸糞映画の代名詞である諸作品と比べると"冷たさ"はあまり感じない不思議な映画だ。もちろん暖かみも微塵も感じないけれど。
心がザワザワするのが好きな方は是非。

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ezio

3.5胸糞映画が好きな人にはいいかも

2025年6月7日
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異次元の権力と富を持つ男の趣味は人間の『狩り』。しかし忖度して誰も咎めようとせず…。子供を可愛がり楽しく愉快な男。終始流れる不穏な音は『関心領域』みたいで恐かった。

私は好みでは無かったですが胸糞映画が好きな人にはいいかも?

因みに題名の『我来たり、我見たり、我勝利せり』は『Veni, vidi, vici(来た、見た、勝った)』で、紀元前47年のゼラの戦いで軍を率いてた共和政ローマの将軍ガイウス・ユリウス・カエサル(=シーザー)が、戦いに勝ったことをローマにいるガイウス・マティウスに知らせた言葉である。

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snowwhite

3.5タイトル通りに進んでいくストーリー

Kさん
2025年6月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

上級国民のマイナート家。
血の繋がりはなくてもこの親に子あり。

娘の反則行為は見逃され、”創作工夫”で幕開け。
そして父親の趣味は人間狩り。

正しき弱者は取り込まれ、
権力者は最後まで罰せられず
この先もずっと変わらないという描写が
まさに現代社会を映し出していました。

「新しいホウキはよく掃ける」というセリフが
印象強く残っています。

富裕層の優越感と貧困層のやりきれなさに
長年続く格差社会の現状を伝えていました。
自然と政治家を当てはめたくなる風刺が効いた作品。

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K

3.0監督は本作のどこに興味を抱いたのかが気になっているようでした。

2025年5月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:試写会

ヒューマントラスト渋谷にて行われた試写会に行ってきました。

何をしても罪に問われない胸糞悪い「金持ち」を題材にしながらも、常に良き父親、良き家族を描写。
殺人を描いているのに画面には白を基調としたシーンが多くグロテスクな印象すらありません。

上映後、ダニエル・ヘースル監督は「ウィン・ウィン」の撮影時、金持ちの邸宅にリサーチへ行き、そこで「猟銃をナミビアへと持ち出す」という話を聞き、銃さえも国境を越えて自由に持ち出せてしまう「金持ち」に驚いて本作を思い付いたと語っておりました。
それゆえに
何をしても全てが許される「金持ち」を、
何をしても家庭が上手くいく「金持ち」を、
何をしても思うように事が運ぶ「金持ち」を、
ひたすら鑑賞する事となります。
ヘースル監督はミヒャエル・ハネケ監督の「ファニー・ゲーム」についても語っていましたが、作品から受ける印象は別物でした。

またユリア・ニーマン監督の方も、語り部でもある「金持ち」の娘を演じたオリヴィア・ゴシュラーにハネケ監督の「ベニーズ・ビデオ」を観るように言い、演技の参考にさせたそうですが、ハネケ色はあまり感じませんでした。

監督たちの話だけ聞いているとなんだかハネケ作品に近い印象を受けてしまうかもしれませんが、いつも子供たちに優しく接し、家庭が第一と考える「金持ち」の父親の描写を見ている限り、ハネケ作品のような鬱展開は微塵も感じられません。
酷い事をしているシーンよりも明らかに養子と分かる小さい2人の娘が執事に対して紙吹雪を浴びせかけて遊んでいるシーンの方が頭に残るほどです。

それでも鑑賞後のモヤモヤしたわだかまりは尋常じゃありませんでした。

ヘースル監督は、罪を犯そうが握り潰せると豪語するドナルド・トランプや人前では戯けてみせておきながら裏では人の首を簡単に切るようなイーロン・マスクを引き合いに出していましたが、彼らの名前が出た途端、映画が絵空事に思えなくなり背筋が凍り付きました。

監督たちは物語の顛末や、「金持ち」に対する考え方を観客に投げているのは明らかでした。
「金持ち」を否定しながらも「金持ち」になりたいという人々がどのように本作を受け取るのか、非常に興味が沸いてくる作品でした。

余談ですが、上映後、映画館のエスカレーター前でヘースル監督から「どうして本作を観たいと思ったのか」と尋ねられました。
監督は本作の何に惹かれたのかが気になっている様子でした。

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かもしだ

4.0怖い、怖い、怖すぎる

2025年5月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

驚く

斬新

美しい風景、美しい音楽、裕福な容姿の良い人々、ファッショナブルな服装。
スクリーンにはこの世の美が溢れんばかりに映し出されているのに…
そこにあるのは恐怖です。
感情の読めない主人公達が築く奇妙な人間関係に心がざわつきを、愉快犯のような行いに戦慄し、打算に満ちた選択に怒りを感じ、その全てが組み合わされた世界観は生半可なホラーよりも恐怖に満ちています。

クラブゼロや関心領域と似通った
この冷たい世界観はアリーア民族独特のものなのか?
近頃ドイツ語巻の映画の静かな恐ろしさを興味深く感じています。

冷たい恐怖を味わいたい方ヘ。
是非ご覧になってください。

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さとうきび
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