劇場公開日 2025年6月6日

「残虐な内容なのに、思い出すのは明るい景色」我来たり、我見たり、我勝利せり 零零2015さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0残虐な内容なのに、思い出すのは明るい景色

2025年6月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

驚く

斬新

雨の降る中、朝一番の上映回を鑑賞。

明るい景色(暖かな陽射しと緑の森、真っ白な邸宅)が印象に残る映画でした。
そのため今日は晴れだったと錯覚するくらいです。
でも、この映画は金持ちが殺人を楽しむ残虐な物語です。

被害者を延々と痛めつける描写が続く映画「ファニーゲーム」とは異なり、
狙撃殺人の描写は淡泊で、突然銃声がして被害者があっさり倒れるだけでした。
殺人者であるはずの主人公が、銃を撃つシーンも構えるシーンもありません。

射殺した直後も、主人公は普段通りの様子で、その場を通りかかるだけのように去っていき、被害者には何の興味も無い様で一瞥もくれません。

被害者の様子も淡泊で、カメラが寄っても苦悶の表情や大量の出血等、悲惨さを感じさせる描写がほぼありません。

それらの淡泊な描写のせいか、本来は胸糞悪い行為にもあまり衝撃を感じず、物語も常に穏やかな陽光の中で進んでいき、家族を思いやる主人公や幼い養女達の楽し気な笑顔のせいで、観終わった後に思い出してもなぜか明るく優雅なイメージが強く残っています。

終盤、私の予想を超えた展開に、これまでの殺人描写の淡泊さは、このためだったか!
と妙に納得しましたが、結局タイトル通りに金と権力を持った悪人が勝利する結末なので、モヤモヤしたまま劇場を後にしました。

零零2015