「飽きさせない故に胸糞。でもそれだけではないかも…」我来たり、我見たり、我勝利せり ezioさんの映画レビュー(感想・評価)
飽きさせない故に胸糞。でもそれだけではないかも…
登場人物ろくでもないやつしかいない。でもこの世の中そんなもんか、と直ぐ気付く。
終盤、マイナート(父)の絶叫は心からの「俺のことに気付けよ!捜査して逮捕しろよ!興味ねぇのかよ!」という慟哭にみえた。だから「まだ続けるよ、当然家族と一緒にね。」となるのは自然だ。つまり簡単に言えば人間切羽詰まっても動けない、それは自分が死ぬまで気付けない。ってことなのか。それを映画で突きつけるのはあまりにも悲しくないか?
でも、陰謀論でもなんでもなく「世の中金持ちで動いてるし、俺が出来ることも大して無いし、明日も仕事めんどくせぇなあ。」という考えを「今を生きることで精一杯なんだ。」と言い換えて言い訳してるのは事実だし、かなりの人に当てはまると私は思う。だからこそ興味深いという視点で集中して観てしまったのかもしれない。そんな、なんでも難しく考えることが得意な単純な人ばかりでもないのか?
90分足らずということで見やすいのはストレス低減に一役かっている。でもそのせいで中盤からは嘘だろ…このまま終わるんか…家族全員爆破して木っ端微塵にでもならんとスッキリしないぞ…。とヒヤヒヤしつつ観ることになった。まぁ胸糞映画ではあると思うのでスッキリなんてするわけないんですけどね。
一見すると"中身も大して無い駄作"にはなってしまいかねない作品なので少しでも意味を見出そうとするのは私の癖なのかも知れませんが、観る意味のある映画ではあると思う。胸糞悪くはあるものの、胸糞映画の代名詞である諸作品と比べると"冷たさ"はあまり感じない不思議な映画だ。もちろん暖かみも微塵も感じないけれど。
心がザワザワするのが好きな方は是非。
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