無言の丘のレビュー・感想・評価
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台湾と日本の関わりが詰まっている
日本に生まれたものとしては平然と見ることが難しい日本的な時代のとらえなら、大正末期から昭和初期の、台湾を日本のものとしていた時代に、奴隷のような人生から逃れようと必死に生きる人々、その時代に翻弄された台湾や琉球の人が描かれていて、平然と見ることはできないながらも、ユーモラスに、まあ日本についてはその愚かしさ、独善的優越を滑稽に描いていて、台湾の人々は苦境差別困難な中にも互いを支え合いながら笑いも交えて暮らす、京劇で韻を踏み鉱山労働者に京劇を教える、文化の香り高い作品。洋服を着て威張り暮らす日本人、和服を着たら日本人のように尊敬されると幻想を抱く赤目。金鉱で官憲や日本の鉱山経営者のあまりの非道に、私たちも人間だ!と抗議する労働者たち。着るもの、言葉、日々の暮らしの中に植民地政策が行き渡り、
今や日本人にも大人気の九份の、あの階段と坂が美しい街の茶店は鉱山の人々の歓楽街売春宿であったのだ、その時にはその時の賑やかで美しく悲しい街で、そのままに美しくも現実的に描かれており、日本に生まれ暮らし楽しく台湾を消費する者して、受け止めや知ることは必要だと思い知らされる。それでも心通う台湾の人々、去り行く友に手を振る兄弟、子どもも大人も信じられるひとを見極め手をとる様。人と人の心のことが1番大事とあらためて。
緑の監獄、という西表島の炭鉱労働強制労働していた台湾の人たちをえがいたドキュメンタリーも思い出した。繋がる東アジアの歴史、学校では楽に教えもしないから意識的にならなければ、とも思う。かなしい結末でもあり、希望を感じるラストでもあり、監督の人を愛し共生を信じるお人柄が流れ出る。
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