「暴走の果て」ひどくくすんだ赤 雨雲模様さんの映画レビュー(感想・評価)
暴走の果て
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グリーンのお墓参りから始まると、現在の元レッドにおける状態へと場面が変わる。
かつては戦隊ヒーローのレッドとして、そして史上最強の戦隊とも呼ばれていたが、自ら犯した愚行により全てを台無しにしてしまう。
考え方が単細胞的で、自らの感情の赴くままに行動し、自制を制御できずに暴れ回る姿は、格闘技が強いだけでリーダーのレッドに選ばれたようなもの。だが、しかし自己陶酔に陥ると周りが見えなくなり、一度手が出ると止め処なく暴走して周りが入っても、制御ボタンのオンオフがないために暴れ続けてしまう。
そりゃ、半年で終わるのも納得。
しかしもっと呆れるのが60を前にしてまだ何も自らの悪い部分と向き合わず、改善の兆しがいっさい見受けられないことだろう。
そんな元レッドが、仕事先でふらつき事故を起こしてしまったことにより立場が危うくなり、自宅での療養を余儀なくされた際にふと脳裏に浮かんだのが、かつての共に青春時代に苦労を分かち合った戦隊ヒーローの仲間だった。
ふと思い立ち、会いに行くも、会いに行く理由がまさかの自らの人生が奈落の底に落ちたも同然の凋落ぶりを人のせいにしている。反省のはの字もなければ、レイプしたピンクに対して図々しくも近付き殺そうと企んだ時点で良識を疑う。襲えないとわかると今度はその際に身籠った息子にまで手を出し殺そうとする。
何もかも人のせい、俺は悪くない、だって才能あるもん。失敗から学習することすら学ばず、自己の精神をコントロールすることも、感情のまま、思うがまま行動することだけをモットーにした最期はマットレスの上で只管顔面を真っ赤に染まるまで殴り続けることだった。
まさしくひどくくすんだ赤らしい内容だった。
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