劇場公開日 2024年8月16日

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「戦争の真実を伝える映画」劇場版 アナウンサーたちの戦争 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5戦争の真実を伝える映画

2025年2月4日
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鑑賞方法:映画館

1945年8月14日にポツダム宣言を受諾し戦争は終結した。
その翌日正午に天皇陛下が玉音放送で国民に話された後、天皇の言葉を解説し、内閣告諭の朗読、ポツダム宣言の内容等を説明したアナウンサーがこの映画の主人公である和田信賢だ。録音された天皇の玉音放送はノイズもあり難解な用語ばかりだったので、解説がなければ国民は終戦したことすらわからなかったのではないかと言われている。
玉音放送だけでなく開戦の臨時ニュースの両方に関わったのが和田信賢と館野守男アナウンサー(インドのインパール作戦で従軍録音班として戦地に入り生死の境を彷徨う)。又先輩である米良忠麿アナウンサー(開戦直後からマニラに赴任し基地局を開設したが戦死された)も今福祝アナウンサー(ベトナムに派遣され偽ニュースで敵軍を翻弄させた)も、登場したアナウンサーは全て実在した方々である。NHKならではの取材に基づき事実を積み上げ、映画(元々はTVドラマ)の骨格を作っていった。
そもそも大本営の意のままにプロパガンダとしてラジオ放送をし、日本が占領したあらゆる国・地域に「電波戦」として加担し、100名を超えるアナウンサーを赴任させていたこの事実をここまで公にしたことは、放送に関わる者の正義として、大いに評価できると思います。
それにしても森田剛の演技が素晴らしい。序盤の靖国神社招魂祭で自らを英霊と化し遺族に語りかけるアナウンスのシーンや、学徒出陣壮行会に向けての学生とのやりとりと苦悩する姿と叫びのシーンは見る者の心に刻まれる演技である。

アベちゃん