「【何故、太平洋戦争中アナウンサー達は大日本帝国の大本営の発表のプロパガンダに加担していったのか。右傾化する現在、今作が国営放送のドラマが元になっている点がとても重要だと私は思います。】」劇場版 アナウンサーたちの戦争 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【何故、太平洋戦争中アナウンサー達は大日本帝国の大本営の発表のプロパガンダに加担していったのか。右傾化する現在、今作が国営放送のドラマが元になっている点がとても重要だと私は思います。】
■天才と呼ばれた和田信賢アナウンサー(森田剛)が、自身の想いと葛藤しながら同僚の舘野アナウンサー(高良健吾)達と、日本の勝利を信じ民を鼓舞する放送を続けながら、ミッドウエー海戦の大敗を隠し、鼓舞するプロパガンダ放送をする頃から、彼の苦悩は深くなる。
◆感想<Caution!内容に触れています。そして、印象的なシーンを記す。>
・和田が新人アナウンサー達。(後に妻となるミエコ(橋本愛)を含む。)を前に言った言葉。”虫眼鏡で調べて、望遠鏡で喋れ”という言葉通り、彼が学徒動員された大学生たちの本音を聞くシーン。
最初は”戦場に行けて嬉しい”と言っていた学生たちが和田の”戦争は殺し合いの場所だぞ!”という言葉を聞き、涙ながらに”死にたくない・・。”という姿。
そして、彼は出陣学徒壮行会時に、アナウンスが出来ずに雨中、涙ながらに倒れ込むシーン。
・国民の戦意高揚を謳っていた舘野アナウンサーが、インドにラジオ中継地を設置するために陸軍と同行し、”バターン死の行進”の中で次々に兵が死んでいく中で”ごめんなさい”と倒れながら言うシーン。
・玉音放送前に、宮城事件を起こした兵たちを抑え、殺されるかもしれない中で、天皇の言葉の前に毅然とアナウンスする姿。
<そんな和田でも、時流には逆らえずに苦悩しながらもプロパガンダに加担して行った事実は重い。
故に、この映画が国営放送のドラマをベースに制作された意義は大きいと私は思うのである。
世界の潮流が右傾化していく現代、この映画はとても貴重な作品であると、私は思います。>
<2024年9月8日 刈谷日劇にて鑑賞>
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