劇場版 アナウンサーたちの戦争のレビュー・感想・評価
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電波戦士 フェイクニュース
日本の戦争映画で多くある… 時代に飲まれた苦しみを背負った被害者目線だけで訴えていては、今現在進行形で時代を変えてはいけないのではないか?と思ってしまった。 「虫眼鏡で調べて望遠鏡で喋る」が信条の主人公アナウンサー和田 真実を語れない葛藤、絶望感は 自分たちが煽って戦意高揚・プロパガンダを行い負った深い傷、負い目。 手元の虫眼鏡で日本の兵士だけしか見てないようでは、望遠鏡で戦争の事実を見てないのでは。 戦争は自国民の命も敵国民の命も踏みにじられる。犠牲になるのは何の権力を持たない庶民の命なのは現代も変わっていない。 もちろん当時は抗うことが出来ない同調圧力。 現代にさらに続く同調圧力。 そして真実を曲げるフェイクニュース この尊い犠牲で今現代の幸せが成り立っているという論調(オリンピック選手も言ってましたね。)だけでは、見ないよう触れないようにしている事実が多く、平和な世界を築くには程遠い。 役者が充実。 中島歩演じる川添アナウンサーは煽動の報道は危険と言い続けた人物 この役をもっと深く掘り下げたシーンが観たかった。 パンフレットを読むと、出演者のコメントがすべて今起こっていることに引き寄せている。(こんなパンフレットは老眼者しか読まないだろうに文字が小さく読みづらい😓) 元はNHKのドラマだったのか。 この映画は後味の悪さ~辛い苦い~を 観る者が引き受け、現代にある現実を考えることが肝要。 「凡庸の悪」…私にできるであろうか? #劇場版アナウンサーたちの戦争 #映画 #刈谷日劇
戦争をしているというより戦争に巻き込まれたアナウンサー
2024年劇場鑑賞227本目。 劇場版というのでテレビで放送してたのかな、とは思っていたのですが去年NHKでやってたんですね、気づきませんでした。 主演元ジャニーズの誰かだったよな、と思いながら全然出てこないな、と観ていて途中であっこの人森田剛だ、と気づいたくらい雰囲気が変わってました。最近こういう抑えた役多いですね。 アナウンサーが戦時中必死に抵抗する感じではなく、大局には抗えず翻弄されていくという感じでカタルシスは低め。ただ本編終わった後の和田アナウンサーのオリンピックのエピソードの方がよほど映画的で震えました。
【何故、太平洋戦争中アナウンサー達は大日本帝国の大本営の発表のプロパガンダに加担していったのか。右傾化する現在、今作が国営放送のドラマが元になっている点がとても重要だと私は思います。】
■天才と呼ばれた和田信賢アナウンサー(森田剛)が、自身の想いと葛藤しながら同僚の舘野アナウンサー(高良健吾)達と、日本の勝利を信じ民を鼓舞する放送を続けながら、ミッドウエー海戦の大敗を隠し、鼓舞するプロパガンダ放送をする頃から、彼の苦悩は深くなる。 ◆感想<Caution!内容に触れています。そして、印象的なシーンを記す。> ・和田が新人アナウンサー達。(後に妻となるミエコ(橋本愛)を含む。)を前に言った言葉。”虫眼鏡で調べて、望遠鏡で喋れ”という言葉通り、彼が学徒動員された大学生たちの本音を聞くシーン。 最初は”戦場に行けて嬉しい”と言っていた学生たちが和田の”戦争は殺し合いの場所だぞ!”という言葉を聞き、涙ながらに”死にたくない・・。”という姿。 そして、彼は出陣学徒壮行会時に、アナウンスが出来ずに雨中、涙ながらに倒れ込むシーン。 ・国民の戦意高揚を謳っていた舘野アナウンサーが、インドにラジオ中継地を設置するために陸軍と同行し、”バターン死の行進”の中で次々に兵が死んでいく中で”ごめんなさい”と倒れながら言うシーン。 ・玉音放送前に、宮城事件を起こした兵たちを抑え、殺されるかもしれない中で、天皇の言葉の前に毅然とアナウンスする姿。 <そんな和田でも、時流には逆らえずに苦悩しながらもプロパガンダに加担して行った事実は重い。 故に、この映画が国営放送のドラマをベースに制作された意義は大きいと私は思うのである。 世界の潮流が右傾化していく現代、この映画はとても貴重な作品であると、私は思います。> <2024年9月8日 刈谷日劇にて鑑賞>
アナウンサーたち「の」戦争、ではなく…
ドラマ未視聴。
やっぱりタイトルって大事だと思いました。
「アナウンサーたちの戦争」と聞いて、まず思ったのが主役の和田信賢とその同僚達が激しく葛藤しながらも戦争に向き合い、そして玉音放送に取り組む姿でした。
いや、それ自体は内容の主軸として本作で描かれているはずなんですが、何かが足りない。
考えると、やっぱり背景や心理描写が足りないんです。圧倒的に。
例えば、序盤の東京オリンピック中止の話題。
さも当たり前のように会話の中で語られていますが、予備知識がなければ全く理解できないシーンだったのではないでしょうか。
それぐらい常識だろう、という考え方もあると思いますが、エピローグに繋がる背景でもあるぶん、見る側がスムーズに理解できる工夫が欲しかったです。
また結婚を申し込むシーンも、ヒロインが和田に惹かれる描写がほとんどない中で、いきなりプロポーズをされ、その答えを出すのがかなり後になってから、というのも気になりました。
(結婚断ったんじゃないか位のシーンが普通に間に入っていましたし)
このほか、和田アナの「努力を補ってあまりある」勤務態度の悪さが強調して描かれていたため、彼が次代のエースとして評価される理由もいまいち腑に落ちないままでした。
言うなれば中盤までずっとダイジェストを見続けた印象。
戦争という、自分の胸のうちを言葉にしづらかった時代を描いた作品なだけに、そのあたりは丁寧に描写をして欲しかったところです。
個々の役者さんの演技は素晴らしく、時代に流される役、抗う役それぞれに見応えがありました。
特に橋本愛はいい俳優さんになったなあ…と感じさせてくれますが、肝心のストーリー、軸が最後までよく見えないまま。
ということで和田信賢含め、多数登場するアナウンサーそれぞれの生き方を描いた群像劇として見るのが良いのかなと思いました。
そうなると、タイトルにふさわしいのは「アナウンサーたち"と"戦争」だったなと。
放送の世界に仕事で少し関わっていましたが、放送人としての思考や思いは史実に沿っているだけに学ばされるところがありましたが、いかんせん映画としては厳しめに評価せざるを得ませんでした。
情報戦と偽情報はいつの時代も
戦時中NHKアナウンサーたちの葛藤と相克を再現した、テレビドラマの映画版 報道や投稿でデマとフェイクニュースが飛び交う今、若い人たちにもぜひ見てほしい作品です 森田君の熱演が光ります
第二次世界大戦をNHKからみた視点の映画。おすすめ。
今年307本目(合計1,399本目/今月(2024年8月度)32本目)。 ※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。 もっともタイトルには「アナウンサー」としかありませんが、当時民放があるわけではなく、NHK(厳密にはその前身)とそのアナウンサーと第二次世界大戦とのかかわりを描いた映画でこういう視点は少なかったのではないかな、と思います。 もともとNHKで特集されていたものを映画版に再編集したようで、元がNHKなので史実の説明については極めて正確で安心してみることができます。この時代の(日本からみた)映画といえば、原爆であったり特攻隊であったりとある程度相場観が決まっている感じがありますが、この斬新さが良かったところです。 当時の帝国憲法にはいわゆる報道の自由がなく、特に第二次世界大戦が勃発すると放送内容は軍部によって操られ、適当な放送(ラジオ放送)が繰り返されたというのはご存じの通りです。第二次世界大戦を経た日本国憲法では報道の自由が憲法上保証され(もちろん、内容が虚偽であることが明らかであったり、誰かを誹謗中傷すること「のみ」を目的とした内容は当然一定の規制を受ける)、その狭間にあった当時のアナウンサーの苦労が見えた点においては良かったところです。 ドキュメンタリー映画の要素が強く、映画に娯楽性を求めるのであればおすすめはできませんが、一方でこういう映画は概して人気作が出ると放送されにくくなるものであり、興味がある方はぜひ、といったところです。 採点上特に気になる点までないのでフルスコアにしています。 ※ それにしても台風の迷走具合がすごく、大阪市内の映画館もできるだけ「守り」の姿勢に入る点は理解するのものの台風が自転車並みの速度だったりするので、火曜日から予約が取れなかったり(当日販売のみ等)混乱するのはまぁ「減災」の観点から理解するものの、もうちょっと天気予報(進路予報)を見て欲しかったなぁというところです(火曜日に直撃するという予想ってとっくにひっくり返っていたような)。
作品の質としてはいまいちだけど、史実の重み、リアリティがある。知ら...
作品の質としてはいまいちだけど、史実の重み、リアリティがある。知らないことが多かった。特に、フィリピンで日本人を守る役目、インパールでほとんど軍の仕事の情報戦に駆り出されていたことなど。
色々考えさせられた作品
物凄く良かった。 色々、考えさせられた。戦争映画は苦手だが、この作品だけは見逃せなかった。 和田アナ役の森田剛の演技は素晴らしかった。もうV6の面影はなく俳優森田剛と してスクリーンから伝わった。 出演者のセリフすべてが重く感じる。 戦前のプロパガンダ放送の反省、苦悩が森田剛が演じた和田アナはじめ各アナ から観てとれた。一歩間違えれば大衆扇動となりナチス・ドイツみたいになる。 今回の作品はその典型例だった。今はどうだろうか? 大衆の視点から見ると怖いし、アナウンサーをはじめ言葉を使う専門業の方から してみれば一種の武器になる教訓でもある。 もう一度我々が、報道と自分の関係を改めて考え直すいい機会。来年は終戦70年。 観て良かった。
責任とは?
僕が小さかった頃、成りたくなかったのは教師と政治家とアナウンサーでした。この中でアナウンサーだけは奇異に響くかも知れません。昔はテレビでも日本の戦争に関する話題はしばしば取り上げられ、その時、真珠湾攻撃を告げる、 「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。大本営陸海軍部、十二月八日午前六時発表。帝国陸海軍は、本八日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」 というラジオ放送が演出としてよく流されました。僕は、この放送の声が子供心に大嫌いでした。当時は言葉には出来ませんでしたが今にして思えば、あの煽情的な口調に嫌気が差すと共に、自分の思いが何処にあろうと他人が書いた原稿を読むしかないアナウンサーという仕事から目を背けたかったのでしょう。 本作では当時既に人気アナウンサーであった和田信賢さんが軍部の検閲と押し付けにより国威発揚的放送に傾いて行かざるを得なかった姿を描いています。今まさに、政権が番組内容に露骨に手を突っ込もうとし、放送局も政権への忖度により萎縮している時、NHK自身がこうした記録をドラマとして残そうとする強い思いは称賛し、感謝したいと思います。しかし、その上で敢えて言いたいのです。 「このドラマの内容を30字にまとめよ」という試験問題が出たとしたら、「色々悩み苦しんだのだが、あの時代には仕方なかったんだ」になりはしないでしょうか。でも、問いたい。あなたは悩んだのかも知れませんが、そのアナウンスによって戦意を鼓舞され戦地に向かった人々にあなたは何の責任もなかったのでしょうか。いや、2024年の平和な立場から当時の人々の苦衷を断罪しようというのではありません。最も大きな戦争責任は、軍部と政治家と天皇にあったのは間違いありません。しかし、この作品の中で、「こんな放送をしたくない」だけではなく「自分も戦争に積極的に加担しているのでは?」という疑問をもっと明瞭に深く描くべきだったと思います。終盤、和田アナウンサーは涙を流して絶叫するのですが、あの場面で彼を泣かせるのは演出的な逃げです。すべての疑問や自戒を言葉で浮き上がらせる事なく感情で押し流してしまうからです。 あの時代を「仕方なかったんだ」と言ってしまう事は、次の戦争の時にも「これは仕方ないんだ」と言う余地を残してしまいます。厳しい言い方ですが、いい作品だと思うので敢えて申し上げたくなりました。 なお、この時代にラジオが何を伝え、アナウンサーはどう考えていたのかを膨大な資料を読み解いて考察した「戦争とラジオ」と言う書籍があります。著者も長年NHKで働いた人ですが、「仕方なかっただけでなく、放送人も積極的に加担したんじゃないのか」のクールな眼差しを抱いておられます。500頁を超える大著ですが、興味ある方は是非お読みください。
あなたの言葉には力がある
情報操作はどの国でもやるだろうなとは思ってたけど、戦時中は日本もこんなに他国にアンテナ立ててやってたとは知らなかった。 声の力、言葉の力とは。 闘い方にも色々あることを再確認させられた。 とにかく主演の森田剛さんにびっくりよ。 俳優森田剛の凄さを知ったわ。めちゃくちゃ上手かった! アナウンサーとしての才能も、人柄も、奥さんへの思いやりも全部かっこよかった。 アナウンスするのもただ読むだけではなく、技術が必要なのもわかる。ナレーションが上手だなと思う方がいらっしゃるけど、なんかそういうのは伝える力が強い、上手な人なんだろうなと思ったよ。 全体的にテレビっぽい演出が散りばめられてて、劇場版と出ていた意味も納得。 途中、実際の映像も織り交ぜながらの解説部分は説得力があったし、実話を元にしたお話としては人間ドラマもあってとても面白かったと思う。 高校生の娘と観たのだけど、歴史のお勉強にもよかったです。おすすめ。
今も肝心な事は言わないのでは?
嘘は言わないかもだけど、本当のことだって伝えてないじゃん。 アナウンサー達は戦犯に当たらないのだろうか?国や軍の指揮命令下にあったとはいえ、嘘の情報を流して敵を騙し降伏させ、国民を煽動して戦争へ導いて行ってる。どうなんだろうか? 情報収集のため、愛宕山旧放送局を情報本部にしていたけど、在日外国人が結構いたのね。同盟国の人だけって気がしないのだけど。 森田剛くんが熱演でしたね。
当時の大日本帝国の国民を想う
戦後生まれの我々が、その作風やら描き方にあれこれ言えるはずもなく、当時の方の苦しみや大変さは想像しても正しく理解することは難しく、とにかく、このような状況にこの国が二度と陥らないように、と強く誓うためには十分な作品。森田剛、頑張った。
駆け足展開
話す口調が現代人なんだよなぁ… アナウンスのところはぜんぶ当時モノのアフレコでいいのではないか? ドラマ版より20分ほど増量しているが、劇場版にするならもっと切り込んで欲しかった。 知りたいところをナレーションや字幕で済ませた感があり、時間経過(場面転換)が早すぎると感じた。 パンフレットもホームページのアーカイブをそのまま転写したような出来。 そもそもがダイジェスト版のような作品。
森田剛が和田信賢のイメージと違いすぎる
シチサンに分けたノッペリイメージ、没個性のありきたりのアナウンスメントしかしないイメージの往年のNHKアナウンサーの役をやるには、森田剛はトンガリすぎていていると言うのが第一印象。プロパガンダ放送を流すことに苦悩し、自暴自棄になると言う人物描写には違和感しかない。大本営発表を読み上げる記録映像は何度も見てきたが、そんなにプロパガンダ感は感じないし、興奮を覚えると言う印象はない。ただ淡々と粛々と当局から与えられた任務を遂行していると言うのが率直な感想だ。 NHKのアナウンサーの存在感、個性を際立たせようとする無理矢理な意図が透けて見える。優等生的な大企業のエリート社員が、実は俺も悪だったんだ、反逆児だったんだ、と女子社員に自慢している情景が浮かぶ。 NHKさん、そんなに無理しなくていいよ、エリートはエリートらしく、ボンボンはボンボンらしく、ありのままでいいよ、それで誰も文句言わないから、と映画を見ていて心の中で囁いてしまった、、、
豪華メンバー
主要キャストが豪華メンバーで、ストーリー展開も良かったです。戦時下ではアナウンサーも一つの戦争の武器として使われてしまっていたのですね。返す返すも平和な時代である事を幸せに思わなくてはいけませんね。
伝説のアナウンサーの葛藤
直接的な戦闘シーンは少ないですが、アナウンサーたちの電波戦争。見応えありました。
疑問を感じながらも戦争に勝つために嘘の情報の原稿を読み上げる葛藤と苦痛と罪悪感は、耐えがたきものだったでしょう。
子供がアナウンサーの言葉を真似して遊んでいるシーンには背筋が凍りました。言葉のもつ影響力とその怖さを表現したもっとも印象に残るシーンでした。
ナレーションがとても多い映画ですが、この作品には合っていると思いました。
森田剛さんの演技がこれまた素晴らしい。
館内はガラガラだったけど、多くの人に観て欲しいと思った映画です。
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