しあわせなんて、なければいいのに。
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2024年製作/61分/日本
オフィシャルサイト2024年製作/61分/日本
オフィシャルサイト Leminoで鑑賞(Leminoオリジナル)。
雰囲気は良い。日本映画らしい深いテーマ性を秘めた(ように見える)、賞レースに食い込みそうなテイストの作品だ。
しかし、雰囲気だけ、である。きっと北川悠理はこう云う感じの映画や小説が大好きなのだろう。それは伝わった。
脚本は正直荒削りだ。筋は通っているのだが、芯を捉えきれていない印象。監督の手腕で作品として成り立っている。
乃木坂46の四期生総出演、と云う触れ込みが無ければきっと素通りしていただろう。彼女らの好演に癒された。
キーアイテムの「雨が降る前の夜」を読みたくなった。存在しない小説だが、北川悠理なら書けそうな気がするのは私だけだろうか。作家の素質はある。もっと磨けば大成するはず。
元乃木坂46の北川悠理の原案、脚本(共同脚本)による作品。乃木坂46の現役の4期生のうち、稼働可能なメンバー全員が出演している。
北川悠理は、乃木坂46卒業後「夢を叶えるため」という事でアメリカに留学しているが、彼女の夢ってなんだろうか?この作品をみて、もしかしたら、脚本とか演出とか、エンターテインメントそちら側の事なのではないのか?と思ったりもした。
作品としては粗削り。北川悠理が演じている鴇と、嘉喜遥香が演じている朱里の中が拗れた理由については、仄めかされてはいるものの完全に明らかになっているわけではない。また、筒井あやめ演じるツグミについても、鴇と同じ作家の作品が好きで、何某かの音楽活動を行っているという事以外は描かれていない。ちょうど1時間という作品の時間の中、描く事に限界があったのかもしれない。もう少し作品の時間があれば、そう言うところも丁寧に描くことが叶い、もっと良い作品になったような気がする。
作品で鴇は、不思議な、静かな人物として描かれているわけだは、もしかしたら、北川悠理その人が経験したことなのかもしれないなと思ったりもした。
それにしても、乃木坂46LLCがこの作品を制作しているわけだが、卒業生が望んだこととはいえ、商業的にはペイするとは考えにくいこの作品のために、人手とお金をかけて作ったことについては称える事しかできない。まぁ、この作品を通じて乃木坂46メンバーのポテンシャルが世に知らしめられ、次の仕事につながれば良いという深謀遠慮なのかもしれないが。