「シリーズの過去の栄光に縋り晩節を汚す作品」室井慎次 生き続ける者 sayさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズの過去の栄光に縋り晩節を汚す作品
前編を見た時点で恐らくつまらないだろうと思いながら
乗りかかった船なのでと思って観に行った後編。
まさか予想を上回るつまらなさだとは思っても見なかった。
全体的に、ここで笑わせたいのだろう、泣かせたいのだろう
とは思ったがつまらないしチープでしかなかった。
ただ、年配のお客さんは声を出して笑ったり泣いたりしていたので
製作陣と同年代の人は楽しめるのかもしれない。
今回も冗長だし、下の子にクローズアップされてはいたが
話がなにもかも中途半端。
室井さんがいいことを言った風のシーンはいくつもあるのだが
別に大したいいことを言っていないのが問題。
なのにヤンキーは骨抜きになり容疑者は自供を始める。
そんなに信頼関係が築けているのかと思えば、リクを父親の元に戻すと言われて
タカの第一声が「投げ出すのか」だし
児童相談所の対応があいも変わらず目茶苦茶でどこも筋が通っていない。
書面で許可は降りていると言えば良いものをわざわざ沖田さんに電話で話させる
というのも、『やりたかったんだろうなぁ』と思うだけで
筋が通ってはいないし、青島くらいのキャラがやって面白いのであって
ぽっと出の桜や乃木にしゃしゃられても困る。
石津家の長男が戻って来る美談にしても警察を私的利用しているし
ならどれだけ室井さんが凄い人だったのかと言えば、正直過去のシリーズでも最後は微妙で
今回だって約束もできず何もできず、罪滅ぼしのつもりでいるという台詞もあったくらいなのに。
結局大して良いところもなく、この村ではよそ者でも雪国出身者なのに
あんな軽装で犬を探しに行って遭難死とは、室井慎次というキャラクターに対して
酷い仕打ちではないか。
そもそもよっぽどあほのこでなければ、犬は外にほうられたくらいですぐ遠くに行ったりしないし
吹雪いていたらなおのことだ。
静かな音楽に無線のやり取りだけで表現は、それは過去作では感動もしたけれど
今回のこの話運びで同じやり方をされても、あの表現方法自体が感動できる訳ではないのに
勘違いしているのだろうか。
犬が離れない!なんて感情的に言う隊員に笑ってしまう。
その割にシンペイはひとりで薄汚れて帰って来るし。犬が!と言いながら犬だけ山中に放置したのか?
意味深に登場させた割に杏も『被害者』でまとめられ、どうもうまく改心して
みんなでうまくやれそうらしい。
室井さんが死んでしまってから訪ねてくる青島も何がしたいのか謎。
また異動になったのだろうか。
室井さんが生きていてあのラストならまだ胸も踊っただろうが、到底この続きが見たいとは思えなかった。