「死んだんじゃないのか」室井慎次 生き続ける者 新崎さんの映画レビュー(感想・評価)
死んだんじゃないのか
事前に亀山さんの「柳葉さんを室井から解放したいから、室井慎次はこれで最後」とのコメントと「生き続ける者」と言うタイトルから室井さんが死ぬんだろうなと思いながら、そうでない事を願いながら鑑賞しました。
警察に居る間は「責任をとる。それが私の仕事だ」
と言っていましたが、辞めて里親になった現在も同じ事を言っていて責任感に溢れる男は健在で胸熱でした。
前編から北の国から感があったので、むしろこれはこれで地上波のドラマスペシャル2時間枠でシリーズ化して欲しいと思っていたので
室井管理官のイメージの室井さんからの解放だけであったらいいのになと思っていました。
ラストでお葬式の描写も特に無かったので、登場者が持ち寄る様々はお見舞いで、手を合わせるのも回復を祈る描写であり、実は生きてましたと言う逃げ道も残しつつ、世間の反応次第でどっちにも振れるようにしているのかなと思いました。
エンドロール後に青島が手ぶらで室井ハウスに向かうワンシーンがあり、電話が掛かって来た青島が「戻ります」と言って引き返す辺り、室井さんの意識が戻ったと言う連絡かなと思いましたが、それにしては嬉しそうでも無かったのも気になりました。
FINALですみれさんは亡くなって幽霊になったような話もありましたが、今作では警察を辞めて撃たれた後遺症と戦っていると語られる場面もありました。
室井さんもすみれさんも居なくなり、既に和久さんも居ない踊る大捜査線の続編はどうなるんだろう。
テレビシリーズの最初の方は本広さんが共通の演出の為か、織田裕二さんの演技や青島の立ち振る舞いやBGM等も名作「お金がない!」を感じさせ、萩原健太郎が刑事になった感じがして、萩原健太郎が弟達を守る様に青島俊作が信念を守り、下っ端が組織の固定概念を覆すテーマの中で、他のキャラクターとの掛け合いが良くどんどん好きになりましたが、続編が作られるとしたらどの様なテーマになるのだろうと思わされました。
あの踊る大捜査線をずっと見ていたかったから、終わってしまった事が残念だったからずっと続編を望んでいましたが、あの踊る大捜査線はもう見られないだろう事も今作で理解しました。
それでも、前後編通して不器用でまっすぐな男の人情話を求めて鑑賞した事に対しては充分な作品であり、その為には踊る大捜査線ファンが求める刑事物の要素に振る時間を削ってでも本筋にボリュームを振った点では予備知識無くこの作品前後編だけ見ても楽しめる作品でありました。タカが好きな人に「雪だるまは初恋の人のメタファー」と言って、その後呆気なく振られてしまうくだりを事件解決にボリュームを出すよりも優先している点にもそう感じられました。
踊る大捜査線の続編を望む者としては室井さんには生きていて欲しいものの、作品単体としては「家族で居られる時間には限りがある」と言う限られた時間の中で「生き続ける者」に伝える事と言うテーマの中では、室井さんと言う里親が居なくなってしまう事も要素として大事だったのかなと思いました。