「ダンスシーンの説得力と、スピードに負けないカメラワーク、そして臨場感が凄まじい」熱烈 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
ダンスシーンの説得力と、スピードに負けないカメラワーク、そして臨場感が凄まじい
2024.9.12 字幕 MOVIX京都
2023年の中国映画(124分、G)
憧れのダンスチームに入ろうと奮闘する若者を描いたダンスバトル映画
監督はダー・ポン
脚本はスー・ビョウ&ダー・ポン
原題は『热烈(熱烈)』、英題は『One and Only』
物語の舞台は、中国の浙江省
ダンサー志望のチェン・シェオ(ワン・イーボー)は、実家の料理店を手伝いながら洗車店でアルバイトをしていた
父が亡くなってから、母テレサ(リウ・ミンタオ)は歌手の道を諦めて店を継いでいて、チェン・シェオの叔父(ユエ・ユンバン)の作る蝋人形が店の独自性を保っていた
チェン・シェオは父の弟分のシェ兄貴(シャオ・シェンヤン)の一座のパフォーマーとしてイベントに出ていて、そこでダンスを披露していた
チェン・シェオは2年前に「感嘆符!」というダンスチームのオーディションを受けたが高い壁に阻まれていた
チームのコーチであるディン・レイ(ホアン・ボー)は憧れのダンサーで、彼のチームで切磋琢磨したいと考えていた
「感嘆符!」は地元の有力チームで、エースのケビン(キャスパー)は資産家の息子で、チームの資金援助などもしていた
彼はロクに練習に来ないためにフォーメーションの練習がまともにできない
そこでディン・レイは、ケビンの代役探しを始める
そして、チェン・シェオがそれに選ばれるのである
映画は、代役としてチームに入ったチェン・シェオがそこで実力を蓄えていく様子が描かれていく
ケビンは使えないメンバーの入れ替えを考えていたが、ディン・レイはそれを受諾しない
その諍いからケビンは「感嘆符!」を抜けて、全国大会に出場資格のあるチームを買収しようと考える
それからケビンの抜けた「感嘆符!」にて、チェン・シェオは頭角を表すものの、突如ディン・レイに「ある話」が持ち上がる
それは、今後行われる世界大会の監督就任への打診であり、その条件はケビンを「感嘆符!」に戻して、チェン・シェオを解雇することだった
物語は、大人の事情で右往左往するチェン・シャオが描かれ、なかなかうまく行かない現実が描かれていく
だが、ケビンの横暴を許せないメンバーは「ケビンを排除すること」で一致し、ディン・レイもその想いに応えることになった
そして、地区大会の決勝にて、ケビン率いる「スーパーK」と戦うことになる、という胸熱の展開を迎えるのである
五輪競技に「ブレイキン」が採用され、それで急遽「ブレイクダンス関連の映画が配給される」という流れになっていたが、担当者もあのような結末になるとは思わなかっただろう
悪目立ちをしてしまったダンサーの話題に埋め尽くされ、今後の開催での競技採用の話も見送られている
その決定が今後どのように変化するかはわからないが、個人的な感覚だと「審査員がジャッジする競技」としては、五輪向きではないように思う
いずれにせよ、ダンスシーンは迫力満点で、ダンスステージに一緒にいるような感覚になるほどに演者との距離感が近いカメラアングルも多用される
フォーメーションでは俯瞰して、個人技ではズームになるのだが、このスピードの競技でカメラワークが追いついているのがすごいと思う
ダンス好きなら必見の作品で、青春映画としても最高なので、気になっている人は迷わずに劇場に向かって欲しい