雨の中の慾情のレビュー・感想・評価
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無理に何かをわかろうとする必要はない
つげ義春は60年代後半から70年代にかけ当時支持されていたので「ねじ式」「紅い花」「ゲンセンカン主人」等を貪るように読んでいた。その単行本やGAROは私の本棚からはとっくの昔に消えていた。「雨の中の慾情」は80年代の作品だと思うが記憶の片隅にあるのできっと読んでいたと思う。つげ作品=シュールリアリズムと位置付けられていたので、何処までが夢でどこまでが現実かがわからない作品も確かに多い。
この「雨の中の慾情」もつげ義春の夢をそのまま描いた作品であり、映画でもそのように描かれているが、それ以外は片山慎三監督の脚本で壮大な夢と現つの世界が繰り広げられる。
最初、日本にこんなところはないなぁと無国籍な街並み観ていたが、台湾でのオールロケと知ると納得した。確かに台湾には何処か懐かしい日本がある。
前半はのほほんとした雰囲気の異世界かと思いきや後半はいきなり戦火にまみれる泥々のシーンがインサートされ、と思ったら濡場の連続に、、。全部が夢なのか?戦争とラストシーンだけは現実なのか?訳はわからないが、解釈は観客に委ねているのだと思う。
商業映画としては無理がある作品だが、普通にシネコンで公開できて良かったと思います。
若い片山慎三監督。ポン・ジュノ監督の下であの「母なる証明」の助監督をした経験もあるとのこと。次回作も期待しています、。
台湾の風景と、つげ義春は相性が良い感じ
昔、台北に行ったときに、目医者の看板にずきゅんと心を射貫かれて、ネジ式っ!と興奮したことを思い出しました。
本作の台湾の街並み、田園風景全てよく、夢の中の雰囲気にはピッタリだと思いました。
私はつげ義春と同郷の葛飾出身。
今の葛飾は全く違いますが、子どもの頃(5歳以下)に見た景色は、マンガその物でした。
メッキ工場の廃液とか、ドブ川にガンガン流れているような、そんな景色。
あのニオイは今も思い出せます。
なので、この映画の中の台湾の街並みは、子どもの頃の葛飾に近いような気持ちにもなりました。(当時の立石の飲み屋街はお店にトイレがなくて、ヨシオが歩いていた商店街の路地のような薄暗い共同トイレだった記憶があります)
あと、テンションが上がったポイントとしては、ヨシオが入院していた病院の階段!
「ゴールデンカムイ」のドラマ版で、第七師団を率いる鶴見中尉がいた階段じゃないですか!
「ゴールデンカムイ」の時は、階段の踊り場の床が結構、汚れていて、ロケの時に汚しを入れたのかなと思っていましたが、「雨の中の欲情」でも同じような汚れ具合だったので、そういう場所なのね、と理解しました。
あの階段はどこなんだろう?行ってみたいなぁ。
台湾のロケ地巡りもしてみたい。
福子の乳首と、ブラのホックがちゃんと留まっていない感じは、女の私もエロさを感じました。
つげ
ホラーは嫌いだけどグロは好きです💜
エログロはもっと好き😂
原作未読(▶漫画らしいので今度サクッと読んでみたい)
どなた様かのレビューで拝見した「箱男より難解」の言葉にあたしごときの頭で理解なぞできるはずもない!と半ば諦めつつ鑑賞してみたけど、頭でなく心で感じたら好きな作品だったー☺
「さがす」で感じた胸糞感は本作では感じられず、片山監督は毎度胸糞を盛り込んでくるわけではないのだと少々残念。でもエロとグロはしっかり。全体的な世界観はヘンテコな世界。(最近ヘンテコ世界の映画やたら多くない??)
残念だったのは福子を演じてた女優さんが佇まいこそ色気満載だったのに、濡れ場になるとモザイクの有無に関係なく途端に嘘くさくなってた点。
いや、違うか。
森田剛との絡みでは嘘くささを感じなかったから、あれはムッツリ男子「義男(≒つげ義春)」の経験の少なさからくる拙い妄想の中での福子だからあり得ない嘘くささがあったのかな。だとしたら凄い女優さんだー。
あのモザイクも妄想ありきの義男さんにはリアルが細部まで分からないから妄想上でもモザイクで誤魔化してたように思えて個人的にはとってもよかった🎶
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と、上述の通り作品自体はヘンテコで好き、エロは見せ方は好きでもさほどエロくない、と思っていた私ですが、お隣りに座っていらしたオヤジさんは様子が違うようで……
福子の肌色が見えるたびに身を乗り出して全力で前のめりになって食い入るようにガン見。そして濡れ場に入っていくとサワサワとお洋服の上から洋服の上から“ご自身”を触っていらっしゃる……
こーゆー映画でこーゆー下世話なおっさんによく遭遇しますが、本気でやめていただきたい。なんなら「この女、隣にいて邪魔だな」くらいな感じで周りのことなど気にせず振り切ってサワサワ。マジでキモい…。以前、別の映画で遭遇した“ご自身”直触りおじさんに比べれば幾分かマシか……とは到底思えず、ピンク劇場と違うんだから何を勘違いしてるのかちゃんと座って大人しく見てもらいたいもんです💀
おかげで気分は最悪で帰るはめになった月曜日😭😭😭😭😭
エブエブ現象再来
天然色版つげ義春世界!
アンチ・ロマンの極北
プロローグからして猿の交尾のシーンが挿入されていたのをはじめ、序盤から観客を幻惑させる物語でした。物語がスタートして最初のシーンも、主人公・義男(成田凌)がバス停らしき場所で女と出会い、雷雨の中で徐々に服を脱いでいき、やがて2人が田んぼの真ん中でセックスを初めるんだから、訳が分かりません。
そんな謎めいた雰囲気で始まった本作、初めは昭和中盤頃の日本の何処かのお話かと思って観ていたものの、一部の登場人物の言葉遣いが日本語のネイティブスピーカーのそれではないらしいことが分かり、また場所についても、”北町”とか”南町”という話は出て来るけれども、具体的な所在も不明なまま。そのため、度々セックスシーンが出て来るものの、その不安定なシチュエーションのせいであまり”慾情”を掻き立てられることはないままに物語は進んで行きました。
そしてそんな不安定な状況は、この物語の大半が、主人公・義男(成田凌)の夢だったことが分かり、ようやく氷解するに至りました。結果夢オチだったんだなと了解し、間もなくエンディングかなと思っていたところ、実際はその後も夢と現実を行き来するシーンが延々と続くことに。夢オチで終わるならまあ何となく許容出来たのですが、さらにしばらく物語が続いたせいで、正直飽きてしまいました。
無理矢理まとめればアンチ・ロマンの極北にある作品ということになり、理解する努力は不要なのかも知れませんが、最後まで”?マーク”が頭の中に浮かんだ作品でした。
そんな訳で、本作の評価は★3.0とします。
胡蝶の夢
理解不能あるいは理解するものではない?
夢の中へ~♪
つげ義春の短編漫画(未読)を「岬の兄妹」、「さがす」の片山慎三が実写映像化した作品。ただし、原作は映画の冒頭のみで、あとは他のつげ作品からの引用とオリジナルで構成されているということである。
その冒頭、いきなり異様な雰囲気に引き込まれた。土砂降りの停留場で義男がバスを待っていた女を犯すのだが、シュールで煽情的な光景が凄まじい。実はこれは義男の夢だったというオチが付くのだが、しかしこうした泥臭く劣情的な演出は片山監督の得意とする所であり、その資質が初っ端から発揮されていてる。
以降は義男と伊守、福子の愛憎劇が展開される。義男は福子に中々告白できず、そうこうしているうちに彼女は伊守の恋人になってしまう。やがて3人は共同生活をすることになるのだが、このシチュエーションも中々スリリングで面白く観れた。
そして、ここでも少し不思議なことが起こる。義男が夜の町で、冒頭の夢の中で犯した女に出くわすのだ。ここも彼の夢なのかと思いきや、さにあらず。現実だったということが分かり、いよいよ現実と夢の境目が分からなくなっていく。
極めつけは、義男の大家がやってる裏稼業が判明するシーンである。ここから一気に物語は現実離れした方向へと加速していく。
このように現実と思って観ていたらそれは夢だったという仕掛けが幾重にも張り巡らされていて、観ている最中は混乱させられっぱなしだった。夢から夢へと数珠つなぎで展開されていく構成は、クリストファー・ノーラン監督の「インセプション」のように理路整然としているわけでもなく、何か法則性が決まっているわけでもない。
そもそも夢なんてものは理解しようとしても出来ない代物なので、観てるこちらも一々理由を考えても仕方がないことなのかもしれない。個人的にはラストだけが現実であり、それ以外は全て義男が見た夢の世界と解釈したが、このラストすら現実であるという保証はどこにもない。
そんなわけで、夢の中であれば何が起こっても不思議がないわけで、次に何が飛び出してくるか分からない面白さがこの映画にはあるように思う。まるで”ビックリ箱”を開けるような、そんな感覚で面白く観ることが出来た。
特に印象に残ったのは2点。義男が昼と夜の時間軸を地続きで往来するシーン、殺戮と混沌に溢れた戦場シーンである。この二つは実に大胆な映像で驚かされた。撮影が見事だと思う。
聞けば撮影は主に台湾で行われたということであるが、これが映画に独特の雰囲気を持ち込んでいるのかもしれない。戦後間もない頃の日本に近いが、どこか異国情緒の香りも漂わせ、不思議な世界観が構築されている。おそらく日本でセットを組んでも、この独特の世界観は創り出せなかっただろう。物語はほぼ町の中で展開されるが、個人的には海のロケーションも大変神秘的で印象に残った。
その海には怪しい二人組の白人たちが登場してくる。こうしたユーモアも本作は随所に散りばめられている。片山監督は基本的にシリアスな作家だと思うが、これまでにも時折ブラックでシュールなユーモアを絡めながら、作品のトーンを自在に操ってきた。今作でも幾つかそうしたユーモアが配されている。
ただ、これが片山監督の手癖だと知りつつも、今回に関してはシリアス一辺倒で押し切って欲しかった…という思いにもなった。かつてのATG作品のようなジメッとした隠滅さで攻めれば、更に見応えのある作品になっていたかもしれない。あくまで個人的嗜好であるが、そんなことも考えてしまった。
キャスト陣では、福子を演じた中村映里子の体当たりの演技が実にアッパレだった。
また、伊守を演じた森田剛もアクの強さを出しながら抜群の存在感を見せつけている。
更に、大家役で竹中直人が出演している。つげ義春原作繋がりで言えば「無能の人」を連想したりもした。
この絵、お客さんが描いてくれたのよ
いい顔するよな。
これから観る方へ
中盤以降のカオス
片山慎三監督、特に「映画好き界隈」からの評価が高い印象がありますが、私は監督が作る作品のクセの強さを敬遠して、ついつい劇場鑑賞を見送り配信待ちにしがち。ところが、今週は他に観たい作品がなかったこともあり、再挑戦のつもりで『岬の兄弟』以来の劇場鑑賞に踏み切ることにして109シネマズ木場へ。いつも空いているシアターですが、公開1週目のメンバーズデイ午前の回は私を含め3名のみ。。映画.comの点数も下降気味(この時点で3.2)で少々心配な滑り出しです。
感想を言語化するのが苦手な私。悪い癖で、観ている最中から「鑑賞後のレビューについて」を考えてしまうことが多いのですが、本作の前半、独特な世界観や時折挟み込まれるインパクトがあるシーンに見応えを感じつつも、ややぼんやりとしたストーリーに「これは(レビューを)どう書いたらいいのか」と感じ、ちょっぴり鑑賞を後悔し始めた中盤、、、あるシーンをきっかけに作品にカオスが起こります。なるほど、もしかしたら点数が下降気味なのはこの展開に「戸惑っている人」が多いのかもしれませんね。ですが、私は嫌いじゃない。
面子こそ同じなのですが、いろいろが違う世界線を時間軸すら無視して展開する「マルチバース」。妄想や朦朧と見る夢でシーンが変わることが多いため、何が現実なのか?或いは全て夢なのか?「生活」と「生業」。「愛欲」と「嫉妬」。そして「心情」、或いは「肉体」の欠落を、臭ってきそうなほどの本能むき出しな表現は正に片山監督の真骨頂。そして、これだけやっても説明はおろか回収らしきものはなく、観終わって振り返り、いろいろ考えて深い余韻に浸らざるを得ません。
そして、成田凌さんや森田剛さんの演技は今回も裏切りませんが、特に凄かったのは中村映里子さん。お若いころから「雰囲気のある俳優」という印象がありましたが、私が彼女の出演作を観たのは『君が君で君だ(18)』以来。ダイナミックで厚みのある演技をする彼女に脱帽しました。近く、未見だった『わたしの見ている世界が全て(22)』も観てみないと。
と言うことで、いろいろと発見のあった本作。劇場で観て本当に良かった。ただ、やはり万人受けはしないだろうな。。
夢か妄想かわからなかったが、エロかった
田んぼの近くのバス停でバスを待つ青年と女。突然の雷雨で近くに雷が落ち、青年は金属を外さないと危ない、と女に言い、ブラジャーのフックも危険だと指摘し、2人ともパンツのみになり、トタン屋根のバス停も危険だ、と青年はバス停を離れ女を田んぼに連れ出し、ナイロンは静電気が生じるといってパンツも脱がせ全裸にさせた。豪雨の中、欲情した青年は女の背後から襲い掛かかりセックスした。雨が上がった後、近くの川で2人は体を洗った。
その青年・義男は、売れない漫画家で、アパートの大家から、自称小説家の伊守とともに引っ越しの手伝いに呼ばれた。そこで福子と出会い、一目で彼女にひかれたが、彼女には恋人がいるようだった。やがて福子と伊守が義男の家に転がり込んできて、3人の奇妙な共同生活が始まった。さてどうなる、という話。
最初の雷雨の中でのセックスが何か分からず、その後福子に惚れた義男は福子の彼氏が伊守と知り、同居が始まり、隣でセックスしてるのを覗き・・・てな具合で、戦時中の満州かどこかの想定なんだろうけど、エロかった。
大家の腕が有ったり無かったり、義男の腕や脚が有ったり無かったり、どこまでが夢か妄想か観ていてわからなかった。
戦争で無抵抗な住民を殺すシーンとかなんのために見せてるのだろう?
義男役の成田凌、伊守役の森田剛、大家役の竹中直人とスケベ役の似合う配役は良かったと思う。
福子役の中村映里子は背中が1番エロかったかな。
観終わって、なんかわからんが、欲情は感じた。
それと、心の付いた「慾情」という言葉がある事を初めて知った。
欲情からの戦場、、つげ義春と水木しげるのコラボ。
つげ義春の不条理エロかなと軽い気持ちで見に行ったが、いつの間にか水木しげるのリアル戦争体験悪夢とゴッチャになってリアルが何処なのか見失う仕組みの映画です。確かに全てのフェーズがリアルでもありアンリアルでもある戦争という特殊な状況下で見る、かなり濃厚な甘い腐臭漂う悪夢です。
有るはずのない事が普通に有る状況を利用して上手く世界構築したなと思った。まさに不条理、それが現実になる戦争という状況。
ほぼ台湾ロケが古い日本ぽくもあり、異国の占領地、戦地の様にも見え効果上げています。
成田凌あまり評価してなかったけど、特殊な状況に追い込まれて監督を信じてやり切った感がある。本作以降の成長が楽しみ。森田剛も私少し苦手だったが本作はハマっていたし重要な役回りだ。中村映里子はもちろん予想通り凄い。
というわけで彼女と観てはいけない映画です。
レイトを上げてボカシなしにして欲しい。
因みにつげ義春は水木しげるのアシスタントを数年しておりました。
久しぶりに腹の立つ作品を観た
予告編は良かった。タイトルどおりのエロス感たっぷりで、かつ昭和らしい情緒も感じられる。
ひと言で言えば、“大人の映画”を見せてくれそうな予感が有った。
が、しかし・・・
期待は裏切られた。
【物語】
舞台は戦前・戦中の台湾。
貧しい町・北町に住む売れない漫画家の義男(成田凌)は、アパートの大家・尾弥次(竹中直人)から彼が最近知り合ったという女の引っ越しの手伝いを頼まれる。 家賃を滞納している義男は断ることも出来ず、自称小説家の伊守(森田剛)と共に女の家に向かう。
女は福子(中村映里子)といい、離婚したために引っ越すのだと言う。義男は忽ち福子に魅了される。しかし、先に彼女の気を引いたのは伊守だった。やがて義男は伊守が企画する北町のPR誌を手伝うようになるが、仲間の一人が預かった金を持ち逃げしたため、金を払った発注者たちに追われた伊守と福子が彼の家に転がり込んでくる。
【感想】
冒頭を観て嫌な予感がした。
映画においてオープニングは作品の良し悪しを推し量る上でとても有効なバロメーターだ。オープニングは良かったが中味は大したこと無い作品もたまにはあるが、オープニングがダメだけど、中味は良かった作品には出合った覚えが無い。
今にして思えば、あのオープニングシーンは作品全体を表していた。
いきなりのエロなのだが、情緒もへったくれも無い。「なんだ、これ?」の世界。
それは、主人公義男の夢だったというオチなので、ストーリー的にはダメなわけではないが、「オープニングにあんなシーンを持って来るセンスはどうなの?」という話だ。
前半はまだいい、まともだ。
しかし、終盤になって来ると訳の分からない場面展開になって来る。 突飛、奇天烈な編集をして、
「どうだ、お前に分るか?」
と言っている監督の顔(顔なんてしらんけど)が浮かんでしまったが、
「俺には全く分からない」
と堂々と答えたい。
終盤になって、この作品は監督が脚本も書いているに違いないと思ってエンドロールに注目していると案の定、監督が脚本も書いていた。脚本と監督が別の人間だったら、どちらかがブレーキを掛けただろうと思うのだ。
つまり、俺に言わせればあの展開・編集は監督の暴走としか思えない。
良かったことと言えば、ヒロイン中村映里子の裸体が綺麗だったことくらい。
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