雨の中の慾情のレビュー・感想・評価
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成田凌推しの方は見るべし!
この映画の意味とは?
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと、今作を面白く観ました。
この映画『雨の中の慾情』は、映画の冒頭から、主人公・義男(成田凌さん)がバス停で雨宿りをしている女(夢子(中西柚貴さん))を、雷が来るからと金属の付いた服を脱がせ、最後は逃げる女を追いかけて田んぼの中で下着をはぎ取り犯してしまう、白黒映像から始まります。
女は行為の後、主人公・義男と虹が出ている中で和やかな雰囲気を出しているのですが、観客の1人としては、この時代錯誤の冒頭からの描写は何なのだ?‥とあっけに取らされました。
その後、映画の最終番になって、この映画は、日中戦争の戦闘での大きな負傷を負った主人公・義男が見ていた、戦争の中の現実の出来事を材料にした、夢(または悪夢)を描いていたことが明らかになります。
つまり、映画の冒頭の主人公・義男が女を雨の中で犯す場面は、日本兵だった主人公・義男が(あるいは他の日本兵が)日中戦争下で中国人の女性を犯した現実のメタファーだったと解釈することが出来ると思われます。
この映画は、映画の終盤で明かされる、日中戦争の日本兵である主人公・義男が負傷の中での見た夢(悪夢)の世界であり、根底に兵士の現実と戦争の愚かさへの眼差しが入り混じり流れていて、欲望の肯定と否定が入り混じって描かれていると思われました。
離婚しカフェで働く福子(中村映里子さん)は日本軍の中国現地の慰安婦であり、自称小説家の伊守(森田剛さん)は主人公・義男と同じ部隊の先輩日本兵であり、大家の尾弥次(竹中直人さん)は731部隊の人体実験のイメージをもまとった軍医であり、街中で主人公・義男を糾弾する靴屋(松浦祐也さん)は義男と同じ部隊の戦闘前に興奮している日本兵であり、片言の日本語をしゃべる少女は義男が戦地で出会った現地のゲリラ兵であるといった、夢と戦争の現実が交錯する映画になっていたと思われます。
ところで、このような日中戦争などの当時の日本軍の蛮行が題材になった表現によくあるのが、日本人の監督や制作側が正義の側に立ってその蛮行を糾弾する表現内容に陥ることです。
もちろん、当時の日本軍が日中戦争や東南アジアなどの戦闘で現地の民衆に行った蛮行は、同じ日本人として私も沈痛な重い反省の感情を持つ他ないと、いつも痛感させられます。
しかしながら同時に、正義の側に立って当時の日本軍や日本兵の蛮行を糾弾している日本人の監督や制作者に対しては、その自分たち自身は己を棚に上げて(自己への問い掛けでなく)他者を糾弾している姿勢には、その欺瞞性と合わせて、【とはいえ、あなた達も同じように糾弾されなければならない同じ日本人なんだよ】と、大きな疑問を持っては来ました。
ただ、この映画『雨の中の慾情』は、根底の基調に日中戦争での日本軍の蛮行への否定の感情を感じさせながら、決して日本人として己自身を棚に上げない姿勢を、あくまで夢と現実を行き来する中で現実からは遊離しない主人公・義男を通して、描いていたと感じました。
その意味で、人間の矛盾から目を逸らさない描写の姿勢と内容から、今作を沈痛を感じながらも面白く観ました。
ただ、であるので採点としては3.5点以上つけられるはずの作品だと思われたのですが、この映画が主人公・義男による戦闘での負傷の中での夢(悪夢)の描写であると分かってから、さすがにそこからさらに夢と現実の行き来の反復がいくらなんでも長すぎるとは思われました。
それで-0.5点と、僭越ながら今回の点数となりました。
しかしながら、台湾での撮影もあってか、描かれている世界は当時の空気感がリアリティを持って表現されていて、表現の分厚さも含めて、好みはあるでしょうが、内容ある作品になっていたと、僭越ながら思われました。
雨の中の欲情
内容が難解?ただ、ラブストーリーであることだけは分かる...
この作品のように、内容が難解な映画は、たまに観たりするのだが、今回は、人物、環境、時間軸、短い時間の中で、全てが目まぐるしく変化し、申し訳ないことに、自分は、全てを理解することができなかった。
ただ、最後の方に、『ラブストーリーなんだろうな...』ということしか理解できなかった....
あと、冒頭の雨宿りの中の出来事の伏線回収がしっかりあったことは、良かった。
それ以外は、よく分からなかったが、夢と現実を行き来する感じのラブストーリー、個人的には、新しい映画の形を見た気がする。
楽しい作品だが、
「パラサイト」のポン・ジュノ監督に師事していた片山監督らしく、暴力描写や性描写、すなわち人間描写に妥協がないところが好きだ。かつ、色んなテクニックを駆使した撮影・演出でしっかりエンターテイメントになっているところが片山作品の特徴かなと思います。
本作はとてもトリッキーな作りになっていて、これは脚本一体どうなっていたんだと思いましたが、やはりシナハンや現場でオリジナル展開をどんどん足していったようで正直シナリオとしてはまとまりのない作品だったかと思う笑
色んな作風や演出、アイディアがてんこ盛り。
ただし、そこは成田さんをはじめとする役者陣が大奮闘しているのでそれなりに観れてしまう。
死の直前に観る走馬灯のようでもあり、全てが夢でもあるというつくりは面白いし、雨や水道の水が夢の中ではとめどなく流れ出ているのも、欲情に歯止めが効かなくなった主人公の観る夢ということで筋が通っている気もするが、やはりそれに対する戦争パートが欲情を奪われた世界線(こっちが現実)という位置付けになっているように感じるので急にテーマの相性の悪さを感じた。夢と現実が上手く対比になっていなくチグハグな印象を受ける。戦争パート自体の映像はよかっただけ(片山監督による戦争映画が観たくなるほど)に、もったいなく感じた。
前半のあのバス停の映像の力、構図の力がすごかったので、やはり最後もあのバス停をベースに夢と現実の決着を描いて欲しかった。
「さがす」の西成区や本作の台湾の街並みなど古き良き日本の姿というか、一見バラックのような無秩序な街並みに美しさを見出してるところに、つげ義春漫画と片山監督作品との共通点を感じた。
個人的には中盤の西の国で嘘みたいな宮殿で暮らす森田剛演じる伊守の楽しそうな姿が印象に残っている笑
つむじ風
まるで誰かの夢を覗き込んでる感覚に陥る。
冴えない漫画家の義男が虚実妄想の世界に
入りねじ回る空間と独特の曖昧さが
じわじわくる。
愛、性欲、暴力、戦争、欲望、金欲が現実と夢の間にヒラヒラと紙のように舞い降りて、混沌と
いう侘しさをずっと引きずっていく。
中村映里子さんは綺麗。
レトロ感と怪しげな色気は似合っていた。
冒頭の雨のシーンが一番好き。
あの哀しさがモノクロだし。
まさかの田んぼの行為は少し笑ってしまったが…。
国家に従わなければならない考えと不均衡な現実が色々な欲を生んだ
そして愛は甘くないのとも伝えている。
つむじ風が余りにも異様で欲望より怖かった。
全く中身の無い意味不明の作品
色々
エロい、なんて馬鹿馬鹿しいと思っているうちに、不思議と哀愁みたいなものも感じるし、毒も含んでいるし、結構面白かったです。映像は綺麗です。
義男がもっとギラギラした男だったら嫌だったかも、成田凌さんで良かったです。森田剛さんも良い味出してました。
夢と分かってからが結構長いです。場面はどんどん変わっていき、とりとめのない夢を見つつ合間に現実が割って入りますが、あの、ペンを受け取るところも夢だよね、なんて考えながら観ていたらちょっとクラクラして疲れました。
小さい子供の頭に注射針を刺すところはショッキングで、R指定の映画に幼児を出すのは本人が自分の出演作を観られないんだから、あまり好ましくないなと思ってしまうのは、私の頭が固いでしょうか。(赤ちゃんならいいかな)
旧態依然の映画ファンには最高
夢のリアリティ
怠惰
「さがす」は中々に衝撃的な作品でのめり込んで鑑賞し、共同作品である「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」ではお口あんぐりなくらい謎すぎて片山監督の方向性が掴みづらかったんですが、今作を観てより分からなくなりました。
原作に一気に染まる方なのか、実はこういう作品をやりたかったのか、より片山監督に興味を抱くような作品になっていました。
序盤の衝動的な脱がしまくりからの男女の合体は生々しくもアクション的なところがあり、ここからどんだけ激しいことをしていくんだろう、どうやって話が展開されていくんだろうとワクワクしたんですが、性行為絡みのシーンで昂ったのはここが最初で最後だったかもしれません。
慰安婦と性行為をするというのがメインで、色んな人との性行為だったり、町での出来事だったり、主人公の義男の漫画作りだったりがベースに進むんですが、戦争によって負った肉体と精神の傷が一直線であった物語に大量の分岐を招いた結果、性行為メインでは終わらない謎を生み出しまくっていました。
時々ふざけまくるシーンがあって、最初はノイズだなと思っていたのですが、時間軸が移動しまくりのカオスな作品なのもあって、それがコメディとして働くようになっていってからは笑ってみれるようになりました。
轢き逃げのシーンはグチャアと轢いていくスタイルの作品なのかなと思ったらポーンと田んぼの方に飛んでいきますし、合成バレバレの安っぽい感じなのが味を出していましたし、轢かれて電柱にバチコーンぶつかったはずなのに顔が傷一つないのもハチャメチャで笑っちゃいました。
性行為に及ぶ時はなぜか場面転換しまくるのでそこはどこやねんって場所でやってたり、牛たちの前で堂々と体を交えなさんなともなりました(牛たちはエンドロールに名前がありました)。
義男が戦争によって苦しんでいるということを加味しても目をかっ開いてブレブレの映像で走り回るというどこぞのスマホの成田くんを観ているようでこれまた笑ってしまいました。
大量にいる町の住人たちがワラワラしているのもカオスに拍車をかけていましたし、台湾人の子供がケツアナを広げる女だ〜って言ったシーンは思わず吹き出してしまいましたし、言語の壁だったり意思疎通だったりがここまでコメディになるとはと驚きもしました。
キャスト陣はもうそれはそれは体を張りまくっていて、成田くんと中村さんはやはり脱いでる時間の方が多いくらい交わっていて、それもまた強烈なシーンが多いのもあって大変だったろうなと思いました。
森田くんの唾を飲み込みながら喋るシーンがたまらなく好きでしたし、胡散臭いオジサンを演じさせたらこの人は強すぎる…と改めて思いました。
夢オチなところはガックリしていましたし、時系列シャッフルで分かりづらさに分かりづらさを上塗りしているような感じだったので乗れない部分もありましたが、なんか嫌いになれない憎めなさがある作品で、性行為以外は概ね笑って観れたりしたのでやっぱ変な映画って良いなと思いました。
鑑賞日 12/5
鑑賞時間 11:20〜13:45
座席 E-14
⭐︎3.2 / 5.0
不条理
つげ義春の不条理な世界がよく表現されていたと思う。理解しようとせずに、ただ受け入れる事。
そして、成田凌が意外とつげ義春キャラに見える。
後半はガラッと映画が変わったようになり、そこからの見応えがスゴい。「ジェイコブス・ラダー」を思い出した。
印象的なカットが多く、残る映画だったが、やはり、少し長いかなぁ。
#雨の中の慾情
最初のエロがピーク
2024年劇場鑑賞319本目。
土砂降りの雨の中、バス停で雨宿りしていると雷に異常に怖がる女性。「金属製の物外さないと危ないですよ」と男性。そのボタンも、そのブラも、と言われるがままに裸になっていく女性。なんで胸隠さないん?バス停にも金属が使われていたのでバス停から離れる事になるパンツ1枚の男女。田んぼでお尻突き出して転ぶ女性。いやもうこれはムラムラせずにいられないでしょ!って何のAV?(笑)
その後もボカシ入りのエロシーンが何度か出てきますが一番エロかったのはやっぱり冒頭のシーンですね。
エロのピークが最初だったので、後はいつの時代か、国も日本とは単純に言い切れない不思議な世界観で、後に色々展開があって筋は通るのですが、その種明かしが早いというか、いつ終わってもいい状態が三十分くらい(時計見たわけじゃないので体感ですが)続くので蛇足でした。
奇妙な映画体験がクセになりそう
主演と監督、原作者くらいだけ知ってる状態で鑑賞
中盤以降の展開は最初こそ戸惑いましたが、各世界観のディテールを見るとなんとなく整理できるため、自分の解釈があっているのなら、現実パートはごく一部。大半が夢や妄想のようなものとしても、そこで描かれているものはところどころで「現実パート」とも薄くリンクしているため、作品トータルとして見せたいものは伝わってきます。
戦中期の占領地のものと思われる日常描写や戦争描写も、台湾で撮影することでより味わい深いものになり、全体の幻想的なイメージをより高めてるのでしょう。
変な映画といえば変な映画ですが、提示された世界観はかなり好きで、機会があればまた見てみたい作品です。
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