「タイトルなし(ネタバレ)」雨の中の慾情 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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土砂降りの雨、バス停。
激しい雷雨。
佇む女(中村映里子)。
通りかかった男(成田凌)は、「雷に打たれないためには金物(かなもの)を取ること」と忠告し、ふたりはやがて全裸近くになる。
慾情した男は泥田のなかで女を襲う・・・
それは、夢だった。
夢を見ていたのは、売れない漫画家・津部義男。
隻腕隻脚の大家(竹中直人)から頼まれた引っ越しの手伝いで、義男は夢の女と出逢う。
女は福子という名の未亡人で、いつしか義男の友人で小説家の伊守(森田剛)と懇ろになっていた・・・
といったロマンス含みの幻想譚。
元となったつげ義春の短編のいくつかは読んでいて、前半かなりの尺で描かれる「南町百点」は、ほぼ漫画どおり。
交通事故に遭った女性の下着をずり下すエピソードも漫画に近い。
これらのエピソードがあるので、かなりの可笑しさが加味されているが、全体的なモチーフは「胡蝶の夢」か。
エピローグのみ第三者視点で時制の現在地がわかるわけだが、考察することにあまり意味がないと思わせる作品。
考察は他に譲ることとする。
全編台湾でロケしたことで美術や台詞に幻惑・幻想めいた雰囲気が漂い、もうそれだけで観客を選ぶだろうと思う。
つまり、つまらないと感じるひとには、とことんツマラナイ。
面白いと感じるひとには、とことんオモシロい。
それにしても、いつから、つげ義春が「難解」で「要解釈」な作家(漫画家)になったのかしらん。
『ねじ式』の影響大だけど、ま、それはそれ。
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