「怠惰」雨の中の慾情 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
怠惰
「さがす」は中々に衝撃的な作品でのめり込んで鑑賞し、共同作品である「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」ではお口あんぐりなくらい謎すぎて片山監督の方向性が掴みづらかったんですが、今作を観てより分からなくなりました。
原作に一気に染まる方なのか、実はこういう作品をやりたかったのか、より片山監督に興味を抱くような作品になっていました。
序盤の衝動的な脱がしまくりからの男女の合体は生々しくもアクション的なところがあり、ここからどんだけ激しいことをしていくんだろう、どうやって話が展開されていくんだろうとワクワクしたんですが、性行為絡みのシーンで昂ったのはここが最初で最後だったかもしれません。
慰安婦と性行為をするというのがメインで、色んな人との性行為だったり、町での出来事だったり、主人公の義男の漫画作りだったりがベースに進むんですが、戦争によって負った肉体と精神の傷が一直線であった物語に大量の分岐を招いた結果、性行為メインでは終わらない謎を生み出しまくっていました。
時々ふざけまくるシーンがあって、最初はノイズだなと思っていたのですが、時間軸が移動しまくりのカオスな作品なのもあって、それがコメディとして働くようになっていってからは笑ってみれるようになりました。
轢き逃げのシーンはグチャアと轢いていくスタイルの作品なのかなと思ったらポーンと田んぼの方に飛んでいきますし、合成バレバレの安っぽい感じなのが味を出していましたし、轢かれて電柱にバチコーンぶつかったはずなのに顔が傷一つないのもハチャメチャで笑っちゃいました。
性行為に及ぶ時はなぜか場面転換しまくるのでそこはどこやねんって場所でやってたり、牛たちの前で堂々と体を交えなさんなともなりました(牛たちはエンドロールに名前がありました)。
義男が戦争によって苦しんでいるということを加味しても目をかっ開いてブレブレの映像で走り回るというどこぞのスマホの成田くんを観ているようでこれまた笑ってしまいました。
大量にいる町の住人たちがワラワラしているのもカオスに拍車をかけていましたし、台湾人の子供がケツアナを広げる女だ〜って言ったシーンは思わず吹き出してしまいましたし、言語の壁だったり意思疎通だったりがここまでコメディになるとはと驚きもしました。
キャスト陣はもうそれはそれは体を張りまくっていて、成田くんと中村さんはやはり脱いでる時間の方が多いくらい交わっていて、それもまた強烈なシーンが多いのもあって大変だったろうなと思いました。
森田くんの唾を飲み込みながら喋るシーンがたまらなく好きでしたし、胡散臭いオジサンを演じさせたらこの人は強すぎる…と改めて思いました。
夢オチなところはガックリしていましたし、時系列シャッフルで分かりづらさに分かりづらさを上塗りしているような感じだったので乗れない部分もありましたが、なんか嫌いになれない憎めなさがある作品で、性行為以外は概ね笑って観れたりしたのでやっぱ変な映画って良いなと思いました。
鑑賞日 12/5
鑑賞時間 11:20〜13:45
座席 E-14